嫉妬/アニー・エルノー
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嫉妬。このタイトルにとてつもなく惹かれました。

現実に嫉妬深いヒトというのはかなり苦手・・・・・・・だけれど

文学作品の”嫉妬”は大好物です。

あと狂気とかも好きなんですけどね、嫉妬は中でも特別。

・・・・・・そうか?

と思っている方多いかと思いますが、意外と「嫉妬ファン」って多いんですよ!?

この本を知ったのは、確か・・・・確か・・・・・・

『わたしを離さないで』だったはずです。

巻末にこの本の紹介が載っていた、はずです。

じぇらしーーーー!!!

と即、読みたい本に登録していました(笑)

198ページと薄め。

更に『嫉妬』のほかに『事件』も収録されています。

『嫉妬』自体は僅か約75ページ。

まずは『嫉妬』から参りましょう。

6年間つきあってきた年若い恋人と別れることにしたのは、私のほうだった。

彼とはその後もときどき会っていたが、3ヵ月後彼から新しい恋人と共に暮らすと宣告されて、私は激しい嫉妬に苛まれる・・・・・

というストーリー。

嫉妬の原因は、分からんでもない内容になっています。

少なからず、誰でも嫉妬しちゃうんじゃないかなぁ。

現実にこういう人がいたら「異常」なレベルではあるんですが

文学作品の嫉妬レベルで考えると、「うーん、こんなもんかぁ」程度の嫉妬でした。

個人的好みだともっともっと嫉妬に狂っちゃったほうが好みなのですが(笑)

嫉妬という感情がインターネット等に結びつくのがさすが、現代ですね!

古典好きとしてはインターネット登場が味気ない・・・・・けれども、

現代を舞台にしてこういう内容だと登場するのが当然ですしね。

妙にリアルでした。

「彼をもう一度自分のものにしたかった。」

というけれど、

その感情を引き起こす引き金となったのは・・・・・?

結局、彼を今現在愛しているのかな、と思ってしまいます。

だからこそ「嫉妬」なのであって

「愛」じゃないのだけれど

愛があってこその嫉妬も勿論、ありますよね。

でも・・・・・違う気がする。

6年も付き合ったのだから間違いなく愛情はあったのでしょうが

6年も付き合ったからこそ、名残惜しさもあるのでしょうし。

うーん・・・・・・

いやでもなぁ、愛が薄らいで6年も付き合った後自分から別れを告げたにしても、

たった3ヶ月で同棲するとか言われたら・・・・・

愛がなくなったって、嫉妬するだろうし、複雑な心境なのは間違いないよなぁ。

でもでも、私と同世代だったらともかく、この人決して若くないのよねぇ・・・・・・・・・・・

とか考えさせてしまう点と、

この文章が実際に感じていた時よりも後に、やや距離を置いて描いている点が凄いのです。

ちょっと性的なものが多すぎて、うっΣ(゚д゚;)となったりもしますけれど・・・・・

なかなか上手いな~~と思います。

では、今度は『事件』について。

1975年以前には認められていなかった、妊娠中絶を主題にしたストーリー。

文学部の大学生23歳女性が主人公。

妊娠も「まさか自分がするとは思わなかった」というような自業自得な感じで

こちらのほうが『嫉妬』よりも共感は出来ない感じでした。

私は『嫉妬』のほうが好きだけど、

読んでいて吐き気がすっごく襲ってくるこの『事件』のほうが凄い小説なのかもしれません。

読むのが・・・・・かなり・・・・しんどい・・・・・・・・ヽ(;´ω`)ノ

胃がむかむかしてきます。

体調がすこぶる悪いときに読んでしまったため、

一旦中止して、吐き気抑えて、

シェイクスピアで息抜きして・・・・・を何度か繰り返す羽目になりました(苦笑)

でも、こういうのは上手い証拠なのでキライではないですよー。

全体的に文体がフランスっぽくなかったです、

ととても書きたいけれど・・・・・私現代フランス文学って全然読んでないので分かりません。

でも、イメージは間違いなくイギリス。

現代イギリスっぽいです。

イアン・マキューアンをとっつきやすくして、分かりやすくした感じ?

特に『事件』のどろどろ感とか似てるなぁ~~




この2冊は読んでみたいと思っています。

シンプルな情熱 (ハヤカワepi文庫)/アニー エルノー
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世界中でベストセラーになったらしいですよ。

自己の性愛経験を赤裸々に綴っているらしいです。

ある女 (Hayakawa Novels)/アニー エルノー
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こちらは母を語っているのだとか。