8枚は亀殻 | New 天の邪鬼日記

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小説家、画家、ミュージシャンとして活躍するAKIRAの言葉が、君の人生を変える。

 キリスト教の奇跡の中に「聖痕(スティグマータ)」というものがある。
 キリストが手と足に釘を打たれて十字架にかけられたことから、熱心な信者たちの手と足に(ときには脇腹も)傷が自然にあらわれる現象だ。
 1224年、イタリアのアッシジにあるラ・ヴェルナ山で40日間の断食をしていた聖フランチェスコは手と足と脇腹に聖痕を受ける。しかも彼の傷には釘のような突起まであり、片側を押すと反対側が盛りあがった。
 以来たくさんの聖痕発現者があらわれるが、彼らの傷は腫れあがりも化膿もせず、あっというまになくなったり、定期的に発現させたりできる者もすくなくない。
 これはキリストが彼らにつくったものなのか?
 キリストが死んだ当時の資料を見ると、はりつけのときは手首に釘を打っていた。手のひらに打ったのでは体重が支えきれないからである。手のひらに釘というのは14世紀以降の画家たちが定着させたスタイルだ。
 聖痕の場所はほとんどが手足だが、人それぞれ形や場所がすこしづつちがう。
 聖痕発現者はヒステリー症状をもつ者の比率が高い。
 これらの理由から聖痕の原因は、彼らの熱烈な信仰心が身体機能に影響を与え発現させたものだと思われる。いわば思いこみ、自己暗示、プラシーボ的な物理現象だ。
 オレはタイのプーケットでおこなわれる世界一痛い祭ベジタリアンフェスティバルに参加したが、彼らはドラッグや鎮痛剤などいっさい使わずさまざまなものをほほに刺す。痛みを感じず、あれだけ大きな傷も数日で治してしまう。
 脳内麻薬のなせる技か? 道教のやおよろずの神に対する信仰心なのか?
 信仰心のないオレも馬用の太い注射器を両ほほに刺したが、シャーマンの歌でトランスし、ほとんど痛みを感じなかった。
 スペイン国境に近いフランス・ピレネー山麓にあるルルドの泉には毎年500万人もの人々が訪れているが、医学上ありえない奇跡が無数に起こりつづけている。生まれてから光を見たことのない盲人が1日で目を開いたり、余命数日と見放された末期ガン患者が快癒したり、完全崩壊した骨盤が再生したりする。
 ここでおもしろい点は、半信半疑の者には奇跡が起こりにくいということだ。
 湧き水に含まれる高濃度のゲルマニウムが治癒力を発揮するという説もあるが、水の成分はごくありふれたものである。オレが思うにシェルドレイクが提唱する「形態形成場」がおこなわれているのだと思う。「病気を治したい」という個人の願望が同じ信念を持った集団により増幅され、数々の奇跡によって物質化される。
 思いこみや自己暗示を西洋医学は見下すが、人類は700万年間ものあいだ「信じること」によって病気を治してきたのだ。世界保険機構(WHO)が精神面のケアを積極的にとりいれ、ここ数年医学界はシャーマニズムに熱烈な関心を寄せている。
 先端医学では目に見える肉体を司っているのは脳ではなく、非物質的な「エネルギーフィールド(気場)」だと考える。 エネルギーフィールドが体や精神のバランスをとったり、脳という管制塔から神経系統やホルモンなどをつかって身体の各部分に指示をだす。
 病気の大元の原因はエネルギーフィールドにある。局所治療で肉体だけを治しても病気が再発するのは、エネルギーフィールドそのものを治療してないからである。
 「自己治癒力 イメージのサイエンス」を書いたジーン・アクターバーグ博士の調査によると、病気が身体にあらわれる何週間、何ヶ月、何年も前に、患者は無意識にその病気を「イメージしている」というのだ。
 病は自分でつくりだしてる!?
 これはあまりに衝撃的な事実である。
 たとえば深刻な便秘で悩む女性は、子どものころ忙しく働く母親におんぶされていて、母親に迷惑をかけないように排泄をがまんしていた。ある喉頭癌腫の患者は、子どものころ父親から「うるさい。だまれ!」とのどを絞められる経験があった。乳ガンを切除した患者は病気になる前から「胸につかえているもの(思い)を吐き出したい」と思っていた。背骨に多発性骨髄腫をもつ患者はむかしから「(背)骨がない」と思われてきた。(参考文献「投影された宇宙」マイク・タルボット。春秋社。しつこく必読です)
 別の角度から退行催眠も病気に関する膨大なデータを集めている。
 催眠によって患者を幼児期から母親の子宮にいるとき、そして生まれるまえまで退行させる。するとほとんどすべて者が自分で今回の生の大まかなあらすじを計画して生まれてくる。両親を自分で選ぶのはもちろんだが、わざと自分に試練を課す者も多い。
 なかにはあるていどの時期に病気になり、それによって人生を考え直したり、まわりの人たちとの関係を見直したり、病気という学びによって成長することを予定している者もいる。
 「8枚は亀殻」じゃない、「病は気から」と言うし、エネルギーフィールドの治療にもっとも有効なのは、イメージの力である。今までバカにされてきた「思いこみ」、「自己暗示」、「信じること」こそが、エネルギーフィールドの根本治療に不可欠である。
 たとえば二日酔いのときは、ゆったりとよこになり、胃に手をあてて、自分の手から目映いばかりの光がでて、光がスコールのように患部に降りそそぎ、よれよれになって倒れていた子びとさんが「おーい、太陽だ。朝がきたぞうー」と起きあがり、ドロドロに汚れた部屋を大掃除する。たくさんの子びとさんが笑いながら床をぞうきん競争で拭き、窓に息を吹きかけて磨く。ゴミを外に出し、カラス防止ネットのはられた集却所で肝臓や腎臓と書かれたゴミ箱に運びだす。「わあー、きれいになったね」と子びとさんたちは歓声をあげる。
 患部が完璧に治療されていくさまをイメージするのが大切だ。
 すると子びとさんたちは「やっぱりきれいな部屋で飲む酒はうめえや」とまたどんちゃん騒ぎをはじめる。
 森の木陰でドンじゃらほい
 しゃんしゃん手拍子
 あっし病死