エドウィン・ドルードの失踪 (創元推理文庫)/東京創元社
¥420
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最近は読む本読む本面白くて、レビューしたいものが溜まっています。

良いことですね(*^-゚)v


さて、これは以前書いた、ディケンズの未完作品の事件をシャーロック・ホームズが解決する、という

いわゆる贋作ホームズのひとつです。


ネタバレはありませんので、ご安心を。


「贋作」って、ニセモノって意味ですよね。

ドイルが書いたホームズじゃないんだから偽物ではあるわけなんだけど、

別に悪意があって書いたわけではないんだし、この言い方はなーーんか引っ掛かります。


そもそも「贋作」は悪意があったものをいうのか、と尋ねられると困ってしまうのですが

これって、偽物であるということをばれないように発表したもの、だと捉えていたのですが、どうなのでしょう?


贋作画家とか、贋作作家っていい意味合いじゃ使いませんよねぇ。

有名どころだと、なんだっけ、ナチスを手玉に取ったとして最終的に英雄となった画家とか。

シェイクスピアでも贋作はありますねー。


って、まあ、それはいいや。個人的には贋作ホームズよりもパスティーシュのほうがしっくりきます。


ご興味のある方は、

シャーロック・ホームズのパスティーシュとパロディをまとめて下さっている方がいらっしゃるので

 →リンク

こちらをどうぞ。


エドウィン・ドルードの謎 (創元推理文庫)/東京創元社
¥840
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さて、本題に入りましょうか。


『エドウィン・ドルードの謎』は、ディケンズ未完の書


面白いのが、事件発生までに300ページ近くかかるということ。

ディケンズって長編が多いからか、比較的ちんたらちんたら進んでいくのですよね。

加速が遅い。

そこが面白くない(苦笑)

ちんたらしてるから、物語に入り込むのにやたら時間がかかる作家です。


・・・と書きましたが、今回は比較的入り込みやすく、面白かったです。


かなり割愛したあらすじ。


エドウィン・ドルードと犬猿の仲のネヴィル・ランドレス

エドウィンの叔父ジャスパーの仲介のもと、クリスマスの夜(たぶん)に

和解のディナーを共にすることになります。


ようやく友好的になれた二人は、その日は大雨だったとかで川をふたりで見に行くことに。


そしてそこで事件発生。


エドウィンは行方不明になってしまいます。

当然、疑われるのはネヴィル。


さて、犯人は本当にネヴィルなのか? というストーリー。



何度も言うように「未完」なので、事件は解決しません。

しかし、ディケンズは手記などが残っているので (ああ、なんと羨ましい!!いいよね!)

犯人が誰であったか、というか、誰のつもりでディケンズが書いていたかはほぼ分かっている状態みたい。


※詳しくは『エドウィン・ドルードの謎』解説をどうぞ。


・・・・で、今回の ピーター・ローランド『エドウィン・ドルードの失踪』は、


ジャスパーがホームズのところへやってきて、事件を依頼するというところから始まります。


これまた、かなりそれっぽく描かれていて面白いです。


結末はやや無理やりな気がしないでもないですが、

ドイルの書いたホームズも、それはあるじゃないですか。

なんだろう、リアリティはそんなにないですよね。面白いし、好きなんだけど。

現実的にこんな事件起こらないから!というものが多い。


そのあたりまで似ていて、ホームズこんな推理しそうだなぁ~~~


という気にさせられます。



ちなみに、本書の解説は、ディケンズの『エドウィン・ドルードの謎』を訳した小池氏。



著者のピーター・ローランドは、

歴史学の学位を得て卒業、首相の伝記や、ディケンズの自叙伝の編集をしたりしていた人らしいです。


小池氏は彼を歴史学の専門家、と記しているのですが

学位って大学卒ってだけでしょ。

それで専門家と呼べない気はします。うん。



あと、ローランド氏はオーストラリア人。

だからテーマ分けにちょっと困ったのですが、

イギリス植民地だったところは全部イギリス文学にしちゃう、というのがありますし

ホームズもディケンズもイギリス人だしなぁ。

ちょっと迷いつつも、イギリス文学にジャンル分けしました。



タイトルのエドウィン・ドルードの失踪、というのは、もともとディケンズが考えていたタイトルのひとつらしく、

これが書かれたノートはヴィクトリア&アルバート博物館図書室に所蔵されており、

小池氏はそれを見たらしい。

ローランド氏も当然見たはずだ、と考えています。


さらに、これをもしシャーロック・ホームズを推理するならば・・・・!


ということを考えた人はローランド氏以前にいたらしく、

彼はその指摘を利用したようですね^^



どうやら、ディケンズの登場人物の名セリフが入っていたりするようで、

ディケンズファンはにやにやしながら読めるのではないでしょうか。


月長石 (創元推理文庫 109-1)/東京創元社
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ちなみに、ウィルキー・コリンズの『月長石』に刺激されて、

ディケンズはミステリーを書こうとした、と言われています。


私はまだこれ読んでいないので、いずれは読みたいな~~。

シャーロック・ホームズの秘密ファイル (創元推理文庫)/東京創元社
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今借りてきているのはこれ。


こちらは短編集です。面白いといいな~~♪