動物裁判 (講談社現代新書)/池上 俊一
¥735
Amazon.co.jp

長い長い、夏休みが終わりました。(1ヵ月半。以前は2カ月あったけどね。)

・・・・・・なんも夏休みじゃないよ!

という感じの夏休み。

社会人の友達は「いいなー」っていうけど、逆に学生って「完全オフ日」ってないからね。

書けるかどうかとても不安だった、集中講義のレポートが今日終わって、ご機嫌ですきゃー

では、本題に。


「動物裁判」って、みなさまご存知でしょうか?

私はごく最近なんかの本で読んで初めて知りました。

どの本ですか、なんて聞かないでくださいね。忘れました。

↑こういうの凄く人生損している気がしてならない。

簡単にいえば、読んで字の如く 動物を裁判にかける、 ということです。

衝撃を受けて読んでみたのがこれ。

何を馬鹿げたことをやってるんだよ、と言いたくなりますが

これがまあ、大真面目にやってるんですね・・・・・。

面白いなと思ったのはこの本の前半部分。

後半はそんなに、と思ってしまったけど

前半だけでも読む価値は大いにあります。

色々考えさせられるし、やはり歴史って自主的に学んでいくべきだな・・・・と。

裁判にかけられる動物で最も多いのは、

豚といってもこんな→ブタ可愛らしいものではなく

当時の豚っていうのはまだイノシシに近い、牙の生えた黒豚だったそうです。

だから相当に獰猛な動物で、一種の狂犬病のようなものにかかっている時などは猛獣に化した、と。

豚が人を殺した、という例は結構多かったようです。

それだけではなく、豚が人を殺して、食べた。なんて例もあるようで・・・・。

とにかく、豚による殺人というものが裁判に最も多くかけられたケース。

あとは獣姦も多かったようですね。

この場合、動物も一緒に処刑されたのだとか。ただ、すこしは動物は人間よりも刑が軽くなったみたいなのだけれど、ほんとに「すこしは」。・・・・いい迷惑ですよね・・・・。

獣姦って証拠がないため、結局は「あいつ消えてほしいな」と思った人物を密告して、処刑・・・・

ということも多くあったようです。

魔女狩りみたい・・・・。

実は動物裁判って、文学作品にも登場しています。

ディズニーアニメの基になった、ヴィクトル・ユゴーの『ノートル・ダム・ド・パリ』

エスメラルダはヤギにアルファベットやものまねを仕込んでいて、それが妖術を使うとされ裁判へ。

そしてエルメラルダもヤギも、火あぶりの刑を言い渡されるそうです。

これまで豚とヤギが出てきました。

驚いたのは、そういった哺乳類の動物以外も対象になっていたこと。

ネズミに、モグラに、ハエに、ゾウムシに、チョウやバッタ、更には毛虫まで・・・・・・。

動物裁判とはいえども、列記とした裁判ですので

被告にはちゃんと弁護士がつきます。

豚1匹とかはいいですよ。連れてこられるから。

でも、害虫のようなものはどうするのか・・・・?

もちろん(?)出頭を命じ、通告が規定通りになされます。

※ この場合はネズミとしましょう。

しかし、ネズミたちは当然従わない。→欠席と見なす→原告が第1次勝利を得る。

・・・・となるそうです。あほらし。

かの有名なバルテルミー・ド・シャサネはこの弁護を引き受け、

「ネズミはおびたたしい数の村に散らばっており、彼らすべてに通告するのに、1回の召喚状発令ではとうてい足りない。したがって、新たな召還を各小教区の日曜説教で公示するべきだ」

と主張。

・・・・・・・・・・・・・(T_T)

大真面目に、毛虫を破門してたりするのが凄い。想像以上でした。

知らないことが多すぎて、もー、ほんっと馬鹿馬鹿しいんだけれど、かなり面白かったです。

12世紀~18世紀まで破門宣告はあったようです。

ただ破門と言ってもこれは最後の手段。

当時は本当に破門は効果てきめんだったようですよ。

著者は「本当は、昆虫の寿命はもともとごく短いのだし、ネズミなどは、ひととおり穀物を荒らしたら、つぎの獲物を求めてさっさと大移動するのは、むしろ本能的行動だろう。」と言ってますけどね^^

馬鹿馬鹿しい、と鼻であしらいながら読んだ本書。

しかし、著者の一言が胸に刺さります。

そしてまた思った。

動物裁判はおろかであり、また残酷であるかもしれない。

しかし、シャサネのような立派な弁護士に代弁してもらえる虫たちは、なんの主張もできずに、人間の都合で一方的に駆除されてしまう今日の虫たちよりも、考えようによってはずっと幸せなのではないかと。

そしてそうした配慮を自然にたいしてすることのできた人間と文化も、ある意味で豊かであったのではないかと。


馬鹿げた習慣。

今になって罵倒するのは簡単だけど、言われてみると本当にそうなのかもしれない。


少なくとも昔は、「動物の権利」も考慮していたことになるのだから。

殺人罪で死刑になった豚―動物裁判にみる中世史/エドワード・ペイソン エヴァンズ
¥2,100
Amazon.co.jp

日本語の動物裁判の本ってどうやらあんまり・・・・・いや、全然出ていないようなんだけど


他に見つかったのはこれくらい。


これも、読んでおこうかな。