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遅い男/J・M・クッツェー
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J. M. クッツェー。ブッカー賞を初めて2度受賞した人で、ノーベル文学賞受賞者。

南アフリカ出身で、現在はオーストラリア在住。


ノーベル文学賞、ブッカー賞受賞者の中でも知名度が高い現代作家なので

けっこう有名な方ですね。


今回もこれまた、かなり面白い!!


イアン・マキューアンとテイストが結構似ているように感じられるので、

マキューアンがお好きならクッツェーも是非是非。

 

・・・・・の、もっとも新しい翻訳がこちら。


なんと、翻訳は鴻巣友季子氏です。


やっぱりね。巧い、んですよ。クッツェーも鴻巣氏も。


翻訳を読んでいる、というよりも、原文を味わっている感覚。

そんなふうに訳せる人って、殆どいないと思います。


今回の『遅い男』の主人公は、60代男性 ポール・レマン。

冒頭でいきなり自転車の事故に遭い、(鴻巣氏も指摘しているけど、ここがほんとクッツェーらしい描写の仕方)

片足を失う。


介護士としてやってきたマリアナ・ヨキッチ。


次第に彼はマリアナに惹かれていく。


しかし、彼女は夫も子供も3人ある身。


そんなときに現れる、見知らぬエリザベス・コステロという女性作家が・・・・・・


エリザベス・コステロ/J.M. クッツェー

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エリザベス・コステロ。


↑タイトルにもなっています。既読、ですが内容ほとんど覚えていない(苦笑)


いきなりそのコステロ女史が登場してくるわけですね。


コステロは、作者クッツェーの分身。


正直なところ、非常に戸惑ったのですが・・・・・・・・・こういう作品を読んだことがなくて。


でも、ポストモダン文学では使い尽くされた手なんだそう。

ああ、このあたり全然読んでないもんな。


エリザベス・コステロは、現代のデウス・エクス・マキナであると言う鴻巣氏。

古代の、本来のデウス・エクス・マキナのように無理やりなことはしません。



普通であれば、事故に遭い、片足となった60代男性と、彼の介護士である美しく若い女性が恋に落ちる。

しかし、彼女には夫も子もあり・・・


      ⇒ ① 二人は結ばれる。 夫が死んじゃうとか、子供が認めるとか、なんかいろいろあって。

         ② 彼女は家族を捨てられず、泣く泣く二人は別れる、という『マディソン郡の橋』的展開


というありきたりなラブ・ロマンスになりそうなんだけども、さすがはクッツェー。

そんな展開にはなりません。





マキューアンもクッツェーも、文学的に優れています。普通に読んでいても上手いことは十分に分かるし、難しいことを考えなくてもかなり面白く読めます。

しかし、文学的解釈をし出そうとすると・・・・・・かなり難しめな現代小説な気がするんですよね。



浴室の鏡にカバーをかけ、自分の姿を見れないようにしていることが印象的。


べつに、老いた醜い自分の姿を見たくない、というわけではないそう。


どこにもアイデンティティを見つけられない男。

自分を見つめ直す、見つけることができない男。


悲哀が感じられますが、愚かには感じられない。

決して笑えるような話ではないのです。

恥辱 (ハヤカワepi文庫)/J.M. クッツェー
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クッツェーの代表作で、ブッカー賞受賞作の『恥辱』。

かなり好きです。『遅い男』と甲乙つけがたい。


マイケル・K (ちくま文庫)/J.M. クッツェー
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ブッカー賞受賞作。こちらは読んでいません~~。

クッツェーって、思っていたよりも作品結構書いているみたい。

翻訳も10以上あるのかな?

私はまだ3作品しか読んでいないので、もっと読んでみたいと思います。