読みます、と宣言していたこちらの作品。先ほど読み終わりましたのでUPします^^
ハムレットを題材にしている本なのでイギリス文学のカテゴリに入れたいのですが・・・著者が調べてみるとどうやらアメリカ人らしいので、イギリスにしてしまうのも気が引ける。「その他の本」にさせていただきます
先日読んだ『オフィーリア』とは違い、タイトル通りハムレットの母であるガートルードと父王の弟クローディアス中心の物語。とは言っても、ガートルードが完全にメインですね。
16歳の結婚適齢期の王女ゲルータは父王により無理やりホルヴェンディルという男と結婚させられる。
この2人の間の王子はアムレートと名付けられ、仲むつまじくとはいかないが彼女が想像していたよりは幸せな結婚生活を送る。
しかし王は当然ながらに政務に追われ、留守にすることが多く王妃でありながら妻であり、30になっても未だ輝かんばかりの美貌を保つゲルータは寂しくてたまらない。
彼女に恋焦がれ、兄王に嫉妬していたホルヴェンディルの弟フェンゴが彼女に言い寄る。
始めは何とか抑えようとしていたゲルータであったが、一度身体をこ許すと所構わず身体を重ねるという始末。更には、大臣であるコランバスに誰にも知られぬ逢引の場所をも提供させる・・・
そもそも、ゲルータの方が生まれた時から王女なのですね。彼女は王と結婚して、王妃になったのだと思っていたけれど。
恋は盲目、と言いますが後先考えずその時ばかりの感情で2人の恋は燃え上がります。やっぱり、2人が本当に愛していたとは思えない。
温室育ちのお姫様だったからかもしれないけれど、ちょっと考えたらどうなるのかわかるはず。フェンゴは「このままこの関係を続けていたら、いつかは気付かれる。兄王にも気付かれるだろう。どうして、気付かれぬことなどある?」
一方ゲルータは、「あなたがいないなんて死と同じ。」と返します。それに対してファンゴは「私と一緒にいることが死となるかもしれない。」
結局2人の関係は知られ王の耳に入ります。
気持ちはわからんでもないですが、ちょっと特にゲルータは甘く考えていましたね
王に知られてしまったことは、ゲルータは知らない。彼女の知らないうちに、ホルヴェンディルの暗殺が起こります。もっとも、これは事故死であると彼女は信じたい。このとてつもなく重要な暗殺のシーンが一切出て来ません。驚きました
もうお気づきの方も多いと思いますが、ハムレットの母親の名はゲルータではなくガートルードのはず。ん?相性?それとも、ハムレットに似せて書いた小説ということ
そうなんです。登場人物の名前が全部違うんです。この小説は3編から成り立っており、第一部を12世紀末のデンマークの歴史家が著したハムレット伝説の表記に従い、第二部ではシェイクスピア直接の原点とされるサクソのフランス版翻案の表記にしたがって変えられています。
凄いこだわっていますね。でも、一瞬かなり戸惑います。頭が混乱してきました
具体的に言うと、それぞれ第一部、第二部、第三部という順で
ゲルータ→ゲルーテ→ガートルード
アムレート→ハンブレット→ハムレット
フェンゴ→フェンゴン→クローディアス
ホルヴェンディル→ホルヴェンディル→先代ハムレット王
コランバス→コランビス→ボローニアス(オフィーリアの父)
読み応えはありますね。ハムレットがお好きな方には、とても良さそう。でも、『オフィーリア』の方が私好みかな
ただ、今『ハムレット』を読んだら全く違った感想を持ってしまいそうで怖い。ガートルードに同情しそう。クローディアスのことは嫌いでいたい。先代ハムレット王のことは、もう偉大な王とは思えなさそう・・・。
息子ハムレットからの目で見た王だから、良く思いたい、美化されている部分は致し方ないとは思いますけどね。『ハムレット』を読む限りでは、父王は妻をとても大事にしていたように見受けられたので、気になる。やはり何かしらすこしでも王に非がないと、ガートルードに同情は出来ないからかな。
こういった本を読んでシェイクスピアに興味を持つ、ってことも多いと思うけれど、先入観を絶対抱いてしまうだろうし、やはりこういうものを読む前にはシェイクスピアの『ハムレット』を読んでから・・・がいいですね
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