- 世界の名作文学案内 これだけは読んでおきたい (これだけは読んでおきたいシリーズ)/集英社
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「漫画で読む世界文学の傑作106編!!
すべての作品のあらすじや作家を紹介し、文学コラムも充実。
子どもも大人も楽しめる、ひと目でわかる文学案内。」
だそうです。
中学校以上で教わる漢字には、振り仮名がふってあることと
このイラストの印象から 子供向けのものだと思って・・・・・いい、ですよね?
「漫画」とありますが、漫画が載っている作品はごく僅かで
イラストと言った方が正しいかな。
個人的には、こういう絵は好きじゃない~~。
もちょっとシックな感じにした方が、売れると思うよ。
イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、ロシア文学を中心に
「ヨーロッパ各国の名作文学」として、アンデルセンやアルプスの少女、ピノキオ、存在の耐えられない軽さや「中南米」「アジア・アフリカ」まで網羅しているところが素晴らしい!!!
コラムの文学ガイドもかなり良い出来で、結構詳しい。
ちゃんと時代ごとに追っているし、こういう類にしてはとてもよくまとめられていると思います。
よく、ここまで入れられたよねぇ。
イギリス文学
シェイクスピアはラムの『シェイクスピア物語』として、リア王が挙げられていました。
小学生が対象と考えると、妥当。
でも、なんで『リア王』なんだろう?
作品の価値から言えば妥当なんですが、小学生なら『ロミオとジュリエット』じゃない?(子供向け小説版で読みました。でも、当時は全く良さが分からず。)
『ガリバー旅行記』、『クリスマス・キャロル』、『幸福の王子』あたりはわかる。子供が好みそうだもの。
ただ、『蝿の王』は小学生にはまだちょっと。
『嵐が丘』も、まだまだきついんじゃ。
ロレンスは何故か、『息子と恋人』が選ばれていました。まあ、チャタレーはね・・・小学生にはね。
きっとあのろくでなしの息子に引っ掛かったんだろうけど、子供向きではないよ、あれはー。
なんて思うのもつかの間。
ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』が!!!
え、これ、子供向きのとかあるの?
いやいやいやいや。
フランス文学
『レ・ミゼラブル』。これは短縮版でも、小学生くらいで読んでおいたら人生変わりそうですねー。
道徳の教科書で衝撃を受けたのは、私だけではないはず。
いい加減、ヴェルヌの『海底二万マイル』、ルブランのルパンシリーズ読んでみようかなぁ。
本書では『奇岩城』が載っていましたが、これは初めてのルパンには向かないような。お勧めありましたら教えて下さい♪
モーパッサンの「首飾り」があるのは、嬉しい限り。
子どもでも大人用の翻訳を十分読むことが出来、十分理解することが出来るであろう名作。
こういう作品が本当の名作なのかもしれません。
子供の時に読んでおけば・・・・・・。
ドイツ文学
はっきり言って、イギリス、フランス、ロシア、アメリカの中では小粒感のぬぐえないドイツ。
本書でも書いてありましたが、ゲーテがいなければドイツ文学の地位というのはもっと低いものだったでしょう・・・・。
「ドイツ文学は好きではないけれど、ゲーテだけは例外」
という人の、なんと多いことか! ※私もそう。ヘッセはエッセイは好きだけど、作品好きじゃないし
ヘッセの『車輪の下』は、中学生で読むのがベストだと思います。
高校2,3年で読むべきものではないような。
私も中学生で読みましたが、まー、あんまり好きじゃないって感想だったけどね!
『モモ』は小学生向きですよねぇ。
レマルクの『西部戦線異状なし』は、今回興味を持った本。
こういう話だということを知らなかったので、衝撃を受けました・・・・・なんだ、これは好きそう。
究極の反戦ものだったんですね。
あと、シュリーマンの『古代への情熱』が。
トロイなんて、子供が知ってるかなぁ。
ギリシャ神話関連は好きでよく読んでだけど、トロイって知らなかったはず。。。
ロシア文学
ちょっと!!!!!
なぜ、トルストイの『戦争と平和』がランクイン!???
子供に読めるわけがないでしょ(((( ;°Д°))))
『罪と罰』は、出来る限り若いうちに読んでおくべきだというのは
わかるんだけどね・・・・。
アメリカ文学
O・ヘンリーなんかは、子供の頃こそに読むのがいいのかもしれませんね。
自己犠牲の美を描いたものは好きだけれど、O・ヘンリーのは、「美しいでしょ!いいでしょ!ここで泣いて!さあ、泣いて!いいでしょ!」って、やたら押しつけがましく感じられてしまって
苦手・・・・・・・(´・ω・`)
文学研究者が嫌う(苦手とする)作家ナンバーワンがO・ヘンリーな気がするのですけれど
子供にはすごくいいよね。
で、またヘンリーなのですが・・・・・
なぜか、ヘンリー・ミラーの『南回帰線』がランク・イン。
私は学会のために読んだけれど、これ、普通読まなくないですか?
普通南じゃなくて、北じゃないですか?
えええええ?
中南米文学
マジック・リアリズムがとーーにかく苦手で苦手で仕方がない私には
中南米=苦手
となってしまい、読む気すら起きません・・・・・。
このチャレンジ精神は素晴らしいのだけれど、どぉぉぉしてもだめなの。
『百年の孤独』くらい読んどくべきなんだけど。
アジア・アフリカ文学
コーツィの『恥辱』という本がありました。
へえ、同じタイトルのがあるんだ、と思ったら
写真は、クッツェー・・・・・・。
え、だれ、コーツィって。
西洋文学で基礎となっているのは聖書とギリシャ神話なんですよー。
というのを大変分かりやすく説明してくれている上に、
ちゃんと有名どころのホメロスやらウェルギリウスやらもカバーしているのがエライ。
多少セレクトに突っ込みを入れたくもなりましたが、
こういう本を小学生くらいに読んでいたら・・・・・・・大袈裟じゃなく、人生変わると思うのですよね。
子供の頃に、結構(というか、親と先生から外で遊べと図書室から追い出されるほど)本を読んでいたはずなのですが
こういう類のは読んでないな~。
徐々に年齢を重ねるうちに、理解できるようになる。。。。。という経験も
読書の醍醐味の一部ですし。
内容的には非常によく出来た本だし、作家についてもよくまとまっているのに
やっぱりイラストがよくないー。かるいー。
小難しさが出ないようにしたのでしょうけども、
このデザインの本を家に置きたいとは思えないなぁ(´・ω・`)
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