観たのは先週になるのですが、ブーリン家の姉妹」の試写会に行ってきましたはーと原作はベストセラーになっているようですが、まず全く知らなかった・・・。でも英文科だと何度も何度も講義で「アン・ブリン」という名が出てくるし、すこしは知識があったつもり。でも、ここまでどろどろしていて昼ドラ並みだとは・・・・。


 アンは小悪魔、というより悪女に描かれています。スカーレット・ヨハンソンはブロンドのセクシー系美女のイメージが強いものの、主役はアン。ナタリー・ポートマンの方が凄く目立っていました。どうやったら男性をなびかせることができるのか、アンは知り尽くしている。妖艶な眼差しをします。

 ナタリー・ポートマンって以前ラックスのCMに出ていたり、「レオン」の子役で出ていた子でしょう?私よりずっと年上になるわけなのですが、知的な魅力があふれる凄く魅力的な女優さんになったなぁと思いました。確かハーバード大卒ですよね^^


 


「ナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソン、夢の共演!」と言われていますが、普通だったらナタリーをメアリーに、スカーレットをアンにするだろうな・・と思いつつ観てみると、凄く良かった。

 最初メアリーは全くヘンリー王に気なんてないのに、数10分で王に気に入られ、新婚なのに強制的に行きたくもない宮廷に連れて行かれ、無理やりアンと共に侍女となる。更に、夜の相手までさせられる。でも、ここでのシーン・・・ヘンリーがメアリーに対して凄く優しいんですよね。「2番目の子供の気持ちが分かるよ」と優しくメアリーに言います。ここからメアリーは徐々にヘンリーに惹かれ、真剣に愛してしまうようになるわけです。


 もともとアンが王の寵愛を受ける役目であって、メアリーは望んでもいないのに結果的にそうなってしまう。アンの屈辱的な気持ちも理解できますが、この頃からあんなに仲の良かったのにも拘わらずアンは妹を憎んでしまうこととなる・・・


 それからは、思わず「悪女!」と叫ばなずにはいられないほどのアンの言動。ただでさえ何度も何度も結婚していたとか言われるヘンリー8世。王妃キャサリンと宗教上の関係で離婚が出来ないため、アンと結ばれたいために無理やり冤罪なのに裁判にかけ「始めからキャサリンとの結婚は無効だったのだ」と主張し裁判を起こす。

 更に、宗教上の問題だったら宗教を作ってしまえばいいとイギリス国教会を作ってしまう。その名の通り、アンはイングランドの歴史を変えた女ですね。


 ヘンリー8世は18歳で即位。王妃を6人も取り替えて、そのうちの2人を処刑してしまった王。個人的には悪名高い王・・・と思えて仕方がないのですが、イギリス人から最も人気のない歴代の王というのはジョン王と言われているそうですね。

 映画では触れていませんが、王妃キャサリンはもとはヘンリー8世の兄の妻。なんか『ハムレット』みたいですね。やはりいくら未亡人とはいえ、兄の妻と結婚するという事は近親相姦、と言われてしまうようで彼女との結婚もなかなか大変だったようです。彼女との間には結局男の子には恵まれず、メアリー1世(後にブラッディー・メアリーと呼ばれる)しか誕生しません。そこで彼は愛人を望み、メアリーに手を出し、次はアンに。でも、結局アンも男の子を生めずエリザベス1世を生むことになります。


 トマス・モアの『ユートピア』。有名でいつかは読んでみたいと思っている本です。調べてみたところ著者のトマス・モアはこの時代の人であるとか。

 ギリシャ語と医学を学び、侍医、大法官にまでなります。この『ユートピア』を執筆していた頃はヘンリー8世とも凄く親しかったらしいのですが、国王至上法という、国王を英国国教会の長とする法律に反対し、ロンドン塔に幽閉され結局断頭台に・・・。

 映画にも彼が出てきたらより興味深かったかも。


 それにしても、アンを処刑してから10日でジェーン・シーモアという女性と結婚しているようで・・・本当に最低な奴ですね。


 かなり忠実に作られている映画なので、当然最後はハッピーエンドではありません。思わず目をつぶってしまう場面が続きます。

 イギリス史を勉強している人なら絶対観た方が良いと思うけれど、見た後は色々と考えさせられますね・・・


 因みに、シェイクスピアからも歴史劇として『ヘンリー八世』があるので、これもお勧めですにひひ