光と闇の記憶 〜光編〜
2017年も、気付けばあと10日をきってしまいましたね
毎年、今年も色々あったな〜って言う奴がいるが、何もない年なんかないだろうといつも心のなかでツッコミを入れさせてもらっている
だが今年は、僕もそれを言いたいくらい本当に色んなことがあった
今回は前編後編に分けて、今年僕が夢の中で体験した世にも不思議な物語を実話を元にお話しさせていただきたいと思う
稚拙な文面で読みづらいかもしれないが、ブログとしてはわりと長編の物語なので、是非時間のある時にゆっくり読んで下さいね
それでは前編、まずは“光”の物語です
彼とは15歳からの付き合いだった
高校時代、一緒にアホなことを沢山してきて、卒業してからも毎日のように遊んでいたとても仲のいい親友だった
ちょうど10年前には一緒に大阪に旅行にも来て、僕がこっちに住んでホストをするきっかけになったのも、今思えば彼が深くかかわっていたのかもしれない
そんな今年、彼の訃報が届いた
僕には親友と言える地元の友達が3人いるが、今年の春まで彼らのLINEすら知らなかった
いつもいつまでも繋がっている仲なので、そもそも連絡を取り合う必要も別にないという全会一致の考えなのだろう
なので、年賀状が家に届くくらいで全く連絡をとりあうこともなかったが、今年の4月、東京に行く用事ができた時久々彼に会いたくなり、アドレスをどこからか探し出し僕は彼にメールをいれてみることにした
そしたらすぐに電話がかかってきて、数年ぶりに彼の声が聞けた
なんでもつい2ヶ月前に腫瘍を取り除く手術をして入院していたらしく、今はリハビリをしながら自宅療養中とのことだった
ならばきっと毎日暇してるだろうし、是非お家にお邪魔させていただこうと、僕は他のメンバーも誘い(不思議と気付けばグループLINEができていた)杉並区にある彼の家にみんなでお邪魔することにした
その前に彼に会ったのは3〜4年前の彼の結婚式で、その頃と比べると彼はだいぶ痩せこけ、杖をつきながら歩く老人のようなその姿は正に“弱っている”という表現が適切だった
彼の嫁も1つ下の僕らの地元の後輩であり、かれこれ16年の付き合い、美人で性格もよくとても出来た女性とでもいうのだろうか、僕も人生であれほど素敵な女性をまだみたことがないと言っていいくらい、本当に誰がみてもいい子だった(お互い穏やかな正確であり、なんと彼らは16年間喧嘩をしたことがなく、嫁は彼以外男を知らないのである!多分…)
その日も彼女は上手に気を遣ってくれながら、僕たちは色んな思い出話や世間話に華を咲かせ、僕は今年からお店を任されたことや龍が如く6に出てくるという話をしたら、それはみんなもとても喜んで聞いてくれた
こうして好きなことをして成功しているのなら、あの時大阪に一緒に行ってよかったとのことだった
そして彼の体調がよくなったら、また前みたいにみんなで集まって、旅行とか温泉でも行こうぜと
目標は今年の9月、リハビリ中に彼はどうせ家にいて暇だろうし、どっか行きたいところでも調べといてくれと、そうみんなで話し合ってその日は解散すこととなった
そして帰りの駅に向かう途中、友達の1人が嫌な予感がすると言った
彼は、父親が同じ流れでガンを患い亡くなったからとのことだった
ただ昔から元気と行動力がすごく心臓に毛が生えているような男だったので、当時僕は全くそんなことはないだろうと思っていた
そして今年の9月、突然お店に彼の嫁さんから電話があった
どうやら体調が悪化しまた入院したらしく、今はスマホをいじることもできないくらい体が麻痺して、体力も落ちて手術も出来ないでいるので、是非お見舞いに来て元気を分け与えてほしいとのことだった
