- シェイクスピアの翻訳/大場 建治
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日本のシェイクスピア翻訳は、底本についてあまりに無頓着、無防備であった。
底本をなんとか版に定めて訳すけれども、その底本が明らかにされることさえほとんどなかった。(言えてるよ・・困るんだよね・・・・)
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今では第二次アーデン版を底本にして――
ほかにも、あれも、これも、それも参照しました、という形が主流。(らしい)
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本来ならばこれって凄く失礼なことなんだけど、一人にそれを委ねる・・・というわけにはいかないのが現状。
だから大場氏は、そのほかのテキストの情報も書き込むべきである!と考えたそうなのです。
これ、ほんっとに助かるのです・・・
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大場建治氏。シェイクスピアがお好きな方ならご存知でしょう。
やはり・・・・・なんといっても、
- コレが有名です。
- オセロー (対訳・注解 研究社 シェイクスピア選集 第10巻)/著者不明
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正直、「た、高い・・・・」と思ったのですが、原書をしっかりと読み込むために大修館シェイクスピアシリーズと共に購入しました。
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左ページに原文、右ページにその訳が書いてあり
注釈も豊富。(但し大修館シェイクスピアのほうがもっと豊富です。訳はないしね)
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小田島雄志訳の『オセロー』も持っていますが、こちらは下に○行っていうのが載っていないので
日本文から「・・・・どこだっけ?何行だっけ?」
と探すときにはこの対訳が非常に便利☆
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・・・というか、やっぱりこういう注釈載っている本がなくって(あっても)
シェイクスピアの原文なんて、読めたら凄いと思います・・・・
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すごく助かるのが「19世紀以前の版本」とかが載っていること。
Q1の場合はこういう表記になってますよーとか載っていること。
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というわけで、こういう優れた対訳・注釈本を書いてくださった大場氏の最新本。
初心者向きの本ではないし、最近読んだ日本語の専門書の中でも特に難しい。
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特に『ハムレット』と『リア王』は抜粋が多いですね。
F1がどーとか、Q1がどーとかは良く見かけるけれど、ここまでしっかり書いてくれている本はあまり見かけません。
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やはり、底本をどれにしようか・・・・・が問題なようで
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最近は英文科って卒論必修のところのほうが少なくなってきてしまっているようだし
卒論書いても、訳だけで原書にあたらない人も多いらしい・・・?
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そもそも、学部でシェイクスピアは限界がある、と聞いたから院に行く決意を固めたわけだし
底本をどれにするのか・・・・ということは、やはり院に入ってからにしようかなと思っています。
シェイクスピアの卒論って読んだことないけど、・・・・ここまで誰もやってない気が。
というか、それやってたら終わらない。
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中途半端になりそう。
でも、そう言いつつも
原文を引用するときに手持ちの3冊を比べてみるとそれぞれ表記が違ったりするんですね。
(底本が異なるから)
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もちろん、1冊に定めてそれを引用するのだけれど
・・・・やはり、気になる。
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そしてこの違いってけっこう大きくて、ニュアンスまで変わってきてしまう・・・・。
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こういうときに、ああ、他のけっこう最近の作家を選んでいたら!!
とか思ってしまうことがたまに・・・・
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信頼できるテクストが残っている。
そもそも、辞書をひいて、その意味が信用できる。(シェイクスピアの場合、辞書引いて「わかった!」ってなりません・・・・今使われている単語でも、意味違ったりするし・・・)
それがちょっと羨ましく感じてしまったり。
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シェイクスピア直筆の原稿は残っていないし
彼の死後に出たものしかない。
更に、これが何種類か残っている。
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・・・しかも、困ったことにこれがけっこう異なる。
これを知ってしまったときは衝撃でした、ど、どうしよう・・・・・!と。
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これなんか珍しくQ1を元にしたものです。
このQ1は「不良四つ折り本(bad quartos)」と呼ばれているんですけどね。
正直、もっとめちゃくちゃなのかと思いました。
特に解題がよかった。
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特になんか色々困るのが、やはり『ハムレット』と『リア王』。
『リア王』なんて、かなり版ごとに違うから、いいとこどりー♪で厚くなってるようです。
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ただ、この2冊は大変なことは大変だけどF1を基本軸としたら
ほかの四つ折り本は異本とすることが可能。
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これが出来ないのが『オセロー』なんだそうです
なんと、一千箇所にも及ぶ、細かな字句の違いが厄介。
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それをどのように解釈し、訳していくのか・・・
大場氏の解説(?)は分かりやすいですね。
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シェイクスピアって、本当に奥が深い。
だからこそ、魅力的。
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さてさて、これから卒論やるとしますか