【帚木464-1】隠れたらむ所に
【古文】
「隠れたらむ所に、なほ率て行け」
とのたまへど、
「いとむつかしげにさし籠められて、人あまたはべるめれば、かしこげに」
と聞こゆ。いとほしと思へり。
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【源氏物語イラスト訳】
「隠れたらむ所に、なほ率て行け」とのたまへど、
訳)「(空蝉が)隠れているような所に、それでもやはり連れて行け」とおっしゃるが、
「いとむつかしげにさし籠められて、
訳)「とてもむさ苦しい感じに押し込められて、
人あまたはべるめれば、かしこげに」と聞こゆ。
訳)女房がたくさんおりますようなので、恐れ多くて…」と申し上げる。
いとほしと思へり。
【古文】
「隠れたらむ所に、なほ率て行け」
とのたまへど、
「いとむつかしげにさし籠められて、人あまたはべるめれば、かしこげに」
と聞こゆ。いとほしと思へり。
【訳】
「(空蝉が)隠れているような所に、それでもやはり連れて行け」とおっしゃるが、
「とてもむさ苦しい感じに押し込められて、女房がたくさんおりますようなので、恐れ多くて…」
と申し上げる。お気の毒だと思っていた。
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■【隠(かく)る】
■【たら】
■【む】
■【所(ところ)】
■【に】
■【なほ】
■【率(ゐ)る】
■【て】
■【行け】
■【と】
■【のたまふ】
■【ど】
■【いと】
■【むつかしげに】
※【むつかしげなり】
■【さし籠(こ)む】
■【られ】
■【て】
■【人(ひと)】
■【あまた】
■【はべる】
※【はべり】
■【めれ】
■【ば】
■【かしこげに】
※【かしこげなり】
■【と】
■【聞こゆ】
■【いとほし】
■【と】
■【思ふ】
■【り】
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とうとう光源氏は、小君に空蝉の居場所に
連れて行けと命じますが、
空蝉から、強く拒まれているのでしょう。小君は、どうしてもあげられずガックリ肩を落とす光源氏を
お気の毒だと見ています。
「思へり」は、敬語がないので、小君の思いですヽ(゚◇゚ )ノ