玉村豊男さんといえばもう、昔からフランスの匂いを運んでくれるエッセイストとして著書に親しんできた。現在は長野県でワイナリーを営んでいるという暮らしの中から紡ぎだされるエッセイは、自分にはステキ過ぎて目の毒かと、最近ちょっとご無沙汰ではあった。


このエッセイ集はパンがテーマになっているので、玉村さんが過去から現在までの旅で出会った数々の世界のパンや今の暮らしの中での楽しんでいるパンなどなど、実に美味しそうなお話の連続。パンは、自分も大変興味を持っているし、焼いてみたりもし、美味しいパンとはどんなものかを探求してはいるが、実の所、その答えはまだ見つかってはいない。なんというか、米を炊いたご飯を食べて「ああ、これは美味しい」と思うような具合には、心から美味しいと思うパンが分からないというような、、、。美味しいと思えない、というのではなくパンの美味しさが体で理解できていないというのかな。


玉村さんのように若い頃から、フランスで暮らしてパンを食べ、世界中の色々な形のパンを食べ、たぶん文化も一緒に食べ、そしてあのパンが旨かった、このパンが美味しい、あの時のサンドイッチが忘れられない、等々たくさんの記憶と経験がある人がパンは美味しいというのだから、美味しいパンは世界中に満ち溢れているのだろうな。

今、なるべく早く食べてみたいのは、ファラフェルというピタパンのサンドイッチみたいなの。とっても美味しそう。