【帚木191-2】入試に出る相聞歌☆
勉強がんばってますかあいです。
【イラスト解釈】では、本日のイラスト訳に因んで、
解釈問題や文法・常識のツボなどを随時更新しています。
さあ今週もがんばっていきましょ~♪
↓今日の源氏物語はコレ↓
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「…さすがにうち泣きて、『憂きふしを心ひとつに数へきてこや君が手を別るべきをり』など、言ひしろひはべりしかど、…」
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【源氏物語~これまでのあらすじ】
桐壺帝の御子である光源氏は、臣下に降格してからも継母である藤壺宮を忘れられないでいました。五月雨が続くある夜、宮中の宿直所で、光源氏は義兄で親友の頭中将と、女性論の話になり、そこに友人の左馬頭、藤式部丞が加わって、さらに話は盛り上がります(雨夜の品定め)。左馬頭が具体的な女性体験談を語り出します。昔通ってた嫉妬深い女を、少し懲らしめてやろうと強気に出たところ、女と言い合いになり、左馬頭は指を噛まれてしまいます。
今日は、相聞歌について☆
ではいってみよ~~っと♪
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「相聞(そうもん)」とは、お互いに安否を問うという意味です。
「相聞歌(そうもんか)」は、お互いにやりとりする歌のことで、
現代でいうメール交換みたいなものです☆
o(^▽^)o
もちろん、男同士、女同士での相聞もあるんですが、
やはり、恋愛主体の平安時代☆
(σ・∀・)σ
「相聞歌」といえば、恋の歌のやりとりってことになっちゃうんですよね~♪
(*^m^*)
今回の左馬頭と女との歌のやりとりも、
恋の歌…というよりも、別れの歌、痴話ゲンカの歌といったほうがいいかもしれませんが、
男と女の歌のやりとりであることは間違いありません!
(o^-')b
で、入試問題文でも、
このような相聞歌が出てきた時には、
必ずと言っていいほど、設問に問われるんですよ♪
ヽ(゚◇゚ )ノ
『A 手を折りてあひ見しことを数ふればこれ一つやは君が憂きふし
えうらみじ』
など言ひはべれば、さすがにうち泣きて、
『B 憂きふしを心ひとつに数へきてこや君が手を別るべきをり』
など、言ひしろひはべりしかど、問)ABの和歌について、説明として正しいものを、次の中から2つ選べ。
1.Aは女の歌で、「手を折りて」は、自分が噛んで折れた指に対する男の恨みを受けての表現である。「憂きふし」とは左馬頭の浮気という欠点を示し、そのせいで自分が辛い思いをしてきた年月を思い返した歌である。Bは左馬頭の返歌であり、ただでさえ女の嫉妬に苦しめられてきたのに、最後に指を噛まれたせいで、我慢の限界が来たことを表している。「ふし」は「数ふ」の縁語、「こ」は「こ(れ)」と「子」の掛詞である。
2.Aは女の歌で、『伊勢物語』第十六段に「手を折りてあひ見しことを数ふれば十といひつつ四は経にけり」とある歌の上の句をそのまま引用したものである。その歌意も夫婦離縁がテーマであり、別れを覚悟していることが読み取れる。Bは左馬頭の返歌であり、女の気持ちを察して別れることに同意している。しかし、「憂きふし」が自分の浮気ではなく、女の嫉妬であることを示すことにより、離縁は自分のせいではないと主張している。
3.Aは左馬頭の歌で、『伊勢物語』第十六段「手を折りてあひ見しことを数ふれば十といひつつ四は経にけり」とある歌の本歌取りである。「やは」は疑問であり、女の欠点が嫉妬心1つに限ってのことなのかと自問自答している。Bは女の返歌であり、「憂きふし」を今度は男の浮気としてとらえ、あなたにも欠点があるということを訴えている。「こ」は「手」の縁語であり、男への愛情がまだ残っているという気持ちの表れである。
4.Aは左馬頭の歌で、「手」は女に噛まれた指を象徴し、結婚生活の日数が短かったことを指している。「憂きふし」は、自分の浮気のために辛い思いをさせた時期もあったことをほのめかし、暗に謝罪の意をこめた歌と言える。Bは女の返歌であり、その「憂きふし」を受けて、やはり離縁すべきと訴えている。「こ」は「これ」と「子」との掛詞。他にも、「君」「手」「折」など、男の歌の語句を多く受けているのは、男への愛情の表出である。
5.Aは左馬頭の歌で、結婚生活を指折り数えてみると、これ一つだけがあなたの欠点ではないという意。「これ一つ」は、先程噛まれた指を折り曲げて見せた指で、女の嫉妬の象徴。「ふし」(節)は、指(「手」)の縁語。Bは女の返歌であり、「憂きふし」を男の浮気としてとらえ、離縁すべきと訴えている。しかし、「ひとつ」「数へ」「こ」「君」「手」「折」など、男の歌の語句を多く受けて読み返しているのは、未練深く気持ちの表れである。
選択肢、長っ(`・д´・ ;)!
