ちょっした大人なら、劇団四季が当然好きで、時にはシアターに出かけてアフターファイブを楽しむ。
なんてことが都会的なお洒落な感じで、憧れないでもない。

ところがこの自分、ミュージカルというのがどうも今一つ、馴染まないの(^-^;
大好き!という人にも良く会うが、苦手という人にもまた会う。
苦手な理由は、きっと同じようなことかも知れぬ。

メロディーにのったセリフとか、大仰な身振りとか、メリハリつき過ぎる表情。
リアルなという所からものすごくかけ離れた世界観。
歌やダンスがキライなわけではないのだけど。

公式的には、今回のウィキッドがミュージカル初観劇とさせて頂くが、実はずーっと昔に一度思い立って観に行ったコトがある。だが、なんと途中で熟睡してしまったという恥ずかしい初体験だったので、これは割愛。無かったコトにしてもらおう(^-^;

でも、そのミュージカル見て寝た、というのが自分の中でトラウマとして残っているのである。行ってはいけない場所。それがミュージカル。


そんなアーバンじゃない情けないオバサンが、とあるきっかけがあり現在公演中のウィキッドを観に出かけた。
ここに友あり。劇団四季の大ファンであり、頻繁に観劇している達人の友人。この友人に相談すると、もともとご自身が予定していたのと同じ日にチケットを取って下さり、当日開演前に待ち合わせしてから色々とお世話して頂いて、まるで添乗員付きのツアーに参加したような安心感の中、ミュージカル初観劇とあいなった。

ウイキッド


ほぼ満席の観客が固唾を飲んで開演を待つ中、すーっと幕が開き、きらびやかな舞台が始まった。

正直に言って、前半またしても睡魔に襲われたのは事実(^-^; 
危ない!今度こそは寝てはイケナイ!
舞台では、カラフルで素敵な衣装や、見事な舞台装置、美しい魔女やら人間でないものに扮した役者さんたち。迫力ある歌に、これぞミュージカルという群舞などなど、素晴らしいショーを見ながら何故に眠くなるのか。やはり、前述のそのミュージカル独特の大仰なところに入っていけないとしか思えない。
やはり、自分など来てはいけないと場所であったのだ、、、と意気消沈しつつ、ともかくも「寝ない」という一点を目標に頑張ってみた。頑張っていると、いやそれはやはり、なんといっても世界の四季だ。少しながらも、歌唱力の凄さに魅入られたり、オリンピックの体操選手並みにすごいダンスに感心したりする場面も出てきたのであった。


そうしている内に、前半終了、幕間の20分休憩が来た。席を立とうかと思ったが、両隣の方々が動かないのでそれを避けて出ていくのも面倒になり、そのままじっとしている自分。

ところでこのウィキッドはもう一つの「オズの魔法使い」というストーリーなので、事前に「オズの魔法使い」を読んで復習をしておいたのである。

Kindleで¥200。懐かしい感じの画風の挿絵もふんだんについて楽しい本であった。
余談であるが、子どもの頃読んだ時には、ドロシーと子犬のトト、カカシとライオン、ブリキのきこりの一行がたどる長い苦難の旅、という印象だったが、今読んでみると、とってもとんとん拍子にお話が進み、ドロシーはかなりあっさりと悪い魔女をやっつけて生まれ故郷のカンザスに帰ることができてビックリした次第。
ウィキッドに登場する良い魔女グリンダは、このお話しでは最後にドロシーの願いを叶えてくれる。その辺を幕間にスマホで確認して、ウイキッドとの関連や違いなどを再度お勉強してヒマつぶしだ。


さて、後半戦である。
お話も佳境に入ってきて、ますます迫力と動きのある舞台、自分も前半よりさらに物語世界に入り込み始め、眠気は無くなったのだが、、、、。
今度は、長時間座りっぱなしのためか、お尻が痛くなってきたのである(-"-)

もぞもぞと動き、お尻の位置を頻繁にずらしてみる。背中の角度を変えてみる。身体を右や左に傾けてみる。席は、前から12列目あたり、役者さんの顔もはっきりわかる、ギリギリ直近で取ってもらったわりに良い席だ。周りの観客の皆さまは、みんなかなりのファンと見た。この長い時間でも、みじろぎ一つしないのである。右隣の、休憩時間にはスマホをいじりまくっていた茶髪の若い女のコも、左隣の女性も胸の前で両手を合わせて握りしめ一心不乱、前席の薄毛の年配オッサンだって、誰一人微動だにしていない、息もしていないかのようだ。
自分はといえば、ゴソゴソうごめく上に、最近ひどくなって来た花粉症のために時折くしゃみまで出る始末だ。音を極限まで小さくなるよう努力はしたが、、、後ろの席の方は、さぞ迷惑だったことであろう(><;)

そんなオバサンもいよいよラストに向かっては、ようやくこの世界に没入し始め、そうするとお尻の痛みも気にならなくなる。
オズの魔法使いとはまた違ったお話の流れ、お子様向け童話的配置な登場人物たちも、ウィキッドの中ではとても大人な葛藤や愛情、表も裏もある現実的な人間の心の動きを見せる物語の中で際立ったキャラクターたちとして、そこに存在しているのを発見したのだった。

結果。なかなか楽しめた(笑)

実はこの日、内緒にしなければいけないのであるが、ある役に扮した俳優さんに面会できる機会があった。それはもう、達人である友人の配慮の賜物である。四季素人の自分が、そんな経験をできるなんて、本来なら決してあり得ないコトである。
素敵な俳優さんに会って舞い上がり、一緒に写真も撮って貰い、大満足したミーハーなオバサン、ロビーでそのスマホの写真を見ながら、なんてカッコいいんでしょなんてやってたら、友人に注意された。周りのコアなファンに見られたりしたら、殴られかねないから早くしまって!
さもありなん、慌ててスマホをしまった無知な自分でありました(笑)

観劇後、リハーサル見学会というイベントにも参加し、ウイキッド満喫の1日であった。
熱心なファンの方が多く詰めかけ、良い魔女グリンダと同じようなドレスを身に着けての小さなお嬢ちゃんや、また車椅子ストレッチャーに乗った障がいのある方々も沢山いらしていて楽しそうに観劇されていた。

地方都市札幌にいながら、こんなに設備の整った劇場でブロードウエイばりのミュージカルを気軽に楽しむことができるのは、きっととっても恵まれたことなのだろう。自分も、またの機会を持たねばならぬかも。誰か誘ってくれたら、またその気になるかも知れないな(^-^)


ミュージカル初体験(あくまでも今回が初である)を済ませて何日か経つが、今でも結構頻繁にあの世界観が頭をよぎる。カラフルな色合いや、不思議な生き物たち。歌やダンスの1シーンが。
それほど視覚と聴覚を大いに刺激され、現実から飛び出してオズの世界に連れ出された体験が身体に残っているということ。さすがである。


ワインキノコ
観劇後の一杯もまた、楽しからずや
テラス席で冷たいワインで興奮をクールダウンさせ、天然キノコの美味しいイタリアンに移動して舌鼓。
まことに素晴らしい休日でありました。