催眠商法!大絶叫のクロージング。 | がんばれ熊さん

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食品スーパー店員の絵日記

オープンしてから8日目で売り出しが始まる

 

もっとも緊張する日だ。

 

子供のころの注射の順番待ちを思い出す。

 

逃げたい。その場から逃げたい

 

オープンしてからそれまでの自分の接客。見込み客作りが問われる瞬間だ。

 

それだけではない。運も大きく左右する。

 

運よく自分の前に買う人が座ってくれたらラッキーだ。

 

その結果は蓋を開けてみないと分からない。

 
講師の話が始まる直前まで必死に接客する。
 
「いや~~~、先ほどの方も昨日の話の結果を楽しみにしているって言ってましたよ~」
 
と見込み客に最後の探りを入れる。
 
あまりしつこく探りを入れると引かれるのでほどほどにする。
 
そうして、売り出しが始まったらどの人から声をかけるべきか?自分の頭の中でシュミレーションをしておく。
 
そして講師の話が始まる。
 
話は大体90分だ。
 
最初の1時間は商品の良さを再度説明する。
 
中国の四川省の標高2000メートル以上で採れる貴重な雲上そば。それは・・・
 
高麗ニンジンの17倍、
霊芝の24倍の薬効がある。
 
本社で販売しているのは1箱30袋入りで1か月分が38000円です。
 
きちんと結果が出る期間は1年分です。
 
いくらすごいものでも、飲んで数か月で体は変わりません。
 
1年というのは体質を改善するために必要な期間です。
 
なので1年分になると12箱で456000円です。
 
しかし、雲上そばが採れる標高2000メートルよりも、さらに標高の高い2800メートル以上で採れる天頂そばがあります。
 
天頂そばは、雲上そばの7倍の薬効があります。
しかし、ほとんど採れない貴重な資源であるから非売品です。
 
本当に必要な人。困っている人のためにあるものです。
なので非売品ではありますが、一部の人用に1箱30袋入り1か月分の箱があります。
 
それがこちらです。(黒い箱を見せる)
 
今回宣伝するのは雲上そばで1箱38000円
それを12か月分で456000円を少しでもお安くしようと考えていましたが、あまりにも天頂そばで宣伝をしてほしいという声が多く
 
製造元の社長に交渉しました。
 
すると、今回だけ特別に販売してもいいですよと許可を頂くことが出来ました。
 
「うわ~~~良かったですね~」パチパチパチ←横で盛り上げる私たち。
 
この天頂そばは雲上そばの7倍の薬効があります。
しかしお値段が7倍するわけではなく
 
1箱30袋入り1か月分で58000円です。
 
すると、1年分で696000円になりますよね。
 
でも、今回は特別です。
 
天頂そばを雲上そばと同じ条件
 
1年分456000円でお分けしようという話になりました。
 
「うわ~~~~すごいですね~」←横で盛り上げる私たち
 
しかし、これだけではありません。
ここは宣伝会場
 
本来であれば雲上そばの1年分456000円を、さらにお得な条件で宣伝しようとしていたと言いましたよね?
 
どうせならその価格までは下げたいですよね?
 
そこで今回だけと言うことで
 
実はその雲上そばの特別価格を天頂そばにも適用しようということになったんですよ~
 
「うわ~良かったですね~」←盛り上げる私たち。
 
ズバリ行きますよ~
 
それは456000円のところを40万円も切って~
38万円。これが特別価格です。
「おお~~~」←盛り上げる私たち。
 
驚くのはまだ早い。
 
さぁ、これから発表しますよ~
 
この天頂そばは、中国政府も注目をしだしているのでいつまで手に入るかは分かりません。
 
なので、手に入る今のうちに、本当に喜んでもらえる価格でご提供いたします。
 
本来であれば58000かける12箱696000円のところ
雲上そばと同じ38000かける12箱456000円も切って~
 
さらに雲上そばの特別価格の38万円もきって~~
 
さらに、さらに~
 
それだけではありません。
みなさん、本当に喜んでくれるかな?
 
客 「は~~~い」
 
みなさんに喜んでもらってこその宣伝です。
 
客 「は~~い」
 
なので、なので~なので~~
これが最後です。
数は限定ということで早い者勝ちです。
 
今回だけ特別です。
さぁ、行くよ~~~。今日一番の拍手で頼むよ~~。
 
天頂そば1年分、今回特別に~~~
 
これが本当に最後ですよ~~。
 
ジャスト30万円で販売することに決定しました~
 
{うわ~~~良かったですね~」
「すごい、すごい~~」
パチパチパチ←今日一番の大声で叫ぶ私たち。
 
それでは今からご注文を聞いていきま~~す。
 
激しい音楽が鳴らされ
 
私たちは見込みを付けていたお客さんに声をかけていく
 
「は~~い、こちらもご注文ですよ~」
「こちらもですよ~いやっほ~~」
「またまたご注文ですよ~」
「良かったですね~~ばんざ~~い。ばんざ~~い、ばんざ~~い」
「ご夫婦で2セットお申し込みで~~す」
 
ゴリゴリに攻めていく。
 
嘘と本当を織り交ぜながら会場に響き渡る声で
私たちは大絶叫する。
 
「ほらほら~~~みんな注文しているよ~」
「じゃあお母ちゃんも一つ。ねっ、ねっ!」
「まぁ、とりあえずお名前入れときましょうね」
 
ここまでくると、30万円のお値段は、とてつもなくお買い得な価格になる。
 
私たちはまるで100円のジュースを売るかの如く
 
もう決めちゃいなよ~とオラオラ営業をする。
 
こんなお得な条件はありえないというムードの中で
 
30万円が安く感じてしまうのだ。