第一回大江健三郎賞 受賞作(2007年)ということを文庫版の帯の惹句で知り、手に取った本。大江健三郎氏が認める力に満ちた「文学の言葉」のある小説とは、どんなものなのだろう!長嶋有氏の作品も初めてだったが、とても楽しい読書の時間となった。この賞を受賞した作品は翻訳されて各国での刊行も約束されているそうだが、現代の日本の作家の感性が、ノーペル賞受賞作家である大江健三郎氏のお墨付きでどんどん世界に紹介されるとは、なんて素晴らしい。


「夕子ちゃんの近道」は、連作短編集のスタイル。

古道具屋というかアンティークショップというか、「フラココ屋」という意味もよく分からない店のアルバイト店員を語り手に、その近所の人たち、店舗大家さんの孫娘たち、フラココ屋店主やそのモトカノだのごく小さな世界の日常的なことがらが淡々と綴られているような穏やかな雰囲気。ちょっと人生のスゴロク1回休みといった感じの語り手も謎であるし、ちょっとずつ語られる登場人物の背景ではあるが、それほど深く踏み行ってかかわるわけでもない。でも、みんな少しずつ仲良くなり、気持ちを通わせていく過程が、古い住宅や道具類、住宅街の裏の竹林の小道や、自転車、スクーター、階段やベランダ、遠くをひたひた歩いて遠ざかる犬だの、なんだか心地よい描写とともに、流れていく。


例えば小川洋子さんとか川上弘美さんの作品を読んだ時と似たような、読後感がある。自分がこれらの作品をよく理解できているとは思えないのではあるが、読書はとても心地よい。そんな感じ。



賄い:手羽先の自家製スモーク。
食べて飲んで観て読んだコト-手羽先

ダンナがテレビで見て旨そうだなと思い、やってみたとのこと。なかなか旨いし、思わずビールが飲みたくなる味だったが、しばらく煙臭くて困った。(換気扇が止まっているのに気付かなかったため(^_^;)

もうすぐ夏だなあ、、、大通公園のビヤガーデンも楽しみ。