ハーヴァード大学教授、宗教象徴学専門のロバート・ラングドンが持ち前の博学と鋭い頭脳で謎解きをして、アイテムを取得しながら冒険する、さながらアドベンチャーゲームのようなミステリー小説。

また、トム・ハンクス主演で過去作も映画化されており、もちろん自分も鑑賞して大いに楽しんだもの。本作も今月公開予定なので、時間が取れればぜひ見に行きたいものだ。

 

さて、本作でもラングドン先生の頭脳は冴えているが、冒頭で先生は病室で目覚め頭に怪我を負っており、数日間の記憶も無いという大変微妙な状況で冒険は始まった。いかに頭が良くても、記憶を失っていてはあまりにも心もとないというものだ。そして、訳の分からない内に女殺し屋に命を狙われるというハメにも。何がなんだか分からないまま、若くて美しい女医さんに伴われて逃亡するラングドン先生だ。

 

読者もとりあえず先生と一緒に、若くて美しい医師のシエナ・ブルックスにすがりながら、なんとか筋立てを理解しようと一生懸命読書するのだが、悪者は誰なのかだんだん分からなくなってくる迷路に陥る。シエナも怪しくなってくる。怪しいが、でも若くて美しく(しつこい?)、映画ではトム・ハンクスの相手役ともなれば、きっと彼女は本当のところでは悪い人ではナイと分かるものだ(笑) 

 

そして、ある謎の生化学者が何か細菌かウイルスのようなものを世界にまき散らして、地球に蔓延して増えすぎた人類を減らそうとしているということが分かって来る。エボラウイルスのようなものが流行して人々はバタバタと不治の病に倒れ死んでゆく悪夢のようなことがおこるのだろうか?

さあ、それは、今ここで明かすわけには行かない。このネタバレはさすがにまずい(^-^;

 

で、ここで考えなければならないのは、人類は多すぎるのか?という問題だ。

自分としては、多いんじゃないかなあ・・・?という気がする。でも、だからと言って、生きてる人々の命を奪ってはいけないし、子どもを産んではいけないとも言えない。我が国では少子化に悩み、子どもが沢山生まれてきて欲しいものだけど、他国の中には産児制限をしなくてはならない状況もあるようだ。地球全体としては、人口は爆発的に増え続け、温暖化など色々な問題を起こしている。

 

この本を読みながら、ウイルスか何かを蔓延させようとする生化学者のいう事は正しいのではないか?しかし、人類の生存を脅かすような事には肩入れできない。でも。。。?

と、心が揺れ動きながら、苦しいような気持ちにもなってしまう。そして、結末まで読み進み、ああこんな風に決着を、、、。これはこれでもう仕方ないし、あるいはこれはやはり人類の一つの進み方なのかも、と妙に心が落ち着く読書となったのである。

 

それと本書は、フィレンツェ、ヴネツィア、イスタンブールの名所旧跡の観光案内にもなっている。それらの街を訪れたことのある方には、思い出をたどる楽しい読書になるかもしれない。

ラングドン先生の薀蓄がややうるさい感じだったが(^-^; 、そのあたりの芸術関係にお詳しい方ならなお、楽しめるに違いない。

自分はまだそのどこにも行った事が無いので、映画でその映像を見せて貰うのが楽しみな事ではある。