- 堅い本が好き。お涙頂戴ものは嫌い。
- ・・・・なんだけれど・・・・・・あぁ、やっぱり好きですこういうのも。
純愛ものがお得意なニコラス・スパークスとはまた異なる、泣かせてくれる本。
特に女性には、本当にお勧めします。今年のBEST5に入るかもしれません。(今からどうしようか考えてますが、BEST5にいれたいのが大して見つからないよ・・)
わたしが忘れてしまっても、わたしがあなたを愛したことを、覚えておいてね。
そのポップが神保町の三省堂で飛び込んできました。
- 流行があるのか、ないのか、最近の小説での病気の定番って白血病かアルツハイマーな気がします。
- 昔は結核とか多かったけどね・・・。今は不治の病じゃないですしね。
ヒロインは、50歳で若年性アルツハイマーだと診断されたアリス。
彼女はそれまで認知心理学の専門家、ハーバード大学の教授として素晴らしいキャリアを持ち、同じくハーバードに勤める夫と3人の子供たちと、何不自由のない生活を送っていましたが・・・それも、一転。
著者のリサ・ジェノヴァはハーバード大学で神経科学の博士課程を修了しています。鬱病やパーキンソン病などにおける記憶の喪失が専門の専門家です。
もちろんこの小説はフィクションですが、認知症患者と話をしていて生まれたストーリー。
間違いなく、この著者だから、専門家だからこそ描けたお話であって、その分、リアル。リアルすぎて胸が苦しくなります。
徐々に記憶を失っていく・・・・それだけで悲劇だし、何よりもなりたくないと思う病気がこのアルツハイマーです。
『きみに読む物語』も「私の頭の中の消しゴム」もこの病気でしたね。
覚えておきたいことを選べるわけじゃなく、徐々に・・・・少しずつ忘れていってしまう。
すべて忘れてしまったら、本人は何も感じずにまだマシなのかもしれないけれど、どんどん自分の中で壊れていく感じって・・・・本当に恐怖でしょうね。
でも、ずっと、アルツハイマーに拘わらず自分がなるよりも恋人がなるほうが辛いと思っていたんです。
想像するのもイヤだけれど、残す、より残される側のほうが辛いと思うし、友人よりも恋人のほうが大きいんじゃないか・・・・と。それがきっと子供に変わるんでしょうけどね。
自分だけでも辛いのに、アリスは自分の子供たちへの遺伝の可能性が50%だと告げられてしまいます。
検査はできるけど、調べるべき?知っていたほうが、いや、知らないほうが幸せなの?
知っていても防ぐ方法はなく・・・。
自分が記憶を失ってしまった後も、子供たちが同じ病気で苦しむかもしれない。
自分のせいで、自分のせいで・・・・と、並大抵の苦しさじゃないだろうな・・・・。
アリスはこの事実を知った後に
毎朝以下の問いが現れるようにアラームをセットします。
1、いまは何月?
2、どこに住んでいる?
3、研究室はどこにある?
4、アナ(娘)の誕生日は?
5、子どもは何人いる?
ひとつでも答えられなかったら、パソコンのとあるファイルを開いて、その指示に従うように、と。
本人はきちんと答えている”つもり”なんだけど・・・祈りも虚しく、次第に答えが変わっていきます。
これがもう。。。泣ける。
そして、その指示、というものが想像していたのと全く違ってこれまた、泣けました
最後に一気に泣かせる!
という感じではなく、ところどころじわじわ・・・・という感じ。
描き方、というか「書き方」がほんッッとうに上手いです。
思わず「やられた!!!」と言いたくなる、絶妙な書き方。でも、ありきたりではなくて。
お陰で先日、夜中まで読みふけって寝不足
とても処女作とは思えない。映画化しないのかな?
売れると思うのですが・・・・。次回作が楽しみです。もし出たら、絶対読もう
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