ソーシャルゲームについて具体的な記事を書く前に、
いくつか自分の考えやスタンスを述べておきたいと思います。


まずソーシャルゲームを語る際、
絶対に避けて通れないのが「課金」というキーワード。

快適でありたい、優位でありたい、幸運でありたい、
そういった人間の原始的欲望を刺激することで課金させようとする手法は、
ときにソーシャルゲームそのものが批判される材料となったりもします。


でも、冷静に考えてみてください。


ゲーム内でことあるごとに課金の匂いをちらつかせることは、
本当に叩かれるべきことなのでしょうか?


ほとんどのソーシャルゲームは、コンシューマーと違って
フリーミアムなビジネスモデルをとっています。
いわゆる「基本無料・アイテム課金」というやつです。

基本無料なのですから、当然のことながら、ただプレイするだけの
無課金ユーザーがいくら増えても企業側の直接的利益にはなりません。

無課金ユーザーもそれはそれで大切な存在ではありますが、
課金してくれる人が誰もいないようでは、商売として全くお話にならないのです。

「今更何をわかりきったことを……」
と思われるかもしれませんが、これはとても重要なポイントです。

企業側から見た場合、コンシューマーゲームでは
基本的に「売れた瞬間が勝利」です。
しかしソーシャルゲームでは「プレイされてもまだ未勝利」です。

ですから、

「課金すると気持ちいいよー」
「課金しないとしんどいよー」

的な作りになるのは、ある種当たり前なことだと思います。

例えば、コンシューマーの体験版で

「製品版はもっと面白いよー」
「お金払って買うとこんないいことが待ってるよー」

的な宣伝が入っていても、誰も文句は言いませんよね?
それは「体験版とはそういうものだ」という意識が浸透しているからだと思います。

一方、ソーシャルゲームで「基本プレイ無料」と言った瞬間、

「ゲームバランスが課金前提になっていてひどい」
「金払わない奴は遊ぶなってことか」

といった批判意見がまかり通るようになります。
これは「基本プレイ無料とはそういうものだ」という意識が
まだユーザー全体に浸透しきってないからだと思います。


とはいえ、これは一概にユーザー側に責任があるとも言えません。
なぜなら、企業側も

「無料プレイは実は体験版みたいな位置づけでして、
 実際には課金してこそ気持ちがいい作りになっています」

なんて正直には言わず、「無料」という耳に心地よい部分だけを
強調して宣伝しているからです。

これは、最初からプロモーションが目的であることを公言している
体験版とは大きく異なっている要素であり、
ユーザー⇔企業間の「意識のズレ」を生んでいる要因でもあります。
この辺は、正直、ちょっと歪んでるなぁと思います。


さて、いずれにしても、
企業にとって「課金」してもらうことは非常に大切なこと。
その「課金」に引き込むためにもっとも頻繁に使われ、
かつ、おそらく最も有効な手段として

「射幸心を煽ること」

がありますが、これについては次回の記事で。