「もじぴったん」シリーズを手がけたことで有名な

元ナムコ所属の中村氏が運営するブログ……


「元もじぴったんプロデューサーの生の知恵ブログ」


こちらのブログは業界人として非常に為になることが書いてあり、

私もよく読ませていただいているのですが、

その中の一記事 中に、注目すべきリンクが貼られていました。


http://togetter.com/li/100445

(新作ゲーム販売に関する平林和久氏のツイート)


ここで記されていることはぜひ知っていただきたいことなので、

以下、主要部分のツイートだけを引用してみます。


------------引用ここから------------

RT @HisakazuH


たとえば5800円のソフトがあったとする。

それを中小小売店では、75%で仕入れる。

75%は最もよい条件で78%などのケースもあるが、ここでは75%とする。

すると仕入原価は4350円になる。

5800円の売価のものが、4350円で仕入れるのだから、

1450円の利益か、というと、そうはならない。

5800円のメーカー希望小売価格で売るゲームソフトはまずない。

大手量販店のポイント還元が10%だから、10%引きは当たり前。

もちろん前後はするけどここは計算しやすく、10%引き、としよう。

すると5800円は5220円となる。

5220円の売価-4350円の仕入原価=840円の儲け。

さて、その840円の儲けだが、5本売るとぴったり4350円となり、

仕入れ原価と同じになる。だから、5本仕入れて

1本でも在庫がでてしまうと、大赤字ということになる。

この計算は単純に仕入れ値と売価と粗利の話をしているだけであって、

人件費も光熱費も地代家賃も、何も含まれていない。

もし、これら諸費用を合計したら、10本仕入れて1本の在庫が生まれたら、

その店は赤字になりかねない。


------------引用ここまで------------


10本仕入れて1本売れ残ったらもう赤字。

新作ゲームソフト販売が、小売店にとって

いかに厳しい商売であるかがうかがい知れます。


実際問題、いかに仕入れセンスがあったとしても

常に10割打者でいることは不可能です。


そのため、新作ゲームの販売のみで利益を得ようとしても

なかなかうまくいくものではありません。特に中小のお店においては

破綻寸前のビジネスといっても過言ではないでしょう。



そして、そんなお店を支えているのが、

他ならぬ中古販売ビジネスなのです。



中古の場合、メーカーや流通の取り分が発生しないため、

単純に「売値-仕入れ値」がほぼそのまま利益になります。

その結果、一本あたりの利ざやは新品より大きくなります。


つまり新品より中古が売れてくれた方が店は儲かるのです。

※ただし中古品の価格は時期や状態によって変動するため、

  絶対にそうとは限りません。あくまで一般論です。


私自身は実際に店舗ビジネスにかかわった経験はありません。

しかし、多くの店が、この中古ビジネスによって

ようやく経営をまわせているというのが現実のようです。


言い換えれば、新品のみの販売では(中古販売が禁止されたら)

相当数のゲームショップがつぶれてしまうということです。


小売の数が減っていくと、ゲームソフトの販売機会自体が失われていき、

最終的にはメーカーも窮地に立たされることになります。


この状態が業界として健全かどうかはまた別の議論ですが、

中古の存在が、ゲーム業界の一端を支えているのは

厳然たる事実なのです。



このことを知ってからというもの、

私も単純に中古を批判することはできなくなりました。



ですが反面、中古品がいくら売れても、(店は潤うかもしれませんが)

ゲームの中身を作ったメーカーにとっては一銭の儲けにもなりません。


メーカーに所属し、まがりなりにも作り手側である私としては、

それはそれで理不尽さを感じざるを得ないものがあります。


そこで、人には強要しないまでも、

個人的にはやはりできる限り新品を買うことにしているのです。