宮崎県の口蹄疫(こうていえき)問題を受け、畜産とは直接関係のないイベントを中止する動きが感染地域以外で相次いでいる。不特定多数の参加者に付着したウイルスが地元の家畜農場へ持ち込まれることを恐れての措置で、“飛び火”への警戒感の高まりがうかがわれる。ただ、専門家からは「感染が疑われる農場に行くなどしない限り、人が媒介する可能性は低い」との指摘も。どこまで社会生活を抑制して防御するのか、難しい判断が求められている。

 熊本県芦北町で29~30日に予定されていた「御立岬ビーチサッカーフェスティバル」は口蹄疫の被害拡大防止のため中止となった。小学生から大人まで県内外約100チームが参加する恒例イベントだが、実行委は「町内では41世帯の農家が牛や豚など4790頭を飼育しており、残念だが仕方ない」と話す。

 熊本県では6月5日に予定されていた「阿蘇カルデラスーパーマラソン大会」も中止に。至る所で牛が放牧されている緑豊かな阿蘇の外輪山を周回するコースが人気で、全国から約1000人がエントリーしていたが、主催者は参加費を全額返金するという。

 6月22~23日に佐賀県伊万里市で開かれる予定だった「全国ナシ研究大会」は無期限延期が決まった。全国の生産者約700人が参加予定だったが、主催者は感染予防と共に「同じ農業者同士で苦しみを共有するため」と説明する。

 九州以外でも畜産が盛んな北海道では、オフロードバイクの耐久レース(木古内町、6月19~20日)や、トラクターでそりを引く国際レース(更別村、7月11日)の中止が決まっている。

 動物衛生研究所前所長の村上洋介・帝京科学大教授(動物ウイルス学)は「国内外を問わず、感染が疑われる農場に行ったことがある場合は洋服や靴などにウイルスが付着した可能性があり、着替えなどの配慮が必要になる。だが、感染地域以外では参加者が農場に立ち寄ることが想定されない行事まで自粛する必要はないのでは」と指摘している。【まとめ・阿部周一】

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