失われた時を求めて(2)――スワン家のほうへII (岩波文庫)/プルースト
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普段は、巻の途中でレビューをアップすることはしないのですが・・・・・

今回ばかりは特別。

あまりにも長い、『失われた時を求めて』。

私はフランス文学専門ではないし、必読書というわけではないから

読まなくていいや~・・・・・と思っていました。


悪女入門 ファム・ファタル恋愛論 (講談社現代新書)/鹿島 茂
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でも、↑で『失われた時を求めて』の「スワンの恋」の章を読んで、これは好みかも・・・・・・!!!と思ったのです。


これで、この本に取り上げられていた作品のうち、5作品を読んだことになります。


鹿島さんが言っていたのか、誰が言っていたのか覚えていないのですが

この「スワンの恋」は、この部分だけ読んでも十分楽しめますねー。


多くの出版社から『失われた時を求めて』は出ていて、今回読んだ岩波は、先日ようやくこの2巻が出たばかり。

半年に1冊ペースで、14巻になる予定です。

さぁて、そこまで待てるかしらーヽ(;´ω`)ノ


光文社の古典新訳文庫も出ていて(1巻のみ)、私がそれがプルーストレビューになりました。

こっちの翻訳も読みやすかったですよ。


岩波が専門家からの評判もいい、と耳にして

私は今後、岩波で読んでいくつもりです。

岩波らしくない(いい意味でね!)素敵な表紙じゃないですか?

岩波で白い表紙とか珍しい~~。


今回の第2巻には、「スワンの家のほうへⅡ」ということで、「スワンの恋」と「土地の名―名」が収録されています。「土地の名―名」のほうは100ページくらいで、「スワンの恋」が大部分・・・・400ページってところです。


これで「スワンの家のほうへ」と名付けられた第1篇が終わり、

3巻目から第2篇の「花咲く乙女たちのかげに」に入っていくようですよー。





プルーストってむずかしそ~~でかたくるしそ~~~~なイメージがありますが

特にこの「スワンの恋」はものすごく読みやすい。



『失われた時を求めて』の第1篇を通しても

個人的には、ジョイスとか、ヴァージニア・ウルフとかの方が読むの大変かなー?

という印象です。



さて、前置きが長くなりましたが本題に。


これの何がいいってね、嫉妬ですよ。


簡単に書くと・・・・


スワンと、オデット。


最初はオデットの方が「いつでもいらしてね!」というような態度なのに

いつの間にか逆転。


だいぶ強気な態度になっていきます。


二人で家にいるときにも、オデットは誰かに誘われて出かけるという。


若干不満げなスワンに対し、「まあ!ぎりぎりまでいさせてあげているじゃないですか!」


という感じです。


(今回アップしない予定だったので、読みながら付箋を全く貼っていません~・・・・表現が曖昧な点はそのせいですガーン


スワンは徐々に嫉妬に溺れていきます・・・・。


頭痛がするからと追い払われた後、もしや、自分の後に誰かほかの男を引き入れるんじゃないのか?

と妄想は膨らみ、夜中再びオデットの家の前へ。


そのあたりの心理描写が一番上手いように感じました。



そもそも、スワンってオデットが好きなタイプってわけではなくって

最初は嫌悪感に近い感情をいるのですよね~~~・・・・・。


彼は美術や音楽に造詣が深く、とてつもない数の作品が作品中に散りばめられています。

でも、オデットはそういうものが理解できる人ではないし、知性があるというわけでもないような。


だけれど、男を手のひらで転がす才能はある・・・・・?



スワンは嫉妬に狂って狂って、狂いまくっちゃうわけですが


本当にオデットを愛してるのか、というのがとても疑問。


もちろん、現実的にも 自分の理想 = 好きになった人 ではないでしょう。

理想は、飽くまで理想に過ぎない。


オセローなんかは愛しているから嫉妬に狂ったし、愛しすぎたことによる悲劇なんだけど


スワンの恋は、それとは違う。


そもそも「スワンの恋」って「恋」になってるけれども、これって恋~~~・・・・・??


だとか、色々考えさせられます。



嫉妬ってドロドロしていて醜くて、人間でもっとも嫌な感情だとギリシャ神話等でも言われていますが

どうして・・・・・・こんなにも魅力的なのか。


現実社会の中では勘弁なのに(笑)



文学作品の中での嫉妬がお好きな方にはお勧めです。