アカデミー作品賞受賞作の中でも、特に観たかったこの映画。観たら、フレンチトーストが食べたくなるよ!という感動作・・・なようで。
 でも、実際観てみると何度も観ていましたね、これ。もう3,4回目じゃないかしら。

 これは、いいです。良かったです。アカデミー作品賞を受賞、当然ですね。

 その他にも監督賞、脚色賞、主演男優賞、助演女優賞を受賞しています。

 ロバート・ベントンが脚本と監督を担当、ゴールデングローブ賞も受賞、ジャスティン・ヘンリーは史上最年少の8歳でアカデミー助演男優賞にノミネート(だよね、凄い良かったもの!)、だそうです。

 いやー、本当にメインの出演者が皆ノミネートor受賞されているという・・・なんとも、凄い映画ですよね。


 

 安定した収入があり、仕事もやりがいがあり充実した日々を送っていたテッド・クレイマー(ダスティン・ホフマン)。典型的な仕事人間であった彼は、家庭内の問題には目を向けようとせず、妻のジョアンナ(メリル・ストリープ)の変化には気付けませんでした。

 結婚して8年。

 もう型にはめられるのはイヤだ、とある日突然愛する1人息子のビリー(ジャスティン・ヘンリー)も置いて、夫に別れを告げ、家を出て行きます。

 それからテッドの暮らしは一変し、朝食を用意し、息子を学校まで送り届け、急いでタクシーを捕まえ会社へ向かう。

 ビリーは何かと「ママはそんなことしなかった!」なんて言うから、子供にマジギレしてしまうテッド。

 一切家事なんてやってこなかったテッド。ビリーはどうやら結構手伝っていたようで、スーパーに行っても「ママはそっちの洗剤を買ったよ!それが一番いいんだって!」面白くないでしょうね・・・それと同時に、今更ながら今まで当然のように妻がしていたことを分かったりして。


 何を食べたい?とビリーに聞くと「フレンチトースト」と。

 マグカップに卵と大量の牛乳を突っ込み、パンが入らないから半分に切って入れる。(パンは切っても味は変わらないさ!)コーヒーは、豆入れすぎ。(ママの淹れるコーヒーは薄すぎるんだ!)その間にフレンチトーストは焦げている。テッドはフライパンをつかむとやけどをし、酷い有様でした。なんてったって、息子の目の前で「クソッ!」ってキッチン蹴り飛ばすからね・・・


 家事もやらないといけなくなり、事情を知った上司は心配します。彼には大事なプロジェクトが任されており、失敗は許されない。仕事のことだけ考えていてくれないと困るぞと。

 上司の予想通り、ビリーが高熱を出したため重要な会議に遅れ、せっかくのチャンスを逃します。この失敗が元で、後に彼はクビになってしまう・・・



 テッドは、いい夫でも父親でもなかった。

 でもジョアンナが出て行ってから目が覚めて、次第にテッドとビリーの関係は変わっていきました。

 ある日自分が付いていながらも公園で誤って遊具から転落し、ビリーは顔が血まみれになるような怪我を負ってしまいます。血相を変えて息子を抱きかかえ、猛スピードでひたすら走るテッド。

 傷を縫うことになり、医者に大丈夫だからと待合室にいるように、言われても自分の息子だからと手術中もビリーの傍を離れない。

 今までのテッドとはまるで違いました。


 1年以上も音沙汰のなかったジョアンナが突如現われて、ビリーを取り戻したいと言ってきます。2人は裁判で争うことに。

 子供を奪い合う裁判って、こんなに酷いものなのでしょうか。お互いの弁護士が、ジョアンナを、テッドを、酷く傷つけます。

 何より酷いのがテッド側の弁護士がジョアンナに「今まで一番長く付き合った人は、前のご主人ですよね?違いますか?あなたはその結婚を失敗したんだ!」と。ジョアンナは違う、と言うけれど「離婚したのに、成功したと言うのですか?言えるんですか?あなたは失敗したんだ!」まるで人生の敗者だ、とまで聞こえてきます。

 あまりにも酷い言い方に、見ていられないテッド。

 目を真っ赤にして、頬に涙が伝っている彼女に向かって、違うよ、きみは敗者なんかじゃない。とでも言いたげに静かにジョアンナに向かって首を振る・・・

 このシーンがとても印象的でした。



 ジョアンナの言っていることは分かるし、そもそも離婚の原因を作ったのはテッドの方。

 お腹を痛めて産んだのはジョアンナ。彼女が家を出るまで必死で育てたのはテッドではない。私が出て行ったから、やっと父親になったんじゃない、と言いたくなりそう。


 今だったら、この2人ヨリ戻してもうまくいくんじゃないのはてなマーク

という気がするのですが・・・現実はそんなに甘くないのかな。今だったら、きっとテッドはジョアンナを思いやってくれると思うんだけれど・・・そんなやり直そうとかいう気持ちはもう全然ないのでしょうか。


 結局、勝ったのは予想通りジョアンナでした。

 彼女が引き取りに来る、最後の朝。

 ビリーの目には涙が溢れ、ビリーとテッドは最後の朝食にフレンチトーストを作ります。最初の頃と打って変わって、手際よく作り上げる・・・



 メリル・ストリープの表情がすっごく良かったです。マディソン郡の橋でフランチェスカ役を演じていたのが印象的でしたが・・・この女優さん、泣くシーンが凄い。思わずこちらも感情移入してしまい、胸が締め付けられます。



 ダスティン・ホフマンも素晴らしく、ビリー役のジャスティン・ヘンリーも素晴らしく、こちらには書かなかったものの、彼らの隣人で後にテッドと性別を超えた友人となるマーガレット(ジェーン・アレクサンダー)も素晴らしくて。

 もう、文句の付けようのない出来映えでした。

 しかも、なんかダスティン・ホフマンはこの映画撮影中自らも離婚協議中だったそうで・・・



 何度も何度もうるっと来てしまう、素敵なドラマですねニコニコ


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