交感神経の優位と粘膜・組織破壊 (1/2) | タイ語、単語帳の素材?

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備忘録。

2015年5月下旬にタイトル変更。
ここは、site δ です。

 この前の記事でいわゆる酸化ストレスの一般論をながめて、次の3点を論じたけど(リンクはココ )、多分に消化不良だと感じられるので、いろいろ補足していきたい。

・酸化ストレス(活性酸素)は、生体のバランスを交感神経優位に導く、
・交感神経優位の下では、免疫系は顆粒球(白血球の一種)が優位となる、
・交感神経優位の状況は、長期にわたると病気のベースになる。

ここ数回は先ず、分子生物学的な見方より生体のバランス論的な見方の方が感覚的になじみ易いと思うので、主に免疫学に関する安保 徹氏の唱える説を解説しつつ、何をどのようにどの程度説明できそうかをみていこうと思う。


 とりあえず喉の痛みあたりから始めよう。しかし、変に期待値が上がってもいけないので、結論からいうと、よく分かりません、ということになる。例えば、サイト「gooヘルスケア」をみると、

のどが痛い - お年寄りの病気
http://health.goo.ne.jp/medical/read/oldage/0408.html (リンクはココ

どのような状態か
 のどの痛みは、アフタ(浅い潰瘍)など病変部だけの痛みから、のど全体に痛みを感じる場合、飲み込むと痛みがひどくなる場合などさまざまです。のどの痛みが広がって、耳の痛みを感じることもあります。こうしたのどの痛みのほとんどは、ウイルスや細菌による急性の炎症が原因です。
 また、のどが乾燥すると慢性的な炎症が起きやすくなり、痛みを感じることがあります。高齢者では、唾液の分泌低下や基礎疾患の影響でのどの乾燥が起き、痛みの原因になっていることもあります。
 一方、異物や悪性腫瘍が原因のこともあります。

「・・・場合などさまざまです」とあり、更に「・・・のこともあります」が羅列されている。これは一言でいえば、よくわかりませんということだろう。症状は一つでも、そこに至る原因は多数のこともあるから仕方がないともいえる。このように「始めよう」の趣旨は、よく分からないのだけど、分からないなりにちょっと触ってほぐしておこうというものである。


 さて、いきなり書き出してもこのブログの本旨からすると興味もないだろうから、おさらい。噂話を眺めていると、喉の痛みというのをなんとなく見かける。例えば、

@taroradi→
おはようございます!風邪えらい流行ってるみたいなので、喉痛いやつはさっさと病院いってこい!!
5:49pm 火曜 5月 08

周りの人の話とかツイッターとかで見ると、僕がひいた風邪とそっくりな症状の人が多い。軽い喉の痛みがしばーーーらく続いて、次第に悪化。悪化したら結構きつい症状が出て、結構長引く。治っても咳とかタンがずっと残る。

数日間、喉がなんかちょっと痛むわ~って人は覚悟しましょう。きっついのが来るで!

@takumansaga→
@taroradi 咳と痰がずっと残ってます…
6:04pm 火曜 5月 08


これらの情報だけだと原因を知りようもないし、「きっついの」とは何なのかもよく分からない。風邪かインフルエンザかあたりの感染症かもしれないし、別の何かかもしれない。でも、喉の痛みには、何かありそうな雰囲気が漂っているのである。

 喉の痛みについて、もう少ししっかりしたものだと、例えば、「木下黄太のブログ」の昨年5/29の記事をみると、「東葛地区でとくに最近、喉の痛みや、リンパの異常などを訴える子どもたちが多くなっていると言う話です」などと報告されている(同記事については、ブログ「日々雑感」の記事「【鼻血・喉痛み・咳・下痢】東京など首都圏で低線量被曝の症状の子どもが増えている情報【放射能被曝】」 2011年05月30日 http://pop-rin.seesaa.net/article/205700098.html がコメント欄を含めてみやすく整理してくれている。そのリンクはココ )。

 ついでにチェルノブイリの例をみるため野呂美加氏にも御登場願うと、チェルノブイリで起こったことのまとめの中に、次の一節が入っている(特定NPO法人「チェルノブイリへのかけはし」の記事「チェルノブイリ症候群」 10月21st, 2011 http://www.kakehashi.or.jp/?p=4475 から)。

2)粘膜:目、鼻、口、喉、声帯、性器関連の炎症が繰り返される。
目は子供にも白内障がのちのち増える、声帯が痛んで声がでなくなる。くりかえしおよび多発する口内炎。鼻:線量の高い低いにかかわらず、子供大人にかかわらず出る鼻血、あるいは異常な色の鼻水。歯茎からの出血。虫歯の悪化。