僕らは再び集まり、更に地元からも応援を呼んで、府中にある彼の病院に突撃サプライズすることにした
5ヶ月ぶりに会う彼からは、もはや生命力が感じ取れなかった
抗がん剤の使用で髪は薄くなり、顔も更に痩せこけては微動だにせず、か細く声にもならない何とか聞き取れるくらいの音で会話をするという変わり果てた様子だった
僕らは彼をみて、彼女が僕らをここに呼んだ本当の理由が何となくわかった
彼は、おそらく終末医療だった
病院の雰囲気、嫁の対応、先生や看護師の表情、そして彼の目を見て、僕たちは何となくそれに勘付いていた
そして、それから1ヶ月もしないうちに彼は亡くなった
嫁家族から、僕には是非精進落しの際の献杯の音頭をとってほしいとの要望がった
皮肉にも僕は彼らの結婚式で乾杯の音頭をとり、そして告別式では献杯の音頭をとることになろうとは
彼は、昔から本当にしょーもない嘘(人を傷つけたり誤解を招くような嘘ではなく、本当にしょーもない冗談)をつくやつだった
そこでついたあだ名がウルフボーイ、かのオオカミ少年をなぜか英訳して、僕らは彼をウルフと呼んでいた
彼は最後にもやらかしてくれた
なんと棺の中からヒョイと起き上がり、ごめん生き返った!と元気に蘇生するのである
その嘘はさすがにひどいよ〜と僕らも呆れ返っていたら、いつものベッドの上で僕は目を覚ました
当日、彼は最後まで目を覚ますこと無く、泣き崩れる嫁と母親の意に反して焼かれていった
何だよ、最後の最後まであいつは嘘つきかよ…
そう思って僕は、当日どうせ悲しみで頭がいっぱいになると思ったので考えていなかった献杯の音頭を10分前に思いついたのだった
以下、僕が当日実際に話したであろう内容である
“彼は、みんなにウルフボーイと呼ばれていました。
いつもいつもしょーもない嘘で僕らを惑わし、そして笑かしてくれ、何でそんなことを言うのか、思いつくのか、彼の頭のなかには何があるのかと僕らはずっと不思議に思っているくらいでした。
それから、僕らは彼の発することはまず全て嘘と思って疑いにかかることにしました。
なので、今回このような訃報を聞いた時、まさかそれも嘘だろうと、彼のことだから、なんちゃって〜って言って元気に起き上がるんじゃないかと、どこかでそんな思いを抱いていました。
そして昨晩、彼は僕の枕元でしっかり嘘をついて帰りました。
夢の中では生き返るという死んだふりの嘘をつき、実際会いに来たらそれも嘘だったという、どちらにしても嘘だという彼らしい最後が見れたかと思います。
今日このように天気が悪いのは(その日は台風が日本直撃だった)、きっと雨男だった彼が僕らを上手に騙せて嬉し泣きをしている涙の雨なのでしょう。
僕も今悲しみに溢れていますが、逆に今からみんなで楽しそうにお酒を飲んで、全然俺たち悲しくなんかないんだぜ?って、彼に嘘を見せつけてやろうかと思います。
そんなわけなので、みなさん今宵は楽しく笑顔でのお付き合いをお願いいたします。
では天国の彼に向けて、献杯”
その日は飛行機も飛ばず電車も一部運転見合わせ、タクシーもつかまらず風で傘も持させないとう彼の最高の嫌がらせを受けながら僕は帰路についた
親友が1人いなくなるというのはとても悲しいことだが、今でも不思議とそこまで悲しいという気持ちにはならない
それは、連絡先など知らなくても必要な時に彼らとは再開をするし、例えこの世にいなくてもまた必要な時に彼は僕の前に現れると思うからだ
僕らの記憶と心の中で、彼は永遠に生きているのだろう
ただ、今のところ彼があれ以来まだ夢に出てきたことはない
懲りずにあの世でも嘘をついて、エンマ様に舌を抜かれていないことを祈る