チェーホフの4大戯曲(残りは『かもめ』『三人姉妹』『桜の園』)の1つです。戯曲は苦手という方も多いですが、さくっと読めるし、感情移入しやすく私は好きです。

 相変わらず、ロシア語は名前の愛称がありすぎるし「誰が誰!?」になってしまいますねショック!


 チェーホフはこの作品を悲劇でも喜劇でもなく、単に田園生活劇であると言っています。

 ワーニャというのはイワンの愛称で、題名は原題に忠実に訳すと「イワンおじちゃん!」と子供が呼びかけるような幼児言語なんだそう。


 静かな田舎屋敷に、退職したセレブリャコーフ教授が若き美貌の後妻エレーナと共に戻ってきた。

 ワーニャ伯父さんの本名はイワン・ペトローヴィチ。彼が実質上の農民を使って領地の経営をする主であった。夫妻が戻ってきたことで、生活は一変する。ワーニャ伯父さんはうっとおしいほどに美女エレーナを追い掛け回し、更には彼の姪で、セレブキャーコフ教授と前妻の子ソーニャ(つまり、エレーナの義理の娘)が秘かに慕っていた医者のアーストロフまで仕事を放棄して、彼女に夢中になる・・・


 エレーナはまだ27歳。絶世の美女らしく、こんなにも美しい女性を見たことがない、とまで言われるほど。

 一方ソーニャは気立てがよく、純粋で内面は素晴らしいものの、器量は悪い。この人はうまくやっていっているように見えますが、義理の母親がエレーナのような若く美しい女性だと辛いだろうな・・・。


 「ソーニャは彼(アーストロフ)の年齢や立場からすれば、申し分のない奥さんになれる」なんて言いながらも、彼の気持ちに全く気がついていない振りをして「ソーニャを全く女としてみていないのなら、可哀想だからもう家へ来ないで欲しい」だなんて言います。

 ちょっと、どうなんでしょう、これ。

 現代的に言えば小悪魔、ってやつなんですよね。読んでいる限り私はソーニャは全然気付いてないのかと思っていたら、訳者の解説では気付いていた、となっていて読み違いをしたようです汗

 ロシア文学って心に秘めた淋しさに重点を置いて描かれているものが多いような・・

 

 この『ワーニャ伯父さん』に関しては特に演劇で観た方が良さそうですね。

ワーニャおじさんよりも、エレーナの方が主人公なような気がしました。


 他の4大戯曲も読むつもりです音譜



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