前振り・おさらいときて前置きが長くなったけど、喉の痛みというのは、粘膜の障害の一つととらえることができるだろう。粘膜の破壊や組織の破壊は、安保説によれば、次のような仕組みでおこるとの立場をとっている(著書「免疫革命」(講談社、2003.7月)から)。

 顆粒球は、交感神経が優位になると増え、増えすぎると常在菌と戦って化膿性の炎症をみずから起こすという性質があります。また、細菌のないところにおしかけた場合は組織を活性酸素で破壊します。つまり、細菌があってはじめて、顆粒球は化膿を起こすのであって、細菌がない状態では、組織破壊の炎症を起こすのです。この顆粒球のしくみがわかると、いろんな病気の謎が見えてきます。(同書58-59頁)

基本の仕組みだけでは、抽象的でわかりにくいので、具体例を幾つかみてみよう。先ずは、歯槽膿漏、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、クローン病、痔疾、急性膵炎や、急性腎炎、突発性難聴などとの関連について、同書から、

 先に述べた粘膜破壊の病気、歯槽膿漏、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、クローン病、痔疾などは、粘膜破壊が起こって炎症になる病気です。また、内臓の病気では、急性膵炎や、急性腎炎、突発性難聴などは、どれも無理をしたあとに起こる病気だと、だれもがうすうす気づいている病気です。つまり、どれも無理をしたことにより、交感神経が過剰優位になって、顆粒球が増えすぎ、組織を攻撃しはじめてしまったゆえに起こる病気です。よく、徹夜で麻雀を二日続けてやってかつぎこまれるのが急性膵炎です。また、大酒を飲んで急性膵炎になる人も多いものです。急性腎炎の患者さんは、たいていストレスをかかえています。それから、離婚などの問題や、家庭内不和をかかえていて突発性難聴になった、という話もよく耳にします。となると、もうだれもがうすうす、ストレスが病気を起こす、と気づいています。・・・また、過度の交感神経緊張状態は血管が収縮しすぎて血流障害も伴うので、二重に組織破壊が進むのです。 (同書59頁。強調は引用者)


次に、歯肉炎と痔疾に関連して、似たようなものだけどちょっと詳しいものを「日本自律神経免疫治療研究会」サイト(安保氏と福田稔氏(新潟の医師)が主導する研究会)から、

自律神経免疫療法Q&A
http://immunity-club.com/index.php?%E8%87%AA%E5%BE%8B%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%85%8D%E7%96%AB%E7%99%82%E6%B3%95Q%EF%BC%86A (問1答えの一部のみ抜粋。リンクはココ

 歯周病と痔を例に説明しましょう。
 口や肛門などの粘膜は絶えず再生されており、小さな傷がひっきりなしにできます。粘膜には常在菌がたくさんすんでおり、傷口に頻繁に侵入しますが、顆粒球(A6参照)がこれを退治するので大事には至りません。また、顆粒球の数が正常である場合、活性酸素は悪さをせず、粘膜の再生を促すなどプラスに働きます。
 問題は、傷に大量の常在菌が侵入したとき、顆粒球が異常に増えて活性酸素を大量にまき散らしたときです。常在菌と顆粒球のバランスが崩れ、粘膜の炎症が一気に広がります。慢性的な血流障害を起こしている歯肉や肛門の粘膜で、活性酸素が大暴れすれば、歯周病と痔が悪化するというわけです。
 難治性アトピー性皮膚炎や脳梗塞の後遺症による神経マヒ、胃潰瘍、肩こりや首筋の痛み、冷え症、不眠など、一見、なんら関係がなさそうに思えるこれらの病気も、みな、交感神経の緊張という同じ根から生まれています。ガンも同様です。・・・ (強調は引用者)

(次回へつづく。ココ


追記)
このあたりの話はいろいろな人が過去に解説をウェブ上に書いている。せっかくなので、自律神経についての補足のため少し他力本願でいくと、例えば「しんじょう薬局」のサイトの記事をみると、少し土地勘が養われるかもしれない。

自律神経のメカニズム 1999.9月
http://www.bl.mmtr.or.jp/~shinjou/sin1.htm (リンクはココ
自律神経の日内変化と粘膜への作用 2005.1月
http://www.bl.mmtr.or.jp/~shinjou/sin24.htm (リンクはココ


5/14追記)  リンクを追加。

ストレスと自律神経 2004.10月
http://www.bl.mmtr.or.jp/~shinjou/sin19.htm (リンクはココ