【空蝉7-2】「な」の識別☆
源氏物語イラスト訳のあいです
イラスト解釈では、イラスト訳で伝えられなかった文法事項や背景などを、随時お話ししています。
まだまだ拙いブログですが、少しでもお役に立てる記事にしていきたいと思います。
では今日も、一気に行ってみましょぉ~♪
ヽ(○・▽・○)ノ゙
これまでのあらすじ
天皇(桐壺帝)の御子として生まれ、才能・容姿ともにすぐれていたにもかかわらず、亡母(桐壺更衣)の身分の低さにより臣籍降下して源氏姓を賜った光源氏。
ただ今、「3.空蝉(うつせみ)」の巻です。光源氏は、紀伊守邸での方違えの際、そこで寝泊まりしていた伊予介の若妻(空蝉)と強引に契りを結んでしまいます。中流で凜とした空蝉に心惹かれた光源氏は、弟の小君を手なずけ、何度も手紙を送りますが、空蝉は心を許しません。とうとう光源氏は、再び紀伊守邸を訪れ、空蝉との密会を取りつけようとしますが、空蝉は身を隠して逢おうとしません。頑なに自分を拒み続ける空蝉よりも、素直に従う弟の小君のほうがかわいいと思う、光源氏。一方、空蝉は、光源氏への態度と想いのジレンマに苦しむのでした。
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今回の源氏物語
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「やがてつれなくて止みたまひなましかば憂からまし。しひていとほしき御振る舞ひの絶えざらむもうたてあるべし。…」
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大学入試古文☆問題例☆
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問)傍線部「な」を文法的に説明せよ。
古文のなかで、
「―ましかば―まし」
という構文を見たら、
反実仮想
として、最重要ですよね!
反実仮想の出題形式は、
● 心情
● 事実
● 文法
の3つが問われます。
今回は、文法問題☆
(o^-')b
しかも、
「まし」の文法的説明ではなく、
「まし」の接続部分に対する応用です☆
((((((ノ゚⊿゚)ノ
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☆「な」の識別☆
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「な」という古語は、けっこう特殊な文法が多いです。
ヽ(゚◇゚ )ノ
【1】副詞「な」
【2】完了(強意)の助動詞「ぬ」の未然形
【3】断定の助動詞連体形撥音便の無表記
【4】ナ変動詞未然形の活用語尾
【5】禁止の終助詞「な」
【6】詠嘆の終助詞「な」
使い方も限られているので、
例文と訳を丸暗記する形で
さっさと覚えてしまいましょ♪
('-^*)/
春日野は今日はな焼きそ若草のつまもこもれり我もこもれり
春日野の番人よ。今日は野焼きしてくれるな。我が愛する妻も、私も、こもっているのだから。
(伊勢物語)
【2】完了(強意)の助動詞「ぬ」の未然形
舟に乗りなんとす。
舟に乗ってしまおうとする。
(土佐日記)
【3】断定の助動詞連体形撥音便の無表記
子になりたまふべき人なめり。
子になりなさるはずの人であるようだ。
(竹取物語)
【4】ナ変動詞未然形の活用語尾
願はくは花の下にて春死なんその如月の望月のころ
願うことならば、桜の木の下で春に死のう。その陰暦2月15日の満月の頃に。
(山家集)
【5】禁止の終助詞「な」
あやまちすな。心して下りよ。
失敗するな。注意して下りろ。
(徒然草)
【6】詠嘆の終助詞「な」
花の色はうつりにけりないたづらに我が身よにふるながめせしまに
桜の花の色は色あせてしまったなあ、むなしくも、春の長雨が降っている間に。
私の容貌も衰えてしまったなあ、むなしくも、物思いにふけっている間に…。
(古今和歌集)
この例文を、覚えられるものから覚えましょう。
古文は、とにかく「慣れ」が大切☆
イラスト訳なんかも、
「慣れ」てもらうためのもの☆
古文上達の一派です☆
('-^*)/
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今回の「な」は?
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やがてつれなくて止みたまひなましかば憂からまし。
「ましかば~まし」(反実仮想)の直前です。
「まし」の接続は、未然形なので、
傍線部「な」は、活用語の未然形☆
未然形が「な」という形の活用語は、
【4】ナ変動詞未然形の活用語尾
の2つです。
ですが、【4】のナ変動詞は
「死ぬ」「往(去)ぬ」のみ☆
(-_\)(/_-)三( ゚Д゚)
止みたまひなましかば憂からまし。
なので、この「な」は、
【2】完了(強意)の助動詞「ぬ」の未然形
となります。
(o^-')b
助動詞「ぬ」を、完了でなく、強意で訳すときは、
完了の時制ではない場合、
つまり
過去や現在の時制ではなく、未来時制の場合です。
なので、
●「~なむ」「~ぬべし」など、推量の助動詞が下接
●「~なば」と、仮定条件になっている
●「~ね」「~てよ」と、命令形になっている
…などが、強意の場合(確述用法)として知られています。
ヽ(゚◇゚ )ノ
今回は、「 」の例のどれにもあたりませんが、
反実仮想の「まし」は、
明らかに、未来時制ですよね!
(-_\)(/_-)三( ゚Д゚)
ていうか、
「まし」は、推量の種類の助動詞です^^;
【解答】
強意の助動詞「ぬ」の未然形
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