イギリスの文学史でも、イギリスの歴史でもイギリスの文学でもなく、英国の文学。 

 イギリス文学はその文学の完成度の高さや詩、戯曲、小説の多さには目を見張るものがあります。

 内容としては英国と、英国人。英国の宗教文学。形而上学派の詩人たち。ロマン派の詩、19世紀の文学。などと、時代に沿い、英国と英国の文学(主に小説と詩)の解説が続きます。
 表紙から抜粋させていただくと、
 戦後、評論に創作にせきを切ったように目覚しい活躍ぶりを示した吉田健一(1912-1977)のデビュー作。
 どういう国土と人間が英文学を生み出したのか、と説き起こし、以下チョーサーから20世紀初頭まで英国500年の作家と作品を自在に論じる。
 行文から伝わるそのみずみずしい感性と先鋭な鑑賞力が読者を圧倒する。


 まず、思ったことは・・・やはり書かれたのが昔な分、この本に出てくる作品名が馴染みがない訳し方が多く、単刀直入に言えば非常に読みにくかったです。
 例えば、今の時代一般的にこう言われていると思うのですが、チョーサーがチョオサア、ハーディがハアディイ、ワーズワースがワアズワアス、ディケンズがディッケンスとなっていたり。「ー」の記述が今とは異なっており、一瞬「誰?」となってしまったりあせあせ
 まぁ分かることは分かるのですが、一気に現実世界へと引き戻されてしまうので、気になります。(でもこれは言うまでも無く著者の責任ではないのですが)

 
 全体的に詩の抜粋(日本語、原文両方)が多めなので、評論文は少なめです。
 シェイクスピアも多めで、6作品載っています。
 ただ、シェイクスピアについては既に山ほど解説書や評論、専門書が出ているので取り立てて素晴らしい、というほどの物ではないかな、というのが正直な感想ガーン
 執筆当時だと日本ではまだまだ少なかったはずなので、素晴らしいものとして評価されたのだとは思いますが・・・取り立てて、ここが良かったビックリマークとは言えないかなぁー・・・ショック!



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