【帚木361-1】昼ならましかば
【古文】
「昼ならましかば、覗きて見たてまつりてまし」
とねぶたげに言ひて、顔ひき入れつる声す。「ねたう、心とどめても問ひ聞けかし」とあぢきなく思す。
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【源氏物語イラスト訳】
「昼ならましかば、覗きて見たてまつりてまし」
とねぶたげに言ひて、顔ひき入れつる声す。
訳)と眠そうに言って、顔を衾に引き入れた音がする。
「ねたう、心とどめても問ひ聞けかし」
訳)「憎らしい、心を込めて尋ね聞いてくれよ」
とあぢきなく思す。
訳)とにがにがしくお思いになる。
【古文】
「昼ならましかば、覗きて見たてまつりてまし」
とねぶたげに言ひて、顔ひき入れつる声す。「ねたう、心とどめても問ひ聞けかし」とあぢきなく思す。
【訳】「昼間であったならば、きっと覗いて拝見しただろうに」
と眠そうに言って、顔を衾に引き入れた音がする。「憎らしい、心を込めて尋ね聞いてくれよ」とにがにがしくお思いになる。
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■【なら】
■【ましかば―まし】
※【ましか】
※【ば】
■【覗く(のぞく)】
■【て】
■【見たてまつる】
※【―たてまつる】
■【て(強意)】
■【まし】
■【と】
■【ねぶたげなり】
■【て】
■【引き入る】
■【つる】
■【声(こゑ)】
■【す】
■【ねたう(ウ音便)】
※【ねたし】
■【心とどむ】
■【て】
■【問ひ聞く】
■【かし】
■【と】
■【あぢきなし】
■【思す(おぼす)】
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