“食”で読むイギリス小説―欲望の変容/安達 まみ
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食の観点からの文学研究・・・・・・。

流行なのかなぁ。最近、とても多いなと思います。

関連書も数多く出版されていますし、

それらを色々読んではきたけれど、その中でもダントツの面白さかな??*

衣食住シリーズの第2巻です。

第2巻だけど、やっぱり食でしょう!とこれから読み始めました。

こういう「食」のが好きなんですよねー♪

一応は専門書であって、論文集の形をとっていますが・・・・

この類の本にしてはかなり読みやすいほうじゃないかなぁ。

執筆者陣もなかなか豪華。

タイトルに記した編著者もそうですし、特に有名どころだと・・・

新井潤美氏、岩田託子氏、宇田和子氏あたりでしょうか。

(ここらへんの執筆者の著書は読んでますって意味で)

食にまつわる学会発表も多いなー関連書も多いなー

とは感じていたので、それ以降、

文学作品に食が出てきたら要チェック!とするようにはしていましたが・・・・・


食器!そう、食器!



食べ物には注意しても、食器にはまったく注意を払っていなかったのです。


平井氏の「食器という表象――小説にみるイギリス陶磁史」

を読んで、それに気付かれました。



新井氏は「ディナーは何時にとるべきか 食事の時間と階級意識」です。

うん、この方の階級についてはいつも面白いんですよねー。


しかも、いきなり、キュウリのサンドイッチから始まります。



むむっ、これは、オスカー・ワイルドのあれですな!?


     ↓



ぴんぽーん!電球


これがあるからやめられない!



ワイルドの『まじめが肝心』にキュウリのサンドイッチが登場しているのですが、

読んだ時に妙な違和感を感じました。


・・・・・なぜ、キュウリ???



これは、サンドイッチでも特にキュウリのサンドイッチが、イギリス上流階級の午後のお茶の場面を描写する際に欠かせない小道具だったから・・・・・なんだそう。


以降の説明は、是非読んでみてください♪


ステイタス・シンボルと言えば、

マリアン・キーズの『初心者のためのスシ』という本で”スシを食べられるかどうか”が、登場人物の洗練度やステイタスを計る役目をになっているらしいのです。ただ、これはごく最近の話らしいですけれど。


「知らない異国の料理を食べられるかどうか」

ということが、経験と洗練度を示す指標となる・・・・・と。




岩田氏の「小説に見る19世紀<食>の風景 作る人、食べる人、食べない人」 では、


ディケンズ『リトル・ドリット』第9章においしいものを口にすると病院を思い出すマギーという娘が登場する・・・・と記されています。


当時の病院事情は一体どうであったのか等が記されているのですが、

入院したほうがちゃんとした食事がとれたようです。


病院ではワインも飲めたらしく・・・・

というのも、病院ではアルコールというよりは薬に準ずる飲み物と見なされていたようです。



こういう内容では、本当に

『ジェイン・エア』やディケンズが登場しますねー!



ディケンズの中でも、やっぱり救貧院の悲惨さが特に描かれている小説『オリヴァー・ツイスト』。

救貧院の食事は、刑務所の囚人のおよそ半分の量だと指摘されているそうで・・・・

なんと、ある救貧院では肥料用に残飯の骨を砕く作業中に、

未調理であったり腐敗しかけた骨にまでしゃぶりついていたことが発覚(!)して、大スキャンダルになったそう・・・・。



松村氏の「ディケンズにおける喜劇的祝宴と暴力 『マーティン・チャズルウィット』を中心に」では

先に断っておきますが、マーティン~って初めて聞きました。


『ピクウィック・ペーパーズ』の食事回数は凄まじいということが書かれています。


なんと!

朝食35回、昼食10回、夕食8回、正餐32回、茶会10回、飲み会に至っては294回・・・・・・・・・。



なにこの数。

食事シーンって書くのもなかなか大変だし、あれを食べてーこれを飲んでー

って書いてるのも読んでるのも楽しいもんではないから、あまり作家は書きたがらない。


=食事シーンは何かしらの目的があって書かれるのである!

特にオースティンなんかはそうらしいですよー!

読んでいて、「ほんとだーー!!!」と興奮してしまいました。



と聞きましたが、この尋常じゃない数字は一体何なんでしょうねぇ。




さらに、『マーティン~』の食事回数はもっと多いらしいです。



あと特に面白いと感じたのは

鈴木氏の「ガチョウの雛鳥、キジ、七面鳥、そしてレベッカのプディング――『マンスフィールド・パーク』における<食>の表象」 や・・・

 オースティン作品での「食」の意味が記されていて、かなり面白かったです。



南條氏の「チャールズ・ラムと子豚」!

え、なにこのタイトル。

ラムと子豚・・・・・?と思いましたが、読んで納得!

でも、私なら子豚じゃなくて焼き豚にしちゃうかなぁ(笑)



いつかこういう食にまつわる論文って書いてみたいですねー♪






“衣裳”で読むイギリス小説―装いの変容/久守 和子
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「インテリア」で読むイギリス小説―室内空間の変容/久守 和子
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この2冊ももちろん、読みますよー!


「衣服」はともかく、インテリアって新しくないでしょうか・・・?


ミネルヴァ書房はこういう良い本が多くて嬉しいです。

色々読んでいくつもりですー顔