ラマダン(断食月)が始まって3週間ほどが経ちましたが、
今もスーダンでは完全な民政移管を求めて軍本部前で座り込みやデモ行進が続いています。
(デモの簡単な説明は前回の記事をご覧ください⇒コチラ)
今回の抗議運動には様々な年齢層、立場のスーダン国民が参加しているのですが、
私がスーダンにいたときに教えていた日本語学習者たちももちろん参加しています
デモ行進や座り込みなどはスーダン専門職組合(SPA)という組織がSNSなどで呼びかけて行われていることが多いようですが、
先月、様々な団体やコミュニティが各グループでデモ行進をした日があったそうです。
その日は、スンドスさんという日本語学習者の呼びかけで、
日本語学習者も日本語のプラカードを持ってデモ行進を行いました
そして、なんとそれが日本のメディアに取り上げられたのです
Youtube:
“Kyodo News” 『スーダン、デモで日本語も 学生ら「私たち知って」』
ネットニュース:
BuzzFeed.News 『この写真を見て、あなたは何を思いますか?』
デモを呼びかけたスンドスさんは20代半ばで、
12月からの抗議運動の少し前にハルツーム大学の医学部を卒業したばかりです
日本語の歌をイベントなどで披露したりしているコーラス部では、ギターを担当しています
彼女には5年程前にスーダンで日本語を教えていたのですが、
大学の勉強と平行して、とても一生懸命日本語の勉強に取り組んでいました
【Singin♪ Sudan】世界にひとつだけの花(Short ver.) Sekai ni hitotsudake no hana
ギターを弾くスンドスさん
デモに参加していた日本語学習者は全体のほんの一部ですが、
ほとんどが20代の若者たちで、私が教えていた学習者もちらほらいました
スーダンの日本語学習者は、みんな“日本が大好き”で、授業以外でも仲がよく、仲間意識がとても強かったです
各レベル、週に2回しか授業はありませんでしたが、仕事や大学が終わってから、毎日のように会っている人もいました
それぐらい生活の中心が、日本語学習者や日本人の仲間たちとのコミュニティになっている人もいましたが、
そんな彼らに、JICAボランティアは昔から色々とお世話になっています
また、仕事や勉強が忙しくても、日本文化紹介のイベントにも積極的に参加してくれる人が多かったです
ですので、今回このようなかたちで、日本語学習者として、
日本語のプラカードを持ってデモ行進をしようという発想になったのも彼ららしいなぁと思いました
ちなみにプラカードを担当したのは、書道部の部員たちだそうです
少し古いですが、書道部の活動を紹介した動画です
プラカードには「自由」「平和」「正義」、「民政がほしい」などと書かれていました
「自由」「平和」「正義」を日本語とアラビア語で訴えながら、行進する日本語学習者
一部「夢 スーダンは日本よりましだ」、「血には血を」など、えっと思うプラカードもありましたが、
ちょっと間違った表現になってしまっただけで、決して過激な訴えをしたのわけではありません
「夢 スーダンは日本よりましだ」
⇒「(私たち)の夢はスーダンが日本よりよくなることです」
もう少し柔らかくいうとこういうことだそうです・・・
⇒「(私たち)の夢は、スーダンが日本と同じぐらいいい国になることです」
「血には血を」に関しては、「血」であったり「暴力」で解決するということではなく、
政府側が武力でデモ隊を弾圧しようとしたことにより、亡くなった方もたくさんいるので、
大統領をはじめ、旧政府には新しい政府のもと、法律に基づいてその罪をしっかりと償ってほしいという訴えだそうです
今回、日本語のプラカードを掲げ、デモを行った理由をスンドスさんに聞いたところ、
スーダン国民の声を世界中の人に知ってほしいという想いがあり、
日本語学習者として自分たちができることはこれだと思ったからだそうです
先ほど紹介したBuzzFeed.Newsの記事はYahoo!ニュースでも紹介されていて、
全然スーダンを知らなかった人たちからもコメントがたくさん投稿されていました
内容はいいものも悪いものもありますが、
日本語で表現したことで、こんなにも反響があるとは彼らも驚きだったようですし、
このようにスーダンの現状を知ってもらえてうれしいとスンドスさんが言ってました
私自身は、今回の一連の抗議運動を日本で見ていて、とても複雑な気持ちになりました・・・
スーダンは転換期を迎えていて、国民一人ひとりが一致団結しないといけないのは理解できるので、
抗議運動に熱心に参加している教え子たちは、本当に行動力があって、尊敬するし、応援したいのですが、
万が一、武力衝突に巻き込まれて、何かあったら・・・と思うとみんなになんて声をかけたらいいのか言葉が見つかりませんでした
「がんばってね!」もなんか違う気がするし、「危ないから、行かないで!」とも言えないし・・・
今も複雑な気持ちは残りますが、
とりあえず、私ができることはスーダンの記事をシェアしたり、
ネットの記事には載っていない彼らの一面を紹介することかなと思い、
デモ行進に参加した日本語学習者の記事を書きました
あとは、ただただ彼らの無事と一刻も早い民政化を祈るだけです
今回のデモ行進でスーダンを知った方々には、
これを機に、是非スーダンの日本語学習者の日本愛も知ってほしいです
まだ知らないあなたは是非、スーダンと日本関連の情報を発信している「スーダン日本語チャンネル」をご覧ください
「スーダン日本語チャンネル」
Facebook ⇒ コチラ
Youtube ⇒ コチラ
ところで、今も続く座り込みの抗議ですが、毎日40度を余裕で超える暑さなので、
エアコン付きのテントを張っているそうです
イフタール(断食明けのご飯)は、こんな感じで食べているそうです
スーダンでは、結構このような御座を敷いてみんなで食べるスタイルをよく見かけますが、
こんなに御座が連なってるのは初めてみました
この1、2週間、あまりスーダンの話題を海外のニュースでも見なくなったので、
教え子に最近の動向を聞いたところ、暫定軍事評議会が民政移管を正式に拒否したため、
今週の火曜日と水曜日に市民的不服従を行い、全国的なストライキが行われるとのことでした
さらにこんな状況の中、スーダン軍はサウジとイランの対立に、サウジを支持すると宣言したらしく、
それに対して、今度はイランが怒って、スーダンなんかいつでも爆撃できるんだぞ、と脅してきているとか。。。
暫定軍事評議会は、スーダン国民の意に反したことをやっていて、自分たちを代表していないということも訴えたいそうです
どうかこれ以上けが人や死者なく、この革命を乗り越えられますように・・・
★にほんブログランキングに参加中です!
1日1回、「青年海外協力隊」にワンクリックお願いします★