【帚木356-2】「あなた」も「こなた」も同じ場所?
源氏物語イラスト訳のあいです
今日めっちゃ寒かったですね~!!
センターまであと50日ですよー。(。>0<。)
【源氏物語~これまでのあらすじ】
桐壺帝の御子である光源氏は、輝くように美しく、帝の寵児であったにもかかわらず、亡母の身分の低さにより賜姓「源氏」として臣下に降格されます。頭中将たちとの雨夜の品定めの翌日、久しぶりに正妻葵の上のもとを訪れた光源氏は、その夕方、方違えのために、紀伊守の邸宅に行きます。そこには、紀伊守の継母である空蝉がちょうど泊まっていました。
↓今回の源氏物語↓
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君は、とけても寝られたまはず、いたづら臥しと思さるるに御目覚めて、この北の障子のあなたに人のけはひするを、「こなたや、かくいふ人の隠れたる方ならむ、あはれや」と御心とどめて、
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光源氏は、紀伊守から、空蝉が近くで寝ていることをほのめかされて、とても興奮しているようです。
君は、とけても寝られたまはず、
いたづら臥しと思さるるに御目覚めて、
そしたら、空蝉が寝ているであろう母屋の隣部屋から、人の気配がしてきます。
「北の障子のあなた」とは、
「北側のふすま障子の向こう」という意味。
「あなた」は、
現代で言うところの「かなた」にあたります。
なので、ずっと遠く(=彼方)の方というニュアンスに思えますが、
もう一度、光源氏たちの居場所を確認しますと、
母屋(もや)は、ふすま障子で隔てられています。
光源氏は、東面の部屋に泊まっており、
その北側にあるふすまの向こうから、
人の気配がしています。
てか、めっちゃ近っ!!
(`・д´・ ;)
【あなた(彼方)】
(指示代名詞)
①遠くのもの、何かに隔てられた向こうのもの
あちら、向こう側
②(時間的な隔たり)過去、以前、前
将来、これから先
③(人称代名詞)あなた、あの方
要するに、「あなた」は彼方ではなく、
「あちら側」ととらえたほうがよさそうですね。
また、その対義語である「こなた」は、
「こちら側」ととらえます。
☆光源氏の心中語☆
「こなたや、かくいふ人の隠れたる方ならむ」
「や…む」で、係り結びの法則(疑問)になっています。
訳)「こちら側が、あの話にあった人が隠れている場所だろうか」
今回のイラスト訳では、
「こなた」も「あなた」も、同じ場所(=空蝉の居場所)をさします。
(-_\)(/_-)三( ゚Д゚)
つまり古文では、
距離的に、「こなた」が近くて「あなた」が遠いわけではなく、
「こなた」が「こちら側」で、
「あなた」が「あちら側」なんです!
(`・ω・´)ゞ
光源氏は、「北の障子のあなた」に目線を向け、
「こなたや、…」
目線を向けた方向を「こなた(=こちら側)」と言っているのです。
これが、古文目線☆
距離や空間じゃないですよ~!
(*^m^*)
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