先日ご報告しましたとおり、8月6日、八雲ヶ原高層湿原の水面に浮いているギラギラを採取、8日に環境計量証明事業所の会社に依頼し、それが油であるか否かについて、分析していただきました。その結果を記した証明書が本日発行されましたので、お知らせいたします。
分析結果は…

ヘキサン抽出物質(鉱物油及び動植物油) 0.5未満 mg/L

0.5mg/Lとは検出下限値ですから、それ未満ということは、

“油分は検出されなかった”

ということです。

これまで、一部マスコミ(新聞、TV等)で「水面はどこからかわいた油でギトギトと光り」と報道されたり(特に、昨秋以降)、ブログ等で「八雲ヶ 原湿原は油が浮いていて」といった記述をなさっている方が少なからずいらっしゃいましたが、今回の分析結果により、これらが事実とは異なる誤ったものであることが、数字の裏付けをもって明らかとなりました。


山川草木悉有仏性・女将のブログ


このギラギラも、一見サビの様に見える茶色い沈殿物も、鉄バクテリアの活動に伴うものです。
ワタシは専門家ではありませんので、詳細はご説明できませんが、簡単に言いますと、鉄バクテリアは水中に溶け込んでいる鉄分を取り出し、沈殿・堆積させることによって水を浄化していると理解しています。
(詳細はこちらを→
http://www.city.sendai.jp/shoku/1195217_2482.html

すなわち、八雲ヶ原湿原は「油が浮いて荒廃している」どころか、この点においては、自然の水質浄化メカニズムがしっかり働いているということになります。
八雲ヶ原湿原およびその周辺が奥の深谷→葛川→安曇川→琵琶湖という流れの重要な水源となっていることを考えると、この地における自然の水質浄化機能がちゃんと働いていることは、ホッとすることです。

もし、皆さんのお知り合いで「八雲ヶ原のギラギラ膜は油」と誤ったご理解をなさっている方がいらっしゃいましたら、どうぞ正しいところを教えてあげてください。マスコミ報道のパワーを考えると、かなり誤った認識が世に広まっていると思いますが、そのことは、八雲ヶ原の自然回復にとって、大きな悪影響となる恐れも考えられますので。

ただ、そうは言うものの、八雲ヶ原の自然が依然、脅威にさらされていることは事実です。
ただ、旧スキー場に関する問題は、今、京阪さん及びその関係者の方々が多額の費用と労力を投入し、けじめをつける工事をなさっています。


ワタシは、むしろ問題なのは、現在進行形で進んでいる、すなわち、ワタシ達登山者・ハイカーの中の、一部の心ない方々による心ない行為による自然への悪影響・破壊であると確信しています。
はからずも、今回、鉄バクテリアという具体的生物の活動を通して、いかに自然にとって土壌中のこういった微生物が大切かを改めて思い知りましたが、自分達の楽しみだけを目的として安易に山中あちこちでたき火(直火)をすることは、これら微生物にとっても悪影響であり、やはり、明らかに好ましくない行為と再認識しました。

また、八雲ヶ原、そして、比良山全山が、地元の方々のみならず広範囲の方々の命を支える水の、重要な水源地となっている事実も、もっともっとたくさんの方々に知っていただきたいと強く思いました。

皆さん、みんなの力で、ワタシ達の大切な比良のお山を護っていきましょう!