- 予約更新です
- 遅い男/J・M・クッツェー
- ¥2,100
- Amazon.co.jp
J. M. クッツェー。ブッカー賞を初めて2度受賞した人で、ノーベル文学賞受賞者。
南アフリカ出身で、現在はオーストラリア在住。
ノーベル文学賞、ブッカー賞受賞者の中でも知名度が高い現代作家なので
けっこう有名な方ですね。
今回もこれまた、かなり面白い!!
イアン・マキューアンとテイストが結構似ているように感じられるので、
マキューアンがお好きならクッツェーも是非是非。
・・・・・の、もっとも新しい翻訳がこちら。
なんと、翻訳は鴻巣友季子氏です。
やっぱりね。巧い、んですよ。クッツェーも鴻巣氏も。
翻訳を読んでいる、というよりも、原文を味わっている感覚。
そんなふうに訳せる人って、殆どいないと思います。
今回の『遅い男』の主人公は、60代男性 ポール・レマン。
冒頭でいきなり自転車の事故に遭い、(鴻巣氏も指摘しているけど、ここがほんとクッツェーらしい描写の仕方)
片足を失う。
介護士としてやってきたマリアナ・ヨキッチ。
次第に彼はマリアナに惹かれていく。
しかし、彼女は夫も子供も3人ある身。
そんなときに現れる、見知らぬエリザベス・コステロという女性作家が・・・・・・
- ¥1,890
- Amazon.co.jp
エリザベス・コステロ。
↑タイトルにもなっています。既読、ですが内容ほとんど覚えていない(苦笑)
いきなりそのコステロ女史が登場してくるわけですね。
コステロは、作者クッツェーの分身。
正直なところ、非常に戸惑ったのですが・・・・・・・・・こういう作品を読んだことがなくて。
でも、ポストモダン文学では使い尽くされた手なんだそう。
ああ、このあたり全然読んでないもんな。
エリザベス・コステロは、現代のデウス・エクス・マキナであると言う鴻巣氏。
古代の、本来のデウス・エクス・マキナのように無理やりなことはしません。
普通であれば、事故に遭い、片足となった60代男性と、彼の介護士である美しく若い女性が恋に落ちる。
しかし、彼女には夫も子もあり・・・
⇒ ① 二人は結ばれる。 夫が死んじゃうとか、子供が認めるとか、なんかいろいろあって。
② 彼女は家族を捨てられず、泣く泣く二人は別れる、という『マディソン郡の橋』的展開
というありきたりなラブ・ロマンスになりそうなんだけども、さすがはクッツェー。
そんな展開にはなりません。
マキューアンもクッツェーも、文学的に優れています。普通に読んでいても上手いことは十分に分かるし、難しいことを考えなくてもかなり面白く読めます。
しかし、文学的解釈をし出そうとすると・・・・・・かなり難しめな現代小説な気がするんですよね。
浴室の鏡にカバーをかけ、自分の姿を見れないようにしていることが印象的。
べつに、老いた醜い自分の姿を見たくない、というわけではないそう。
どこにもアイデンティティを見つけられない男。
自分を見つめ直す、見つけることができない男。
悲哀が感じられますが、愚かには感じられない。
決して笑えるような話ではないのです。
- 恥辱 (ハヤカワepi文庫)/J.M. クッツェー
- ¥840
- Amazon.co.jp
クッツェーの代表作で、ブッカー賞受賞作の『恥辱』。
かなり好きです。『遅い男』と甲乙つけがたい。
- マイケル・K (ちくま文庫)/J.M. クッツェー
- ¥1,050
- Amazon.co.jp
- ブッカー賞受賞作。こちらは読んでいません~~。
クッツェーって、思っていたよりも作品結構書いているみたい。
翻訳も10以上あるのかな?
私はまだ3作品しか読んでいないので、もっと読んでみたいと思います。