何かしらエンターテインメントにかかわってる人間なら

何を今更と思うことですが、一般の方には、

「なんだか偉い人」で一緒くたにされていることが多いこの2つ。

(実は私も業界に入るまでよくわかっていませんでした)


簡単に言うと、

・プロデューサーはプロジェクト全体を統括する人。

・ディレクターは作品の監督。


商品が売れるためにイベントを仕掛けたり、

実力のあるスタッフをそろえたり、お金の工面をしたり、

広告をうったり、時には自分が広告塔になったり、

一方では現実も把握して財布の紐をしめたり……とにかく、

商品を世間的に盛り上げて、プロジェクトを円滑に進行させ、

成功させるための責任者がプロデューサーです。


一方、ディレクターは作品の監督です。

仕様を指示したり、スタッフのやる気を引き出したり、

時には自らシナリオを書いたり演出をつけたりして、

中身のクオリティに責任をもつ係です。


ちなみに、パブリッシャーとディベロッパー、それぞれに

プロデューサーとディレクターが立つこともあります。


パブリッシャー側のプロデューサーは

販売方面のプロデュースを行い、

ディベロッパー側のプロデューサーは

自分の会社が損しないようにプロジェクトをコントロールし、

パブリッシャー側のディレクターは

商品が自分の会社の望む方向で開発されているかを監修し、

ディベロッパー側のディレクターは

完全な現場監督として手腕をふるう…といった具合です。



このように、プロデューサーとディレクターは

責任を担う部分がまるで違います。

プロジェクトを黒字にする責任があるプロデューサーと、

とにかくよい作品にする責任があるディレクターとは、

時に意見が対立することもあります。

しかし、だからこそ、プロデューサーとディレクターは

お互いの立場を理解し、尊重しあうことが重要です。


たとえば、販売のための仕掛けとして、ある雑誌と

タイアップした仕組みをゲームに組み込んでほしい、

とプロデューサーからディレクターに頼むことがあります。


逆に、開発が遅れそうだから

何とかして人と予算を工面してほしいと

ディレクターからプロデューサーに頼むこともあります。


↓こんな時、お互いが自分の正義だけ主張すると悲惨です。


プロデューサー

「この雑誌とタイアップして盛り上げていきたいんだ。

 雑誌を買った人は追加アイテムが手に入るとか、

 そういう仕組みをゲームに入れてくれないか。」


ディレクター

「そんな商業主義くさい仕組み、僕の美学に反します。

 それよりもプログラマが足りないので増やしてください。」


プロデューサー

「何を勝手な。どうせまたお前がこだわりすぎてるんだろう。

 仕様を削って何とかしろ。」


こんなツートップでは、

できあがったゲームは売れませんし、

面白くなるはずもありません。



ゲームを売る責任はプロデューサー。

ゲームを面白くする責任はディレクター。


しかし、そのどちらかでも非協力的であれば、

もう一方は能力を振るうことができません。

お互いが二人三脚をしてはじめて、

ヒット作は生まれるのだと思います。