3月に出演する舞台の『梁塵秘抄』は、平安時代の後期に後白河法皇が書き残した歌集です。

それを今、何十年かぶりに読み返しています。

私の中では、なぜか小学生のときに日本の古典ブームがやってきまして、学校の図書室の本を端から順番に読み漁った時期がありました。

なので、日本の古典というと、何よりも先に小学校の図書室を思い出します。
梁塵秘抄もその頃に一度読んでいるはずなのですが、


「遊びをせんとや生まれけむ」


これしか覚えてない…

というよりも、他で耳にしているから記憶にあるのか。
 

「遊びをせんとや…」
そうですね…
毎日遊んでる真っただ中の子供でしたから、当時はあまり心には響かなかったかもしれません。

片っ端からいろいろ読みましたが、朝廷や貴族たちの雅な生活は、物珍しくはあるものの、退屈にも感じてしまいました。

読み物としてがぜん面白くなるのは武士が台頭して世の中がひっくり返るあたりからです。

映画やドラマでもたびたび取り上げられるのを見ても、なんだかんだで平家物語以降のものは面白く、私も何度も読み返していました。

 

『梁塵秘抄』を編んだ後白河法皇は、平家物語の時代に武士と朝廷との間を抜け目なく立ち回った人物なのですが、ちょうど今、NHKの大河ドラマでは西田敏行さんが演じています。
天皇の座を退いたあとも院政をとって権力をふるいました。
そんななかでも今様への情熱は消えることはなく、『梁塵秘抄』、『梁塵秘抄口伝集』を残します。

今様は身分の低い庶民の芸能でしたが、上流社会の宴に招かれて歌を披露することも多く、アイドル的な人気を得る者もありました。

源義経に寵愛された静御前は、男装して今様を詠い舞う「白拍子」です。
その他にも、傀儡(くぐつ)という人形遣いもいました。

3月11日(金),12日(土)の能楽堂公演は、この梁塵秘抄の世界を繰り広げる作品なのですが、特別出演で人形劇俳優の平常(たいら じょう)さんをお招きしているのも、そういう背景を知っておいていただけると、楽しみも倍増するかと思います。

 

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