制作の仕事の話からはちょっとずれますし、かつ、
ゲーム業界だけに限った話題でもないのですが……
契約の話をしたついでに、ちょい細かい裏話を……。


業務委託契約書は課税文書なので、印紙税を収める必要があります。
つまり、収入印紙を買って契約書に貼らなくてはいけないのですが、
印紙の額は、契約の額に依存して変化します。

契約額による印紙代の差はこちら
(「請負に関する契約書」を参照してください)

表を見るとわかる通り、印紙代は契約額の何%という形ではなく、
階段のように段階的に増えていきます。
500万円の契約なら2,000円で済みますが、
500万1円になった瞬間10,000円の印紙代がかかります。

で、この500万という境はゲーム業界の相場的に微妙なラインで、
業務委託をする際も、超えたり超えなかったりします。

(500万超というとかなり大きな契約に見えるかもしれませんが、
 例えばひと月55万円の人に10ヶ月作業してもらったら
 もう達成してしまうわけで、そう珍しい例ではありません)

契約が500万以下の場合と、
それを超える場合とで、印紙代の差8,000円。
総額から見たら少額かもしれませんが、意外と馬鹿になりません。

相手が法人の場合は、正直あまり気にしないのですが、
委託先が個人の場合は、
8,000円の差は相手にも地味な負担としてのしかかります。
(契約書は通常2通作り、印紙代は1通ずつ負担するのが普通です)

そこで、仮にひと月55万の人が10ヶ月働く見込みだったとしても、
あえて契約を9ヶ月にしておき、時が来たら延長契約を結ぶ……
なんてこともあります。これでちょっとした節税になるのです。

この方法なら、契約書が2通に分かれ、495万+55万なので、
印紙代も2,000円+200円で済みます。

ほら、7,800円も違う!(笑)

もちろん、「印紙代が高くなっても+1ヶ月の保証の方が大事」
という方もいるので、その辺は相手側の意向も踏まえながら、
柔軟に対応していきます。


え、せこいですか?

いえいえ、そう言うなかれ。


相手の財布にも優しいですし、こちらとしても、7,800円が浮けば
テストプレイアルバイトを約1人日余計に雇うことができます。

涙ぐましく見えるかもしれませんが、こうした工夫によって
多少なりとも作品にまわすお金が増やせるなら、
それなりに意味のあることだと思いますが、いかがでしょうか?