鳥栖教会山元神父のオンライン入門講座 | MTFのAkemiのblog イタリア児童文学・皆既日食・足摺岬が好き

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私は、イタリア児童文学が大好きで、皆既日食も大好きで、足摺岬も大好きな、団塊の世代に属する元大学教員で、性別はMTFです。季節の話題、お買い物の話題、イタリア語の勉強のしかた、新しく見つけたイタリアの楽しい本の話題などを、気楽に書いていこうと思っています。

コロナ禍の「怪我の功名」で、それまで対面授業方式でしか実施されていなかった各種講座がオンライン化された例が多く、それがYouTube動画として永続的にアップロードされているものも多いですね。

 

カトリック教会の入門講座でも、聖イグナチオ教会の入門講座が2020年度にはオンライン講座として開かれましたし、九州佐賀県の鳥栖教会の教区司祭・山元眞神父の講座がやはりそうでした。ただし、2021年度も同じ形式で開いてくださるかと思ったら、そうはならず、山元神父の講座は一昨年待降節の第9回、第10回が「締め」となって、以後更新されなくなりました。

 

その最後の2回、福音書にみる降誕物語をどう理解するべきかのお話は、たいへん示唆に富むものでした。

 

福音書を繰り返し読んだ者なら知っているように、降誕物語は「マタイによる福音書」のバージョンと「ルカによる福音書」のバージョンとでかなりの相違があります。マタイにある「東方三博士」や「聖家族のエジプトへの避難」や「ヘロデ王による嬰児殺戮」はルカにはなく、ルカにある「ローマ皇帝による人口調査」や「馬小屋に泊まった話」や「羊飼いの訪問」はマタイにはありません。そればかりでなく、マタイではヨセフとマリアの夫婦はイエスの降誕まではベツレヘムに定住していたことになっており、彼らがナザレに住んだのはエジプトからの帰還後ということになっています。共通している部分はかなり少なく、降誕の場所がベツレヘムであったこと、ヨセフがダビデ王の家系に属していたこと、マリアの懐妊は聖霊によるものだったこと、イエスの育った土地はナザレだったことだけです。

 

二つの降誕物語は、たんに補完的な情報を提供しているとは理解できず、相互に衝突する情報になっている部分もあるのです。

 

現在のカトリック教会では、一部のプロテスタント教会のように「聖書は一言一句を史実として読まねばならない」とは教えておらず、表面的な記述の奥にあるメッセージを全体として受け止めることが重視されているとのことです。山元神父の解説はなかなか興味深いです。

 

 

 

この山元神父の講座、いつかまた再開していただきたいですね。