粘膜に傷がつくと・・・ | タイ語、単語帳の素材?

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備忘録。

2015年5月下旬にタイトル変更。
ここは、site δ です。

〔更新履歴:2013/8/24追記など、2013/2/4追記〕


さて、どなるかだろうか。体力があるときなら、普通は、不快な症状もほとんどなく程なく治るだろう。問題は、普通でない時だ。今回は、前の記事で、
   交感神経の緊張 →顆粒球増多 →粘膜の破壊
という経路をみたので(リンクはココ )、ちょっと蛇足しておこうという趣旨である。

 先ず、粘膜の役割をみておこう。場所によって異なるので、とりあえず二つだけみてみよう。最初は、鼻の粘膜。クグッてみつけた「としや耳鼻咽喉科」のサイトから引用すると(「鼻粘膜焼灼術」 http://www.toshiya-jibi.com/e/10.htm)

鼻の中はどうなっているの?

・・・こんな粘膜隆起にもちゃんと役割があります。一般的には鼻から入ったほこり等の異物を肺に到達させないよう、この粘膜隆起に付着させ取り除く"フィルター"の役割りと空気が肺に入るまでに適度な温度と湿気を与える"ラジエーター"のような役割があります。なるほど無駄なように見えてちゃんと役割があるんですね。

異物除去と温度湿度調節。粘膜君は、なかなか働き者のようだ。次に、胃の粘膜。エーザイ(製薬会社)のサイト「胃粘液バリアー」から引用すると、

第1章 胃粘液への尽きない興味「胃粘液の研究の歴史」
http://www.i-no-science.com/barrier/barrier01.html (リンクはココ

 胃は実に不思議な器官です。臓器の中で唯一外的刺激を受ける消化器官のひとつで、胃そのものは蛋白質でできていますが、pH1~2の強酸性の酸や蛋白質を分解する酵素ペプシンなどを胃自ら産生するにもかかわらず、これらの攻撃物質や外部から取り込まれた傷害因子から胃を保護する力を具備しているのです。
 胃において最も重要な防御因子として働くのが「胃粘液」です。胃粘液は、厚さが1mmにも満たない薄いベールとして胃粘膜表面を被い、最前線で胃を守っています。・・・

 胃粘液は、胃を守るバリアーの役割をはじめ、胃の健康に必要なさまざまな機能をもっています。
 粘液は、胃粘膜の表面にある「表層粘液細胞」と胃の表面にある無数の穴の底に開口している胃腺に分布する「腺粘液細胞」で産生・分泌されます。それぞれの細胞では、2つの異なった性質の胃粘液をつくり、分泌された粘液は交互に重なり合って胃粘液層をつくりあげます。
 胃粘液層には、酸を中和したり、ペプシンを不活性化したり、いろいろな働きがあり、物理的・化学的なバリアーとしてなくてはならない存在なのです。

粘液を分泌して多層の粘液層を形成。胃は、食べ物を消化するため強酸環境で、タンパク質分解酵素もあるので、自らを保護するためかなり特殊なバリアーを形成しているようだ。粘膜様と呼んだ方がよいかもしれん。


 粘膜の役割で共通するのは、細菌やウイルスなどの異物の侵入阻止といえそうだ。この点を生体の感染防御の観点からの解説でみておくと、「メルクマニュアル家庭版」から、

感染に対する体の防御能
http://merckmanual.jp/mmhe2j/sec17/ch188/ch188d.html (リンクはココ

物理的バリアー
 皮膚は普通、けが、虫刺され、やけどなどによる傷がない限り、微生物の侵入を防ぐことができます。皮膚以外の有効な物理的バリアーとしては、口、鼻、まぶたなどの内側を覆っている粘膜があります。粘膜は、正常な状態では、微生物と闘う分泌液で覆われています。たとえば、眼の粘膜は涙で覆われていますが、涙にはリゾチームという酵素が含まれていて、細菌を攻撃し感染から眼を保護する役目を果たしています。

 気道は、吸いこむ空気に含まれる微粒子を取り除きます。空気の通り道である鼻と気道の内壁は粘液で覆われています。空気中の微生物は粘液に付着し、せきをしたり鼻をかむことで体外に排出されます。粘液は、気道にびっしり生えたごく細い髪の毛のような突起物(線毛)が一斉に規則的に動くことで排出されやすくなります。線毛は粘液を肺から遠ざけ、気道上部へ送り出します。

 消化管にも、胃酸、膵酵素(すいこうそ)、胆汁、腸分泌液など一連の効果的なバリアーがあります。腸の収縮運動(ぜん動)や、腸壁から常に細胞がはがれ落ちていることも、有害な微生物を取り除く役割を担っています。・・・

感染防御の観点からみると、異物の侵入を防ぐ粘膜による物理的バリアーがかなり重要であることがわかるだろう(興味があれば、斧康雄「易感染性をきたす生体防御機構の欠損」感染症誌(2006) 80: 475~479。 http://journal.kansensho.or.jp/Disp?pdf=0800050475.pdf も参照。基本は、侵入阻止の物理的バリアーと侵入異物に対処する免疫力による二重防御体制)。


 冒頭述べた
   交感神経の緊張 →顆粒球増多 →粘膜の破壊
という経路があるとすると、結局、粘膜におけるバリアー機能の低下が懸念されることとなる。●誘発の酸化ストレスが交感神経の緊張を招くことを想定すると、●は免疫力低下をも招くといわれていることと併せて、細菌・ウイルスがありふれたものだとしても、関係の感染症が増加するおそれがあると考えられる。

 そういえば昨日の記事(ココ )を思い出すと、千葉で何か増加しているような・・・


 
・2013/2/4追記

 関連しそうな資料をみかけたので、追加しておこう。サイト「低気温のエクスタシー byはなゆー」で紹介されていたもので(記事は、【邦訳資料】ウクライナ放射線医学研究センター「チェルノブイリとウクライナの子どもたちの健康」 2013年2月4日月曜日 http://alcyone-sapporo.blogspot.jp/2013/02/blog-post_7714.html)、北海道大学のスラブ研究センター家田研究室のサイト(2012年4月のチェルノブイリ講演会 http://src-hokudai-ac.jp/ieda/chernobyl.html)の資料から、

 エフゲーニヤ・ステパーノワ講演資料(ウクライナ国立放射線医学研究所、小児放射線部長)
 http://src-hokudai-ac.jp/ieda/files/stepanovamaterial.pdf
 資料タイトル「チェルノブイリとウクライナの子どもたちの健康(25年の観察結果)」


 同講演資料から引用すると、

●の影響 (疎開中)-01ステパb
        図1 講演「チェルノブイリとウクライナの子どもたちの健康(25年の観察結果)」スライド(14頁)

 子供の場合、消化器系の粘膜は放射性セシウムにより影響を受けるらしい。


●の影響 (疎開中)-02ステパ
        図2 講演「チェルノブイリとウクライナの子どもたちの健康(25年の観察結果)」スライド(15頁)

 汚染食品の摂取の継続により、体内での酸化ストレスの増大、細胞の新陳代謝の阻害が問題となってくるらしい。


●の影響 (疎開中)-03ステパ
      図3 講演「チェルノブイリとウクライナの子どもたちの健康(25年の観察結果)」スライド(16頁)

 消化器系の病気は、慢性胃炎と慢性十二指腸炎が主流だったらしい。


・2013/8/24追記
図1のスライドによると、肝臓にも影響があるらしいが、この関連についてはその後書いた別の記事を参照されたい。

肝障害はどこに隠れたのか? (1) 2013/7/18