シェイクスピアハムレットを知らない人はまずいないでしょう。四大悲劇のひとつとされ、彼の最も有名な戯曲といっても過言ではないかな。
 でも、ハムレットがデンマークの王子で父王が弟クローディアスに殺され王位を奪われ、更に母である王妃ガードルートがクローディアスと早すぎる再婚をし、ハムレットは女性全体への不信を募らせ恋人オフィーリアへ「尼寺へ行け!」と叫ぶ話だとは知らない人も多いといいます。かなり大雑把なあらすじですが・・・
 剣術試合で誤ってガートルードが毒酒を飲み、ハムレットも毒を塗った剣で刺され、クローディアスもハムレットに刺され、死んでしまう。
 そういう悲劇の大体のあらすじを知っていれば、この『オフィーリア』は十分に楽しめるのではないかと思いますおんぷ

  戯曲『ハムレット』が幕を開けるまでの10ヶ月間、ハムレットの父王であるデンマーク王殺害に至る悲劇の予兆を積み重ねた前日談という設定です。


 原作(戯曲なのに「原作」はおかしいと思いますが)には全く登場しなかった登場人物を多くなり、タイトルにもなったオフィーリアは大分原作と異なりとても勇気のある行動派の女性です。でも、意外にも原作ではオフィーリアについてはあまり描かれてはいません。因みに、彼女は原作では溺死してしまっています。ハムレットがそれを知り、墓穴へ飛び込み、嘆き悲しむ。
 上記の「尼寺へ行け!」の場面では、ハムレットはオフィーリアに「以前は愛していた」と言い、その直後に「いや、愛していなかった」と言います。それによって、ハムレットはオフィーリアを愛していたのか?いや、愛してはいなかったのか?それとも、自分自身でも分からなかったのか?と議論によくなると言いますが、この『オフィーリア』ではハムレットは彼女を愛しているという設定です。

 しかし、なんと純真無垢の象徴と思えたオフィーリアが2人の男、ハムレットとスヴェンボーの間で激しく揺れる。

 原作では亡霊でしか登場しないけれど偉大なデンマーク王、弟クローディアスとは月とすっぽんとされた父王が、「良い夫」ではなく、王妃カートルードも自分の夫の弟に惹かれてしまっていた。
 いい意味でも、悪い意味でも、イメージが崩れる・・・!
 勿論人間に完璧な人なんていないけれど、人の暗く黒い部分がはっきりと映し出されています。
 そして、クローディアスにおける兄デンマーク王の毒殺シーンは・・・クローディアスは極悪非道に思えていたものの、良心の呵責を感じており、彼もひとりの人間なのだと思えました。

 タイトルはオフィーリアですが、色んな視点で描かれていて新しい。

 『ガートルードとクローディアス』という小説もあるようなので、是非読んでみたいと思います。

 前述したように、とっても有名な『ハムレット』。余談ですが私は4大悲劇であれば『オセロー』が一番好きですはーと『マクベス』も捨てがたいですが・・

 その他なら、ヴェニスの商人、ロミオとジュリエット、シンベリン、冬物語あたりでしょうか。

 『デズデモーナ』(『オセロー』のムーア人将軍オセローの妻)なんて出ないかな。






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