【桐壺101-②】解釈~後髪 | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

【桐壺101-②】解釈~後髪

【原文】

泣く泣く、「夜いたう更けぬれば、今宵過ぐさず、御返り奏せむ」と急ぎ参る。

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今日はとめどない悲しみのお話です☆


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【これまでのあらすじ】

帝のご寵愛を独り占めにしていた桐壺更衣…。周囲の反感の中、彼女は幼子を1人遺してこの世を去りました。帝は、ある秋の夜、靫負命婦を更衣の実家へ遣わしました。母君の悲しみに対し、靫負命婦は帝の伝言を伝えます。

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以前から、何度も申し上げてた、帰る時間がとっくに過ぎてしまっているようです。

靫負命婦は、泣く泣く、桐壺更衣ママに申し上げます。

(※前からずっと、「泣く泣く」なんですけどね^^;)

 

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「夜いたう更けぬれば、

 

「いたう」は「いたく」のウ音便☆

 

【いたし(痛し)】

(連用形で)非常に、たいそう

 

程度がはなはだしい時に用います。

「痛」という語感からすると、「とても」よりも、「ひどく」と訳出したほうが、ぴったりですね。

 

ぬれ」は、完了の助動詞「ぬ」の已然形

 

已然形+【ば】

①~ので

②~すると

③~するといつも

 

あとのつながりから、ここでは①の意味がいいですね♪

 

訳)「夜がひどく更けてしまったので、

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以前から、何度か靫負命婦はこう申し上げていました。

悲しみの言葉は尽きないけれど、それでも、早く帝に更衣ママの伝言を伝えたいのでしょう。

 

今宵過ぐさず、

 

【過ぐす】

時の過ぎるのに任せる、やり過ごす

 

直訳)今夜という時をやり過ごさないで

意訳)今夜のうちに

 


返り奏せ

 

【返り】

返答

 

【奏す】

帝に申し上げる

 

奏す」という敬語から、目的語がに限定されます。

帝に申し上げるのは、更衣ママではなく、これから宮中へと帰っていく靫負命婦

 

よって、「」は意志の助動詞☆

(一人称が主語なので)

 

訳)あなた様のご返事を帝に申し上げよう

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と急ぎ参る

 

【参る】

「行く」「来」の謙譲語

 

ここでは、靫負命婦が帰って行く場面なので、「行く(帰る)」の意味で訳出したいところですね。

 

訳)と急いで帰参する

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…やっとこさ、靫負命婦は帰路についたみたいです(;゚;∀;゚;)

 

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【原文】

泣く泣く、「夜いたう更けぬれば、今宵過ぐさず、御返り奏せ」と急ぎ参る

 

【口語訳】

泣く泣く、「夜がたいそう更けてしまったので、今夜のうちに、あなた様のご返事を帝に申し上げよう」と急いで帰参する

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■いたう(いたく)

■ぬる(ぬ)

■過ぐす

■御返り

■奏す

■参る

※重要古語一覧はこちら⇒

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