旅立ち | 西本朱希オフィシャルブログ「朱鬼」Powered by Ameba

旅立ち

一番大切な人が


今、旅立ちの支度をしている。



彼女は前世では、

たぶん、


私と歳がかなり離れた妹


・・だったんじゃないかと


今思う。



私の兄や姉には


甘えたりするようなことはないのに



私には


「付いてきてよぉ~、

一人じゃ行けないよぉ~」


と、いつも言う。




細くてちっちゃい身体に


白装束を着させられて


穏やかな顔して

旅立ちの日を待つ彼女に


「頑張ってね!」


と、


励ましの声をかけて


杖を渡した。




知らんぷりしていれば


脇目も振らずに


スタスタ歩いて行ってしまう

彼女だから


心配する必要など


全くないのは解っているけど、



こんなに細い身体で


ちゃんと向こうまで


歩いて行けるかな?・・・と



心配で心配で仕方がない。




この前、私が切ってあげたばかりだから


髪型もバッチリ決まっているね・・・。



私は付いて行くことはできないけれど


たとえ道のりが遠くても


しっかりね・・・。



頑張れ!ままちゃん!



(女手一つで3人の変わり者を大学まで進ませた母は

76歳まで、小学生から大学受験に至るまでの算数・数学を

慕って付いてくる生徒たちに現役講師として教えていました。

バカ正直で、測量計の針を振り切るほどの完璧主義者で

身体は小さいのにゴッドマザーの様な貫禄を持った母が

9年前に病気を発症し

それからというもの、急に“小さな存在”となって、

理解できない苦しみと戦いながらも、それでも生きてきてくれました。

永眠する4時間前に、呼吸も苦しく唾もうまく飲み込めず、

たぶん想像以上の辛さ苦しさだったのだと思いますが

私の目を見ながら何か一生懸命、言葉を発しようとしていました。

どうしても発することもできず、代わりに、

力を振り絞って、最高の笑みを私に見せてくれました。

母は、死はその人の“おわり”を意味するもので

それ以外のものは何も存在しない。という考え方でしたが

先祖から引き継いだ宗教の仕来りの元で葬儀を執り行いました。

今までは「母が居れば、そういった場の作法はすぐに教えてくれるし・・」

・・だった、その母の葬儀でしたから

そこで自分の無知や未熟さなどを痛感することもできました。

本当にありがたい母の存在そのものを表した

新たなお名前を授けて頂く事ができ、

私が追い付けないほどの速さで、脇目も振らず、

母は行くべき道を進んでいるような気がしています。

自分の事が何か原因となって、私たちが仕事を休んだり

何かを諦めたりすることを、とても嫌がる母でしたので

私は、母が亡くなった次の日から、いつも通り

しっかり仕事をさせていただいています。

小さくなってしまった母から大きな存在にまた戻ってくれた母が

観ていて喜んでくれる様に

自分を磨いていく努力を、自分のペースで構わないから

していくぞ・・・と、心に今、誓っています。

心配して下さいました皆様、ありがとうございました。

これからも、頑張ります。よろしくお願いいたします。2016/6/13)