見ているだけでイヤになってくるのですが…
(;゚;∀;゚;)
このような和歌(相聞歌)の問題を解くとき、
押さえておいてほしいのは、次の3つ☆
● それぞれ誰の詠んだ和歌か?
● 和歌の修辞(特に掛詞)が含まれているか?
● 歌全体のテーマ(歌意)はどういうことか?
これだけ~!!
ヽ(゚◇゚ )ノ
では、具体的に見ていきましょう♪
↓ ↓
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● それぞれ誰の詠んだ和歌か?
1.Aは女の歌→×、Bは左馬頭の返歌→×
2.Aは女の歌→×、Bは左馬頭の返歌→×
3.Aは左馬頭の歌→○、Bは女の返歌→○
4.Aは左馬頭の歌→○、Bは女の返歌→○
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● 和歌の修辞(特に掛詞)が含まれているか?
「ふし(節)」というのは、物事の節目という意味で、
非常に多くの意味に用いられます。
ここでは、男の指を女が噛んだということが、大きな原因になってるわけですから、
なぜあえて、「ふし」という表現を歌の中に読み込んだのか、を考えますと、
手(指)にちなんだ「節」のつながりが浮かびます。
このように、縁のある語句を歌の中に読み込むことを縁語と言います。
1.「ふし」は「数ふ」の縁語(×)、「こ」は「こ(れ)」と「子」の掛詞
2.Aは『伊勢物語』の歌の上の句をそのまま引用したもの。
3.『伊勢物語』の歌の本歌取り、「こ」は「手」の縁語(×)
4.「こ」は「これ」と「子」との掛詞。
5.「ふし」(節)は、指(「手」)の縁語。
また、「掛詞」という選択肢に着目します。
選択肢の中に、「こ」は「こ(れ)」と「子」の掛詞と出てきます。
たしかによく用いられる掛詞パターンです。
しかし、ここでは「子」が関係してくる文脈ではありませんでしたよね!
掛詞は、前後の文脈で関係している地名や風物等が読み込まれます。
(-^□^-)
1.「ふし」は「数ふ」の縁語(×)、「こ」は「こ(れ)」と「子」の掛詞(×)
2.Aは『伊勢物語』の歌の上の句をそのまま引用したもの。
3.『伊勢物語』の歌の本歌取り、「こ」は「手」の縁語(×)
4.「こ」は「これ」と「子」との掛詞(×)。
5.「ふし」(節)は、指(「手」)の縁語(○)。
さらに、『伊勢物語』の歌の記述があります。
実は、これ正解なんですよねー!
ヽ(゚◇゚ )ノ
でも、知らなければ分からないっ;;
(→o←)ゞ
分からないものは、消去も何もせず、そのまま置いておきましょう^^;
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● 歌全体のテーマ(歌意)はどういうことか?
今回は、左馬頭が手(指)を噛まれたことをきっかけに、
別れる別れないなどと言い争いになっている場面です。
こういう歌意を思い浮かべて、選択肢を見極めましょう♪
正解は……5
(o^-')b
あいでした