追悼:幸日出男先生 | MTFのAkemiのblog イタリア児童文学・皆既日食・足摺岬が好き

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私は、イタリア児童文学が大好きで、皆既日食も大好きで、足摺岬も大好きな、団塊の世代に属する元大学教員で、性別はMTFです。季節の話題、お買い物の話題、イタリア語の勉強のしかた、新しく見つけたイタリアの楽しい本の話題などを、気楽に書いていこうと思っています。

拙著『間違いだらけの靖国論議』

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の執筆にあたっては、国立国会図書館編『新編靖国神社問題資料集』を徹底的に調べて、本の中でのわたしの記述・主張の多くについて「史料的裏付けはこのとおりである」と挙証させていただいたほか、先人による既刊の単行本や雑誌論文に中にまとめられている知見にもなるだけ言及させていただきましたが、ただ、全体を専門的学術書というほど堅苦しいものにはしないため、また、ページ数をあまり増やさないため、参考にした文献にくまなく言及することはしませんでした。

 

「引用・参照文献」のリストは、具体的な引用箇所、言及箇所がある文献に限って載せることにし、全体として大いに参考になった書物や論文でも、具体的引用箇所、言及箇所がないものについては、リストから外しました。

 

そのせいで、1985年時点で「同志社大学教授」(2003年時点では「同志社大学名誉教授」)という肩書きがついていた幸日出男〔ゆき・ひでお〕先生という人の主張には大いに共感するところがあったにもかかわらず、拙著での引用・参照文献リストには挙げませんでした。

 

1985年の幸先生の文献というのは『ジュリスト臨時増刊――靖国神社公式参拝』

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に載っていた「靖国神社公式参拝の意味」という座談会の中でのご発言であり、もうひとつ2003年の文献というのは菅原伸郎編著『戦争と追悼――靖国問題への提言』(八朔社)

戦争と追悼―靖国問題への提言 | 伸郎, 菅原, 日出男, 幸, 静芳, 本多, 隆, 広橋, 暁洋, 児玉, 行信, 池田 |本 | 通販 | Amazon

に載っていた「追悼懇の『報告書』を考える」という論文でした。この二つの文献から拝見するに、国家と宗教の関係の望ましい在り方はどうかというテーマについて、高い見識をもっておられた方のようです。

 

前者については、当ブログでも言及したことがあります。

1985年まで戻って考え直そう | MTFのAkemiのblog イタリア児童文学・皆既日食・足摺岬が好き (ameblo.jp)

 

昨今の靖国論議の劣化ぶりと比較したとき、あのころの議論はずっと質が高かったではないかと、わたしは言いたかったのです。

 

で、拙著をこのテーマに縁のありそうな方々におおむね献呈し尽くしたあと、ふと、「あの幸先生にも、できたら見ていただきたいものだ」と思いつきました。1926年生まれとありましたので、ご存命ならかなりの高齢になっておられるだろうけれど、長寿社会のこのごろだから、ご健在かもしれないと思ったのです。で、現在同志社大学神学部教授としてご活躍中の小原克博さんに連絡をとって、「幸先生がもしご健在で、ご住所を知ることができれば、ぜひ拙著を献呈したい」と申し上げてみました。

 

するとまことに残念なことに、10年ほど前にすでに帰天(他界)されているとのことでした。そのお返事につけ加えて、小原先生ご自身、幸先生からは大きな薫陶を受けたとおっしゃっていました。

 

なるほど。

 

残念ながら拙著を献呈することはかなわなかったわけですが、幸先生ならばこのたびの拙著の記述の多くの部分につき、ご賛同いただけるのではないかとあらためて思いました。

 

天国でのご活躍を祈念いたします。