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『アメリカ文学 名作と主人公 』でも読みマースと言っていた、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』。
どうしようかと迷ったのですが、訳は初めての村上春樹さんにしてみました。
何ともいえぬ、読後感。
あらすじは・・・・有名だし、いいかな。
主人公ホールデンはほんとに学校には向かない性格・・・。
物語の後半にいくに
そんなに大きい事件が起こるわけでもなく、短期間のストーリー。
誰もがきっと、ホールデンなんでしょう。
ちょっと軽いし、不良っぽい部分もすこーしあるし、実際何度も学校辞めてるんだから問題児。
でも、適応能力がないとかそういうことじゃないんだなぁ・・・。
心の奥底は優しい、とかそういう陳腐なことじゃなくて
人間らしいとでも言いましょうか。
ホールデンは”悪”なんてものでもなく、
なんか、人の見せ掛け、虚と実、裏表あるのが凄く嫌いみたい。
とか言いつつ、ホールデンもやっちゃってるよなぁ・・・・・。
いや、でも、表と裏がある、ってよくないことだけど
人ってそういうものですし、ある程度”表”がないと人付き合いなんて出来ないよね?
それこそ人間らしく生きた例っていうのがカミュの『異邦人』のムルソーみたいになりそうだし。
キレイごとは好きじゃないから実存主義も好きだけど・・
やっぱり人を傷つけないためにもある程度は必要なんだろうなぁ、とか違う方向に考えてしまいました
ホールデンはけっこう色んな本を読んでいます。
愛読書はトマス・ハーディの『帰郷』。
「僕が本当にノックアウトされる本というのは、読み終わったときに、それを書いた作家が僕の大親友で、いつでも好きなときにちょっと電話をかけて話せるような感じだといいのにな、と思わせてくれるような本なんだ。」
電話をかけたくなるような本・・・・。これ、個性的な考えだなと感心してしまいました。
シェイクスピアは、ちょっと違う。
私だったらサマセット・モームか、ヘルマン・ヘッセかな?
だけど、モームは彼にとっては「電話をかけたいという気持ちになれないタイプの人」らしいです^^
『武器よさらば』も理解できないって。
『ロミオとジュリエット』でもマキューシオが死んだときのほうが可哀想に思ったというホールデン。
さりげないことなんだけれど、文学的な話でも”すこし人と違う”んですね。
でも断然こういう解釈もアリだと思うし、どうしてそう思ったのかという理由を見ていくと・・・納得。
こういうのがたまらなく楽しいし、彼の人柄、考え方が垣間見れる。
人とはすこし違うけど、それでもいいじゃない。
彼の白髪に象徴されるよう、大人になりかけているホールデン。
自分を持っていないように見えて、実は持っているような、後半にストーリーが進むにつれて自分を見つけていく、というか・・・。
そして、このタイトルに繋がります。うまいよねぇ・・・・。
村上春樹訳には賛否両論?のようですが、普通・・・でしょうか。
ほかの訳を知らないし、別に読みにくいとか、読みやすいとかありませんでした
ただ、章ごとにその章のいちばん後ろに注釈を載せているんですけれど、
長めの章だとどこに※があったか忘れてる。
だったらもう、後ろにまとめるか、ページの下に書いちゃってくれたほうが読みやすいです。
そして失礼ながらもサリンジャーってまだご存命なんですか?ウィキで91才、と載っていてびっくり。
アメリカでも世界中でも人気はありますが、日本でもこれを読んだことがある人って凄く多いですよね。
私はどうしても現代か、古典か、と考えてしまいます。
語り口は思い切り現代なんだけれど、内容は古典じゃない?と感じまして。
えーっと、これ、そんなに売れたの???
というのが素朴な疑問。
私自身、すごい好きだな、と思いましたし名作だと思う。
だけど「あー、おもしろかった!!」ってタイプじゃなくって論文書きたくなるタイプの本に思えました。
(つまり、そういう本ってあまり売れないこともあるので・・・大衆小説か純文学かみたいな)
隠れた名作、じゃなくて大ベストセラーですものね。
すごいなぁ、サリンジャーがちょっと違う時代に生まれたら全然評価されなかったんだろうな・・・・。
『ナイン・ストーリーズ』は読んだことありますが、かなり昔のことなので全く覚えちゃいません
『キャッチャー・イン・ザ・ライ』の謎をとく、という本もあるそうなので是非読んでみたいと思います^^
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