ローカライズでは、システムメッセージやキャラのセリフなど、
意味が通じないとゲームプレイに支障が出る部分は
基本的に全て翻訳していきます。
しかし、中には通じなくてもプレイに影響がないテキストもあります。
例えば、あくまで背景でしかないビルの看板に書かれた文字等は、
仮に意味がわからなかったとしても、
ゲームプレイ自体には問題ありません。
こうしたテキストは、あえてオリジナル言語のまま残して
雰囲気を殺さない方がよいと判断されることもあるのですが、
逆に、徹底的に翻訳・修正せよと言われることもあります。
そのため、実際にローカライズ作業を始める前には、
必ず現地のパブリッシャーと 「どこまでを翻訳対象にするか」
すり合わせておく必要があります。(これを怠ると色々トラブルになります)
ちなみに、私がとあるキャラクターゲーム(※全年齢対象)を
ローカライズした時には、欧州は日本語に寛容で、
北米はその逆だったのを記憶しています。
例えば、
背景に描かれた(ゲーム的賑わい以上の意味をもたない)漢字について、
欧州はそのまま修正なしでよかったのに対し、
北米版では英語にするか、さもなくば汎用的な記号にするよう
現地パブリッシャーから指示を受けました。
また、そのゲームではキャラが攻撃をすると「ドカッ!」「バキ!」といった
描き文字が飛び出す仕様があったのですが、
欧州版はそのまま(日本語の)描き文字OKだったのに対し、
北米版では描き文字を削除するよう指示がありました。
まぁ、一口に欧州といっても広いので、
ヨーロッパの国全てが寛容傾向にあるかどうかはわかりませんが、
少なくともアメリカ版の翻訳指示の徹底っぷりは際立っていました。
とはいえ、当時(ブッシュ政権下)からは大分時間もたっています。
最近はあまりローカライズの仕事をしていないため、
今でも同じような傾向が続いているのかどうかはわかりません。