なんと、惹きつけられるタイトル。シャーロット・ブロンテ『ジェーン・エア。ブロンテ姉妹の作品ならこれが一番好きです音譜
 気に入った小説が見つかれば、それに関わる本も読みたくなる。『~~~を読む』とかそういう類の本ですね。

 この『ジェイン・エアは幸せになれるか? 名作小説のさらなる謎』は、一般の読者人にも研究者にも好評をもって迎えられた『ヒースクリフは殺人犯か?』の後篇ともいうべき一冊であるそうです。・・・じゃ、こっちを先に読むべきだったな。既に図書館で予約済みなので、そのうち読みますうえ

 「ジェイン・エアは幸せになれるか?」だけでなく、

 「何故足跡が1つだけなのか?」 ダニエル・デフォー著『ロビンソン・クルーソー』
 「ヒースクリフの遺言で誰が何を得るのか?」 エミリ・ブロンテ著『嵐が丘』
 「なぜフェイギンが絞首刑になり、ピップは起訴されないのか?」 チャールズ・ディケンズ著 『大いなる遺産』『オリバー・ツイスト』
 「アーウィン牧師は何故ヘティを弁護しないのか?」 ジョージ・エリオット著『アダム・ビート』
 「エンジェルは次に誰と結婚するだろうか?」 トマス・ハーディ著『テス』
 
などと32つあります。ジョージ・エリオットが特に多いかな。
 もちろん、これらの本を読んでいなければサッパリ・・・・なのですが、読んだことがあれば非常に興味深く、妙に納得してしまう。
 飽くまでも推測であり、確かではないものの、こういう疑問が小説を読んでいれば必ず「なぜ?」と頭に浮かんできて気になる。でも、国語のテストじゃないのだから答えは必ずしもあるわけじゃない。テストだったら文中に答えがあるはずだけれど。
 考えても考えても、分からない。
 でもせっかく本を読んでも「面白かった!」だけで終わるのは避けたい。考えるってこと自体に意味があるのではないか・・・と思うのです。じゃないと、文学研究の意味がなくなってしまいそう。

 では、タイトルにもなったジェイン・エアは幸せになれるのか?
 一応この小説の大体のあらすじを紹介すると、ヒロイン ジェーン・エアは孤児となり、叔母のリード夫人とその子供達から虐待されて育ちます。このジェーン、初めての「美しくないヒロインと言われています。ヒロインは必ず美しく描かれていたため、凄い反響だったとか・・・
 その後ジェーンは住み込みの家庭教師として働き出し、当主・ロチェスターに結婚を申し込まれるものの結婚式の際に狂人の妻バーサの存在が判明し、衝撃を受けたジェーンは一人黙って家を出ることになります。
 路頭に迷い、行き倒れになりかけたところを牧師セント・ジョンに助けられ、その家へ身を寄せることになる。しばらくしてジョンがジェーンの従兄であることが判明し、暫くそこで過ごしますが、セント・ジョンに求婚され、ジェーンの心は揺れ動きます。
 しかし、ジョンの求婚を受けようとしたときに、ジェーンはロチェスターの自分を呼ぶ声を聞き、家を出てロチェスターのもとを訪ねます。
 バーサが火事で亡くなり、ロチェスター自身も片腕を失った上盲目になったことを知り、彼と結婚をすることを誓い二人は静かに結婚式を挙げる・・・というストーリー。


 そもそも私はジェーンは愛する人と結婚できたのだから、幸せになるに違いないと信じて疑わなかったのですが・・・というか、そもそもこういった疑問が浮かばなかった。

 著者のサザーランドは『ジェイン・エア』はさまざまな特質の中でもとりわけ、青ひげのテーマを大人向けに、パロディ化せずに扱った英文学で最初の作品だといえるだろう、と述べています。

 シャルル・ペローの『青ひげ』ってご存知ですか?ペローってシンデレラとか長靴をはいた猫とか、眠れる森の美女を書いた人です。

 簡単に説明すると、青ひげとは黒ずんだ顎と陰気な態度ゆえにそう名付けられた中年の金持ちの男のことで、若い妻に旅に出る時に家の鍵を渡してとある1つの部屋にだけは行ってはいけない、というわけです。

 よくある流れですが、妻は気になって仕方なく、その部屋へ行ってしまう。

 すると、そこには過去の彼の妻たちの虐殺死体が転がっており血まみれであった・・・妻は驚いて鍵を落としてしまい、鍵に血が付いてしまい帰宅した夫はそれを見て何があったかを知る。

 彼女を亡き妻と同じように殺そうとするが、なんとか兄たちに救われ青ひげは彼らに殺される・・・・

 

 蛇足ですが、この青ひげの墓が彼の妻たちの名と共に東京ディズニーランドのホーンテッド・マンションの出口のところの裏庭にあったり。確か一番大きい墓石ですね。


 この「青ひげ」とロチェスターは容姿も似ており、妻を屋敷に監禁し、別の妻を欲しがっている、等ということで著者は共通点を指摘しています。

 そうかな・・・はてなという感じですが、確かに言われてみるとよく似ている。

ただロチェスターは人を殺したりしていないし悪人としては描かれていません。妻バーサを監禁していたのも、ちゃんとした理由があるのです。


 個人的には、ジェイン・エアは幸せになれるか・・・?ということよりも、バーサが火事で死ななかったらどうなっていたのか?あまりにもタイミングが良すぎるのではないか。

 

 美しくないヒロイン ジェーン。彼女は小さい頃から苦労をし、ロチェスターを愛し、心優しい女性。是非幸せになっていただきたい・・・幸せであったと願いたい、ですねキラキラ

 


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