パイオニアに聞く社内SNS流行の理由 | 高橋暁子のソーシャルメディア教室

パイオニアに聞く社内SNS流行の理由

自分が取材して書いた記事(!)ですが、実際面白いインタビューだったので引用します。(→参照
社内SNSが最近流行しているので、ソリューションを販売しているパイオニアであるビートコミュニケーションの代表取締役村井さんに話を聞いています。
さすがパイオニアだけあって、お話も面白いし製品にも感心しました。


『今でこそ「1日20社もの問い合わせがある」というほど順風満帆なビートコミュニケーションだが、まだSNS自体が知られていなかった頃は厳しい時代が続 いた。当時は会社の経営方針でIT業界特有のコピー合戦になることを恐れ、新聞や雑誌などの取材や問い合わせなどは全て断っており、mixiが注目される ようになるまで、国内での認知も低かった。』


mixiによってSNS自体が注目を集めた結果、社内SNSにも注目が集まり、注文が増えてきたのだそうです。
企業が実際に導入してみた結果、様々な効果が認められ、口コミで広がっていったのだそうです。
mixiなどの他のSNSが大きくなればなるほど、社内SNSも注目されるという相関関係にあるのが面白いと感じました。


『社内SNSの場合、同じものがどこでも通用するわけではない。会社ごとに存在する千差万別のニーズにあわせてカスタマイズする必要があり、販売数が増えて くると、例えばバグが万一出たとしても、どこから出たか瞬時に分かるような設計にしておくことが重要となる。そのため、機能は全て最初からモジュール別に 別けられて設計されている。品質管理が何よりも重要だ。現状は一般的なコンシューマー向けのSNSではこのような設計を施している会社は殆どない。結局1 年半かけて、社内SNSならではのニーズに対応できるよう、ソースを一から起こしたのが現在のものだ(以上引用)』


社内SNSは個別のカスタマイズが大切です。
個別のバグに対応できるよう、どこからバグが出たのかが分かるようにソースを一から起こして作り直したのが今の商品なのです。
だからこそ、一日20件もの依頼にも対応していけるというわけです。
つまり、通常のSNSとはまったく別物なので、一つを作って使い回すということはできないし、そうではないからこそうけているのです。


『同社の製品の特徴として、社内SNSならではのきめ細やかな配慮を大切にしていることが挙げられる。まず、IDを連番にしないなどの個人情報を守る確かな セキュリティを実現していることが、重要な点だ。他にも、システムに詳しくない管理者であっても管理画面から自由に詳細をカスタマイズできる仕組みにした り、SNSは急激にユーザーが増える傾向があり負荷が通常のサイトの何倍もかかるため、業界で唯一負荷テストなどを実施し、安定して使用できるように心掛 けている点も大切だ。同社は、これらの条件がクリアできて初めて信頼のおけるSNSとして成功すると考えている。(以上引用)』


社内SNSは普通のSNSとは違い、個人情報に関する規制がとても大きいです。
大企業が顧客となるケースが多いので、特に細かな規定があることが想像できます。
サーバーの負荷に対するケアや、システムに詳しくない管理者でもカスタマイズできることなどは、実にユーザーのことを考えた仕組みだと思います。


『具体的には、「社内コミュニケーション」、「内定者の囲い込み」、「OB・OGの囲い込み」のために使われるケースが多いという。(以上引用)』


これが、社内SNSに関するニーズのうち大きなものです。
社内コミュニケーションはナレッジマネジメントなどの役に立ち、内定者の囲い込みは”内定者SNS”によって内定者の辞退を減らす役目を持ち、OB・OGの囲い込みはたとえば休職社員の代休要員の確保などに役立ちます。


『「社内SNSが成功するには、招待制と本名登録が大切」と同氏。最初に強制登録してしまうと全体に盛り上がりが欠ける可能性はあるという。全員登録にする と使っていないユーザーが出てくる上、一人一人が誰ともつながっていない孤立した状態でスタートすることになってしまう。招待制にすれば親しい者、同士が つながることになるので、お互い書き込みもするし盛り上がりやすい。また、誰にも招待されない人は管理者に声をかければ入れるようなルールにするのがお勧 めだ。本名登録を採用するのは、その方が参加者が発言に責任を持つからだ。ただし、内定者SNSの場合は、仲間はずれになる人がでないよう、強制登録に し、全員リンクした状態にした方がいいなど、SNSの使用目的や参加者によって運営方法は柔軟に変えていく。(以上引用)』


招待制にし、本名登録するのが社内SNSを成功させる秘訣です。
つまり、自主性と責任感を持たせることが大切なのです。
やりたいと思わない限りそもそもやらないし、責任感を持たせることで使う際の態度が変わってくるでしょう。

社内SNSはまだまだ使い方によっては広がっていくのびしろがある気がします。
非常に面白い分野なので、これからも注目していきたいと思います。


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