イギリス史とフランス史には特に興味があるので、思わず手にとってしまいました。これは全てフランスですねー。

 ヨーロッパには君主国家が多いですが、フランスほど国王の愛妾の名が語られ、歴史にその痕跡を克明に残している国は無い・・・・。

 フランス宮廷には、公式愛妾という制度がありました。つまり、お妾さん。ちゃんと王妃はいるけれど、それとは別に公式に認められた愛人がいたということです。

 公の席に顔を出す権利を認められた、特別な女性です。


 但し、やっぱり王妃は強敵。いくら公式に認められ、愛情が夫婦間でなかったとしても正式な妻は王妃なのですから。

 飽きられたら、おしまい。王が死ぬまで愛されても、王がなくなると王妃は黙っていない。高価な宝石、お城、そういったものも全て国に返さないといけなくなったり・・・

 フランス国王の愛人にまで上り詰めた女の、転落。いつ毒殺されてもおかしくはない。嫉妬をして、自分の地位を狙って、毒を盛るなんてことは珍しくはなかった時代です。

 これはイギリスですがヘンリー8世なんて、何回も離婚をし、2人断頭台に送り込んだのですから。(そのうちの1人がアン・ブーリンです)


 子供がどうしても生めなくて、跡継ぎに困るからと愛人を持つなら致し方ないかなとは思いますが・・・愛妾を持つことが誇り。愛妾がひとりもいないなんて、男らしくない。俺はもてるんだ!とでも言いたいのでしょうかねむっ

 ただ、あの有名なルイ16世だけは例外だったようで、マリー・アントワネットに頭が上がらなかったとか・・・。


 こんな都合の良い制度を思いついたのは、シャルル7世でした。時は、15世紀。そしてそのお相手の女性はアニエス・ソレルという美しい女性。彼の義兄弟の侍女だった彼女に一目で心を奪われ、寝ても覚めても彼女を思う日々。

 当時ダイヤモンドというのは権利の象徴として重要な地位のある男性のみに許されていたものでした。しかし、シャルル7世はアニエスにカットされたダイヤモンドを愛の証として贈ります。つまり、彼女は世界で初めてカットされたダイヤモンドを身に付けた女性・・・。

 アニエスは突然の死を迎え、毒殺ではないか、と噂が飛び交いますが時代が時代です。

 555年もの長い時が経ち、ようやく解明された真実は・・・・やはり毒殺でした。遺骸の髪の毛には大量の水銀が残っており、女児を出産したと今まではされていましたが腹部にその一部が残っていたため歴史書が誤っていたことが発表されました。



 その他にも、19歳も年上ながらアンリ2世を虜にしたディアンヌ・ド・ポワティエやら、モンテスパン夫人、ポンパドゥール夫人、そしてデュ・バリー夫人が各章ごとに分かれ載っています。


 デュ・バリー夫人が一番有名でしょうか。高級娼婦からのし上がった彼女。

 ルイ15世の愛妾で、当時下の身分の者から上の身分の者に話しかけることは出来なかったため、マリー・アントワネットが彼女の傍を通り過ぎるたびに顔を背けたり、一切話そうとしなかったたためデュ・バリー夫人は勿論のこと、ルイ15世やマリー・アントワネットの母までも激怒したというエピソードは『ベルサイユのばら』にも載ってましたねニコニコ

 

 そこまでして愛妾にならなくても・・・とどうしても思ってしまうのですが・・・。国王が飽きて、他の女性に手を出す。国王ですから目を付けられた女性は到底拒むことも出来ないどころか、女性の方も大歓迎ということが殆どでしょう。


 どうやら侍女に惚れるというパターンが多いらしく、他の女性に目移りするのを防ぐために自分の侍女は容姿が劣る女性を選んだものの、他の人の侍女には当然口出しが出来ずに王はその侍女に惚れる・・・・なんてことがあったり。

 なんだかなぁあせる

 いつ捨てられるか分からない「愛妾」なんてイヤだけどなぁ。あぁー、でも、わたし王を落としたのよ!実質第二夫人なのよ!!それだけ魅力があるのッッ!!って思いたい気持ちはわからんでもないけど・・・


 でも、かなり面白かったです。こういう本は実は結構好き好

国王を虜にした女たち―フランス宮廷大奥史 (講談社+α文庫)/川島 ルミ子
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