経済成長のエンジンは官民の投資 | 猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』

猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』

安倍晋三応援ブログです。
やっと明るい未来を語る政治家が総理大臣になりました。しかし、闘いはまだまだこれから。子や孫が希望を持てる国になることを願うおやじです。

母の日に息子夫婦がプレゼントを持って訪ねてきて、開口一番「エビで鯛を釣りに来た」と言う。聞くと、いい物件があるので持ち家を検討したいという。頭金の一部でも出してもらおうと思っているらしいが、どのくらい期待しているのかはとうとう言わずに帰っていった。


息子の給料がそれくらいかよく知らないのだが、デフレのいまは昇進でもしなければ増えることは期待できない。つまり、私がささやかな持ち家を手に入れた頃のように、最初はローンの返済がきつくても段々楽になるということがないので、無理のない返済計画を立てるようにアドバイスしておいた。


私の場合は、毎年物価も上がるが給料がそれ以上に増え続けていたので、最初はきついと思っていた返済が意外に楽なことが分かり、入居の翌年には車を買い替えた。それは1970年代後半のことで、もう高度経済成長は終わっていたが、まだマイルドなインフレと経済成長は続いていた頃だった。


住宅というのは一生に何度もない大きな買い物だ。インフレ気味のときであれば給料が増えるのでローンは段々楽になる(固定金利の場合)し、住宅価格も毎年高くなる。土地つきの住宅なら見かけ上の資産価値も上がる。だから借金しやすいのだが、それが頂点に達したのがバブル期である。


猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』

バブル崩壊後、さすがに新規住宅着工件数は大きく落ち込んだが、いまこうして振り返ってみると意外に早く立ち直っている。そして、デフレ気味ながらも景気はじりじりと回復していたころに消費増税やアジア通貨危機の影響で大きく落ち込み、現在はピーク時の半分まで落ち込んだままだ。


最近ではリーマンショック後に大きく落ち込んでいるが、その前の2006年にもかなり落ち込んでいる。これは、日銀がそれまでのかなり大規模な金融緩和を解除したことの影響だろう。このように住宅投資は景気や政策により大きく影響を受け、それがまた景気に影響を与えるのである。


民間の投資には、この他に企業の設備投資があるが、この二つの項目と公共事業費(公的固定資本形成)、それに名目GDPを重ねてみると、この二つの項目の増減とGDPの増減はかなり一致する。


猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』

消費増税があったのは1997年4月だが、このとき住宅投資はその直前の駆け込み需要の反動ですぐに大きく落ち込んでいるが、企業の設備投資は翌年に入ってから減少している。そして、このとき橋本内閣は明らかに全体の需要が落ちてきているのに、公共投資も同じように減らしてしまったのだ。


このときの消費増税と公共投資削減などの緊縮財政がその後のデフレ不況の元凶だが、政府の政策は公共投資を元に戻した小渕内閣とリーマンショック後の財政出動などで日本経済の崩壊を防いだ麻生内閣の時以外は、ほぼ一貫して公共投資を減らし続けてきている


さらに、2004年あたりからアメリカの住宅バブルのおかげで輸出が伸び、民間企業設備投資も増えているが、住宅投資はほとんど増えておらず、企業の利益が従業員にまわらずに内部留保にまわってしまい、デフレ脱却には少しも貢献していないこともこのグラフから見えてくる。


このように、デフレという異常な状況は、輸出企業の業績が上がったくらいで脱却できるようなものではない。構造改革論者がよくいう技術のイノベーションとやらで、iPad以上の画期的な商品がたくさん登場してソニーやシャープが大もうけしたくらいでは、大勢には何の影響もないのである。


中野剛志さんは最近の著書『レジーム・チェンジ』のなかで、デフレという局面で投資や消費を控えるのは経済合理的な行動であり、民間は負債を増やしたり投資を拡大したりしないとしたうえで、次のように述べている。


経済がデフレに陥ると、民間主導で投資や消費が伸びて、需要を拡大し、デフレを脱却するということはあり得なくなります。デフレでも、投資や消費を拡大できるのは、経済合理性を無視する愚か者だけです。ですが、そんな愚か者がいてくれなければ、デフレ下では需要は絶対に増えません。しかも、何十兆円という需要不足を補うほどに、巨額の投資や消費を行う大馬鹿者がいなければ、デフレを脱出することは出来ないのです。


日本に選択の余地はなく、政府が大馬鹿者を演じるしかないのだが、本物のバカにはそれが通じないそちらのバカには早く退場してもらって、きちんと大馬鹿を演じられる役者たちに登場してもらうしかないが、さて、デフレ期に家を買うという馬鹿息子の願いをどうしたものか。


我が家の『親ばか子ばか』がちょこっと住宅投資しても世の中に何の影響もないが、息子は張り切っているし、損得よりその気持ちのほうが大切かもしれない。
そう考えて、息子の帰りがけに「鯛は無理だが、たい焼きくらいならなんとか」と言っておいた。
(以上)


クリックしていただくと励みになります

もしよかったら押してください ↓↓↓                   

                   人気ブログランキングへ