【帚木261-2】平安時代の女の美学☆
受験生のみなさん。
いよいよ週末はセンター試験ですね!!
ヽ(*'0'*)ツ
もうあとは本番まで過去問を解くしかないっ!
そう思って、解いて解いて解きまくって、
得点に一喜一憂していることと思います。
古文に慣れるという視点にたてば、
制限時間で古文を解くという練習も大事ですが、
古文の典型的な背景を1つ1つ押さえていくことで、方向性にブレなく速読できるようになります。
このイラスト解釈では、古文の読解ヒントとなる常識やキーワードをとりあげて解説していきますので、
読み物としてお楽しみくださいね♪
(*^m^*)
↓今回の源氏物語↓
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「…涙をもらし落としても、いと恥づかしくつつましげに紛らはし隠して、つらきをも思ひ知りけりと見えむは、わりなく苦しきものと思ひたりしかば、…」
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【源氏物語~これまでのあらすじ】
桐壺帝の御子である光源氏は、臣下に降格してからも継母である藤壺宮を忘れられないでいました。五月雨が続くある夜、宮中の宿直所で、光源氏は義兄で親友の頭中将と、女性論の話になり、そこに友人の左馬頭、藤式部丞が加わって、さらに話は盛り上がります(雨夜の品定め)。左馬頭の女性体験談を受け、頭中将も、自分の体験談を話ります。ひそかに関係を持っていた内気な女は、頭中将の妻の嫉妬に思い悩み、頭中将の訪れのない中、心細さに和歌を送ります。
今日は、平安時代の女の美学☆
ではいってみよ~~っ♪
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夕顔…もとい常夏の女 ☆
ここまでで、彼女の性質がずいぶん明らかになってきましたね。
当時の通い婚のシステム下では、
女はただ待つだけの身ですので、
彼氏を長くつなぎとめておきたいと思ったら、
それなりの気持ちを態度や和歌で示さなくてはなりません。
しかし、この女は、
頭中将の訪れがなくても、
男にとっては、都合のいい女?!
(@ ̄Д ̄@;)
頭中将は、この女を愛しく思ってるんですが、
女から「来て!」っていう催促がなかったら、
モテモテ・サラブレッドの頭中将は、他の女の所に行っちゃいますよねー!
Σ(~∀~||;)
さらに言えば、
頭中将の正妻は、右大臣の娘☆
こちらの方に義理を立てなくちゃならないですもんねー^^;
だからこそ、頭中将にとって常夏は、
愛しくはあるが、義理立てて訪れをしなくてもいい、都合のいい女
だったのでしょう( ̄□ ̄;)
…そんな女性、どう思いますか?
今の感覚でいうと、
浮気な男たちのほうに、非難の目が向くことでしょう。
でも、当時の結婚システムからいうと、
それは社会常識として問題にはなりません。
(※ここが古文目線。現代目線で読んだらダメ!)
ではもう一度聞きます。
常夏のような都合のいい女性は、どう思いますか?
ちなみに、
常夏の女の置かれている状況としては、
正妻からの嫌がらせを受けていて、
しかしそれを頭中将にチクったりはしていません。
(-_\)(/_-)三( ゚Д゚)
また、
頭中将との間に、かわいい女児が生まれているにもかかわらず、
両親が亡くなり、心細く過ごしています。
当時は、女の実家の経済力が、男の愛情を左右したので、
この状況下で、常夏の女はどんなに心細かったことでしょう。
辛さに耐え兼ねて、久々に送った和歌も、
山がつの垣ほ荒るとも折々にあはれはかけよ撫子の露
自分のことよりも、この女児のためを想っての和歌のようです。
女に優しい頭中将は、
和歌をもらってすぐに通って行ってあげます。
女が和歌を送り、その夜男が訪れる。
これが当時の恋愛法則だったので、
平安貴族の女性たちは、
「夜離れ(よがれ)」を憂いて、いそいそと和歌で催促するんですね。
しかし、この常夏の女は、
自分の辛さや悲しみを男に見せることは、
良しとしなかったようです。
「涙をもらし落としても、いと恥づかしくつつましげに紛らはし隠して、つらきをも思ひ知りけりと見えむは、わりなく苦しきものと思ひたりしかば、…」
↑
この部分。
まったく主語がないので、何が書いてあるのか、古文を見ただけで見えて来ない人も多いと思います。
●「涙をもら」すのは、誰が、なぜ?
→常夏の女が、頭中将の夜離れのため
●「恥づかし」いのは、誰が、なぜ?
→常夏の女が、自分の嫌な部分を頭中将に見せたくなかったため
●「つらき(=薄情)」なのは、誰の、どのような状況?
→頭中将の、なかなか訪れのない状況
●「思ひ知」るのは、誰が、何を?
→常夏の女が、頭中将の薄情さを
●「見え」
→頭中将が、常夏の女の真意を
●「わりなく心苦しき」のは、誰が、何を
→常夏の女が、辛さを頭中将に気づかれてしまうこと
センター古文20分の間に、
これだけのことをじっくり読解するのは、しょせん無理な話。
(ノ゚ο゚)ノ
だからこそ、古文目線が必要になってくるんです。
古文を読んで慣れていこうと言われるのも、
文法・古語の知識だけでなく、
古文目線をつけて、方向にブレなく読んでほしいということ。
今日の記事で、平安女性の美学がおわかりいただけたでしょうか?
どの女性もそうありたいと望むけれど、
寂しさ、嫉妬、心細さ…
自分の気持ちは制御することができないものです。
だからこそ、このはかなげな常夏の女(のちの夕顔)は、
多くの女性読者たちの憧れの的であり、
また、男性にとっては、理想の女であったのでしょう。
頭中将のこの話を聞いた光源氏も、
こういうタイプの女性に理想の念を抱き、
今後の女性遍歴に大きな影響を与えたと言えます。
w川・o・川w
では次回の講釈もおたのしみに☆
(o^-')b
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あいでした