- ガラスの動物園 (新潮文庫)/テネシー ウィリアムズ
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『欲望という名の電車』がとにかく有名なテネシー・ウィリアムズ、本名トマス・ラニアー・ウィリアムズ
の出世作。
もともとテネシー州の名家だったらしいです。それからこのペンネームがついたんだって。
彼の家庭は・・・かなり複雑だったようで、姉のローズは精神障害で精神病院の中で生涯の殆どを過ごしていたんだそう。なんと彼女、ロボトミー手術を受けたんだとか・・・・・
ちょっとテネシー・ウィリアムズには詳しくないので分かりませんが
本当に相当苦労されたんだろうな。
舞台は不況のセント・ルイスのウィングフィールド一家。
父親は、出て行ったまま消息不明。
母親のアマンダは常に文句タラタラ。
息子のトムは唯一の稼ぎ手で、倉庫で働く単調な日々・・・。
姉のローラは内気すぎて根気を逃し、何もせずに過ごす日々。やることといえば、小さな「ガラスの動物園」の手入れをするくらい。
そんな時、アマンダがトムに、ローラにいい人を紹介する人を呼ぶよう頼みます。
トムは同僚のジムを夕食に連れてくるが・・・
ローラはそれを知ると、真っ青になり・・・・・。
アマンダの気持ちも分からんでもないけど、現実にこういう母親がいたら・・・・きついです
アマンダはテネシー・ウィリアムズの母親がモデルとなってますが、本人は全然気付かなかったんだそう。
因みに姉のローズがローラのモデルです。
途中、トムが母アマンダにロレンスの本を「こんなのもの借りてきて!」と本を奪われるシーンがあります。
解説によると、やはり『チャタレー夫人の恋人』なんだそう。(かなり良い文学作品なんだけどなぁ)
これだけは、「私だわー」とテネシー・ウィリアムズのお母さんもそう思ったんだって。
テネシー・ウィリアムズってこの二作品しか読んでませんが・・・
うーん、独特な空気がありますよね。
茶色なの、『欲望という名の電車』もどっちも、イメージがね。
きっと彼の他作品を名前を伏せられて読まされても、すぐ分かると思う。
成功者をあまり描かないのでしょうか。
世間のはみ出し者、というか、あんまり”普通じゃない”タイプの人間を書かせたら天下一品・・・って感じです。
でも、矛盾するようだけど・・・・「普通」な人間なんだよね・・・。
主要登場人物の3人、それぞれまったく共感は出来ないんだけど
「うーん、分かるー、なんかどっちの気持ちもわかるーーーー」
・・・となる。
こういう人生はイヤだなぁとか思いつつ、だよね、アメリカ文学ですよねぇ・・・・とってもアメリカ的な戯曲です。
まったく「楽しい」だとか「面白い」戯曲ではないんですが
妙に好きかも知れません。
「ガラスの動物園」というネーミングが・・・・とってもいいですね。
因みに敬愛する小田島雄志訳で読みましたー。
トムがジムにからかわれて「シェイクスピア」なんて呼ばれているところ、
どんな気持ちで訳されたんだろう(笑)
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