敗北者は、偉大である。
敗北があるということは勝利があるっていう事で、皆、勝者になりたがる。
でも実際は歴史に残る人物というのは例えばナポレオンのように最期はエルバ島に送られたりと惨めに死を迎えたような人もいたり・・・。
死んだことで偉大となった、と(良くない言い方ですが)死によって美化された例も少ながらずあります。
「勝者」よりもむしろ、人間味溢れ、数も勝者より当然多くなる「敗北者」のほうが歴史に残りやすかったりするのかもしれません。
歴史は、敗北者によって作られる!
と言い切ってしまってる、この本。
もともと私は、結果が全て。勝利が全て。そういう考え方がキライ。
負けたっていいじゃない!結果じゃないよ、過程だよ。
それは綺麗事なのかもしれないし、現実的には結果を出さないと仕事にならず生きていけない。
でも、せめて自分の中では・・・・ね。
例えて言うならば、アーネスト・ヘミングウェイの『老人と海 』。サンチャゴが「負けた」とは絶対に思いたくないのです。
ざっと、この本に載っている人たちを挙げると・・・
チェ・ゲバラ、ゴッホ、オスカー・ワイルド、ゴルバチョフ、ルイ16世、アラン・チューニング、ハインリヒ・マン等々。
ゴッホは伝記を何度も読んだし、ルイ16世やメアリ・スチュアートは個人的に関心がある。でも、ある程度詳しいって思えるのはそれくらい・・・?
有名な『幸福の王子』等を書いたオスカー・ワイルドが同性愛者だということは有名だけど、彼について知っているのはそのくらい
著者曰く「監獄にぶち込まれた社交界のアイドル」であり「どん底に落ちた者は沢山いるが、彼ほど谷底深く、しかも分かっていながらわざと落ちていった者は他にいない」。
ロザリンド・フランクリンという女性をご存知でしょうか
元来なら、誰でも知っている名になっていたはずの女性です。(・・・もしかして、私以外知ってたりする?)
彼女がいなかったら、かの有名なアメリカの遺伝学者ジェイムズ・ワトソンはノーベル賞を受賞していなかったらしいのです。
ジェイムズ・ワトソンは人間の遺伝子が二重らせん構造となっていることを発見した人。しかし本当はロザリンド・フランクリンが発見したそうなのです。
彼女がこの二重らせんの遺伝子の写真を公表する前に、彼女の同僚が勝手にワトソンに写真を見せてしまった。そして、彼女の手柄のその写真を用いて論文を発表・・・。
彼女が癌で死去した2年後に、ノーベル賞を受賞することになったとか。
しかも、その後も著書の中で彼女へ向けて酷いことを言っちゃってます。
本1冊を読んだだけで、それに書いてあることを信用することは大変危険ですが、それにしても「何て奴!」と言いたくなります。
日本史よりも世界史のほうが興味があるし、やっぱりこういう歴史モノの寄せ集めは好きです
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